マガジンのカバー画像

非一般的読解試論

24
文芸作品に対して抱く「感想」について考える連載記事です。
運営しているクリエイター

記事一覧

非一般的読解試論「感想空間について」

非一般的読解試論「感想空間について」

わたしは「感想を抱く」ということに固執しています。

感想を抱くということは、どういうことなのか。

感想とは何か。

感想についての問いを、ずっと考えています。

なぜ「感想」なのか。

わたしが良いと思ったものを、友人は良いと思わない。

この「感想の差異」に出会ったときの驚き、衝撃が、まだわたしのなかに残っているのです。

誰かに面白いと思われるコンテンツは、わたしが見ても面白いと思うし、わ

もっとみる
非一般的読解試論「作品から図式を受け取ること」

非一般的読解試論「作品から図式を受け取ること」

こんにちは、デレラです。

久しぶりに非一般的読解試論をお送りします。

非一般的読解試論は、わたしが文芸作品から感じ取る「感想」について考える連載テーマです。

ひとは、なぜ感想を抱くのか、どのようにして感想を抱くのか、感想とは何だろうか、ということを考えています。

わたしは、作品を見るとき、何を受け取っているのでしょうか。

たとえば、アニメーションを見ているとき、わたしは、絵を見て、音楽を

もっとみる
非一般的読解試論 第二十回「本文の内部と外部、あるいは過剰と秘密」

非一般的読解試論 第二十回「本文の内部と外部、あるいは過剰と秘密」

こんにちは、デレラです。

非一般的読解試論の第二十回をお送りします。

非一般的読解試論では、ひとが抱く「感想」について考えています。

さて、前回の記事に対して、次のようなコメントをいただきました。わたしの関心に寄せて要約してあります。

「Aさんが体験した感情や現実の出来事や考えついた理論などを表現した【小説や評論などの文芸作品】を、Bさんが読んだとき、Bさんが抱く感想と、Aさんの体験とのあ

もっとみる
非一般的読解試論 第十九回「現実と言葉のあいだで」

非一般的読解試論 第十九回「現実と言葉のあいだで」

こんにちは、デレラです。

非一般的読解試論の第十九回をお送りします。

今回も、ものごとに対して、ひとが抱く「感想」について考えていきます。

わたしは、過去に、第十四回「言葉にできない」や、第十五回「感想空間で踊ろう」で、現実の出来事や、感情は、言葉で言い尽くせないのだ、ということを書いてきました。

たとえば、小田和正さんの詩にもあるように、「うれしくて うれしくて 言葉にできない」というこ

もっとみる
非一般的読解試論 第十八回「ナルシスティック・リアリズム」

非一般的読解試論 第十八回「ナルシスティック・リアリズム」

こんにちは、デレラです。

非一般的読解試論の第十八回をお送りします。

非一般的読解試論は、いろんな文芸作品(映画・本・アニメなど)について感想文を書いたり、そもそも「感想」とは何だろうか、と考えるために始めた、わたしのライフワークです。

いろんな作品について感想文を書きたいですし、また、その時々の「感想とは何か」という考えを更新したりするために連載という体裁を取っています。

連載とは言え、

もっとみる

自分が文章を書く意味が分からない。それでも何かを書く。書いているときだけ、実感というか、何かリアリティに触れている気がする。そのリアリティを十全に書き切ることは出来ないけれど。その様を「ナルシスティック・リアリズム」と呼びたい。非一般的読解試論の次のテーマにします。

非一般的読解試論 第十七回「ワンダーとポエジー」

非一般的読解試論 第十七回「ワンダーとポエジー」

こんばんは、デレラです。

非一般的読解試論の第十七回をお送りします。

非一般的読解試論は、いろんな文芸作品(映画・本・アニメなど)について感想文を書いたり、そもそも「感想」とは何だろうか、と考えるために始めた、わたしのライフワークです。

いろんな作品について感想文を書きたいですし、また、その時々の「感想とは何か」という考えを更新したりするために連載という体裁を取っています。

連載とは言え、

もっとみる
非一般的読解試論 第十六回「あなたの視界を想像したい」

非一般的読解試論 第十六回「あなたの視界を想像したい」

こんばんわ、デレラです。

非一般的読解試論の第十六回をお送りします。

非一般的読解試論は、いろんな文芸作品(映画・本・アニメなど)について感想文を書いたり、そもそも「感想」とは何だろうか、と考えるために始めた、わたしのライフワークです。

いろんな作品について感想文を書きたいですし、また、その時々の「感想とは何か」という考えを更新したりするために連載という体裁を取っています。

連載とは言え、

もっとみる
非一般的読解試論 第十五回「感想空間で踊ろう」

非一般的読解試論 第十五回「感想空間で踊ろう」

こんにちは、デレラです。

非一般的読解試論の第十五回をお送りします。

非一般的読解試論は、いろんな文芸作品(映画・本・アニメなど)について感想文を書いたり、そもそも「感想」とは何だろうか、と考えるために始めた、わたしのライフワークです。

いろんな作品について感想文を書きたいですし、また、その時々の「感想とは何か」という考えを更新したりするために連載という体裁を取っています。

連載とは言え、

もっとみる
非一般的読解試論 第十四回「言葉にできない」

非一般的読解試論 第十四回「言葉にできない」

こんにちは、デレラです。

非一般的読解試論の第十四回をお送りします。

非一般的読解試論は、文芸作品について感想文を書いたり、「そもそも感想とは何か」ということについて考える、わたしのワイフワークです。

いろんな作品について感想文を書きたいですし、また、その時々の「感想とは何か」という考えを更新したりするために連載という体裁を取っています。

連載とは言え、各回は独立しておりますので、ぜひ目の

もっとみる
非一般的読解試論 第十三回「記号的、象徴的(後編)質感を覚えている」

非一般的読解試論 第十三回「記号的、象徴的(後編)質感を覚えている」

こんにちは、デレラです。

非一般的読解試論の第十三回をお送りします。

前回から「記号的、象徴的」と題しまして、「記号」と「象徴」について描かれた小説や表現物を取り上げながら、「記号」と「象徴」の違いについて考えております。

今回は、「質感」がテーマです。

質感とは、「記号」と「象徴」の間にあるものです。まず最初に、その説明から始めます。

次には、質感の具体例として、印象派画家モネの絵画「

もっとみる
非一般的読解試論 第十二回「記号的、象徴的(前編)脱色とメロディ」

非一般的読解試論 第十二回「記号的、象徴的(前編)脱色とメロディ」

こんにちは、デレラです。

非一般的読解試論をお送りします。

何かを見たとき、読んだとき、聞いたとき、ひとは感想を抱きます。

感想は、ひとそれぞれ違う。では、なぜその感想を抱いたのか。

感想とは何か、について考えることからスタートした、非一般的読解試論。

現在は、もはや単なる感想文、あるいはエッセイとなっております。

前回は、神林長平さんの『戦闘妖精・雪風』というSF小説を足がかりに、心

もっとみる
非一般的読解試論 第十一回「ダイヤモンドダストは美しい」

非一般的読解試論 第十一回「ダイヤモンドダストは美しい」

こんにちは、デレラです。

非一般的読解試論は、感想文とは何か、ということを考えるために始めました。

もはや、好き勝手に書くエッセイになりつつあります。

まあ、良いっすよね?

何か見たり聞いたり読んだりして、感じたことを、ゆるーりとこれからも書いていきます。

今回は、わたしの大好きなSF作家のひとり、神林長平さんの『戦闘妖精・雪風』シリーズを読みなおしましたので、その感想文を足がかりに、色

もっとみる
非一般的読解試論 第十回「もしも足跡を見つけたら」

非一般的読解試論 第十回「もしも足跡を見つけたら」

こんにちは、デレラです。

第十回 非一般的読解試論をお送りします。

今回は、わたしの友人である同人作家ごひにゃんの新作『僕は世界を愛さない』についての感想文を書きます。

ネタバレが含まれますので、その点、ご承知おきください。

さて、ごひにゃんの新作『僕は世界を愛さない』は、艦これの同人小説です。

すごくソリッドで印象的なタイトル。

このタイトルは、本作の主人公である時雨のセリフ(「僕は

もっとみる