犬や猫 陶芸 歴史 美術 thé techno 古い建物や街歩きが好きです。 短距離…

犬や猫 陶芸 歴史 美術 thé techno 古い建物や街歩きが好きです。 短距離スプリントとマラソンと。

記事一覧

鳥と歯と率と

世界の問題に向き合うことと、自分の問題に向き合うこと。 この距離感について前から考えている。 教養をつけることは、自分の一人称視点に加えて、三人称視点、または俯…

森
2週間前

フィジカルな対話 焚き木

とある教育的なコンテンツに接して、ハタと膝を叩いて沁みいる。 歌や音楽は目と目を合わせなくても、そこにいる多くの人が心を近くすることができる。同じ場にいるだけで…

森
2か月前
4

だし文化 GOGO

いちばん好きな食べ物は何かと思えば、みそ汁かもしれない。 NNNドキュメント「半透明のわたし」をみた。 様々な要因で生活が困難で、生活保護を受けている家庭の子供は…

森
2か月前
8

広場のしりとり

銭湯に行ったら少年とおじさんが湯船でなにやら真剣に話し込んでいた。 温泉や銭湯というのは心も身体もゆるむのが常で、なかなかシリアスにならないのが良いところだと思…

森
2か月前
6

民話と伝説と

「こころの時代」 口伝されてきた民話を聞き集めて記録する探訪を続けてきた民話採集家の小野和子さん。語りにより救われたり、その土地を歩く実感が変わったり。 民話に…

森
2か月前
4

劇場と廃墟と

イマーシブシアター。参加、没入型。と説明される。 安全と刺激のバランス。「シアター」について考えてると、大袈裟に言えば、この公演にいったら、歯の一本や二本いくか…

森
2か月前
6

ねこの日 猫

今日は猫の日。 猫は素晴らしい。かわいい上にさまざまな視点を与えてくれる。 そもそも猫という漢字すらかわいい。 寝る子だから「ねこ」という素晴らしい説がある。 寝…

森
2か月前
5

ホッパーと光

エドワード・ホッパーはアメリカの美術学校が合わずにパリに行ったという。 パリはちょうどキュビズムなどの運動が巻き起こっていたが、ホッパーはパリの街、橋や教会を描…

森
2か月前
3

職人のドキュメンタリー

職人業界のあるドキュメンタリーをみた。 職人業界の離職率の高さの問題を解決するために、ある左官業の会社は改革に乗り出した。 本来は修行をはじめてから5年しないと触…

森
2か月前

ポンピドゥー ピュトー

国立西洋美術館 「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展」 へ行った。 キュビズムという運動がセザンヌの大きな影響を受けていたと初めて知った。全くそうした連環…

森
2か月前
2

古典ラッキー

安田登さんの孔子についての本を読んでいると「君子」と「小人」が出てくる。ことごとく自分が「小人」に当てはまる。すべきときを逃し、言うべきでないことを言う。 紀元…

森
2か月前
5

怪談

民話や怪談が好きで、よく調べたりする。古い建物に行ったときは「なにか不思議な話とか知りませんか」などと聞いたりするし、年配の方と話す機会があると、なんとなしに聞…

森
3か月前
3

東京おどるおばあさん

最近また能の本を読んでいて、去年の暮れにあった時間を思い出した。 少し混んだ電車の中、座っているおばあさんが中吊り広告のあたりをぼんやり見つめながら、手をヒラヒ…

森
3か月前

丁寧

学びたいこと、と思うと言葉のこと。 普段は日本語を使っているけど、例えば英語で会話するときの頭の中身の色やノリが変わることの面白さ。ヨーロッパ圏に生活する人々は…

森
3か月前
2

街と明るさ

街には暗がりがないと色気がなくなって、乾いた街になってしまう。例えばパリとかにはこの路地の奥どうなってるんだという暗闇があって、酔っ払いが立ちションをしていたり…

森
3か月前

横顔

人の横顔というのが好きだと気づいた。人の横顔は綺麗だと思う。横顔を見ているとき、こちらがそちらを見ていると分からないから、その人も緊張のないニュートラルな顔にな…

森
3か月前
3
鳥と歯と率と

鳥と歯と率と

世界の問題に向き合うことと、自分の問題に向き合うこと。
この距離感について前から考えている。

教養をつけることは、自分の一人称視点に加えて、三人称視点、または俯瞰した視点を習得するようなイメージもある。しかしながら、いくら俯瞰的視点を身につけも、自分の歯が痛めば、視点は一気に一人称視点に戻される。
自分の歯が痛いのだから仕方がない。自分の歯が痛いのに、遠い海の向こうの問題を考えられる、こともある

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フィジカルな対話 焚き木

フィジカルな対話 焚き木

とある教育的なコンテンツに接して、ハタと膝を叩いて沁みいる。

歌や音楽は目と目を合わせなくても、そこにいる多くの人が心を近くすることができる。同じ場にいるだけでいい。だからこそ歌や音楽は人類の原初の段階から生活と共にあった。

歌の原初は子守唄であり、そこから大人のための狩りなど、困難を乗り越えるためのブースターとして機能してきた。ブースターといえば現代でも戦争と音楽は距離が近く、例えば軍歌によ

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だし文化 GOGO

だし文化 GOGO

いちばん好きな食べ物は何かと思えば、みそ汁かもしれない。

NNNドキュメント「半透明のわたし」をみた。

様々な要因で生活が困難で、生活保護を受けている家庭の子供は大学に行くことを認められていないという。知らなかった。

番組に出演して自分の言葉で語っていた大学生の女性は、そのルールによって大学進学が困難になり、家を出て自分で働き、学費も生活費も払うという「保護」のルールの外にでて大学へ進学する

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広場のしりとり

広場のしりとり

銭湯に行ったら少年とおじさんが湯船でなにやら真剣に話し込んでいた。
温泉や銭湯というのは心も身体もゆるむのが常で、なかなかシリアスにならないのが良いところだと思うので、その二人の妙なシリアスさはやけに目についた。妙だ。

しかし二人はただ、しりとりをしていただけだった。
しかもお笑いくくりルールだった。どうやらお笑いに関することだけでしりとりをするという設定らしい。なおさら何故、そんなシリアスなの

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民話と伝説と

民話と伝説と

「こころの時代」

口伝されてきた民話を聞き集めて記録する探訪を続けてきた民話採集家の小野和子さん。語りにより救われたり、その土地を歩く実感が変わったり。 民話には語り手の人生、先祖の切実な現実や知恵が蓄積されている。小野さんの民話採集の道のりそのものが民話のようだった。

物語に人間や自然の残酷さ、優しさが潜んでいて、実生活に響く。
自然のすぐ近くで、山や森、海や川と共に生きてきた人々によって語

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劇場と廃墟と

劇場と廃墟と

イマーシブシアター。参加、没入型。と説明される。
安全と刺激のバランス。「シアター」について考えてると、大袈裟に言えば、この公演にいったら、歯の一本や二本いくかも、とか、白い服は汚れるからやめとこうとか、そういうスリリングさが演劇とかの魅力の一つでもあるような気もする。

元来の祝祭性として。それでも観てみたいぞっていう。そういうことは年々できなくなるけども。なんかそういう色気、ヤバさについては考

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ねこの日 猫

ねこの日 猫

今日は猫の日。
猫は素晴らしい。かわいい上にさまざまな視点を与えてくれる。
そもそも猫という漢字すらかわいい。

寝る子だから「ねこ」という素晴らしい説がある。
寝ることは最も大切なことだ。ねこのようにひろいで寝られる状態を目指したい。お腹を上に向け、世界に己を開けっぴろげて眠る。
その姿を見るだけで、眠るような回復の効果を人間にもたらす。

猫には過去も未来もない。ただ現在があるだけで、その瞬間

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ホッパーと光

ホッパーと光

エドワード・ホッパーはアメリカの美術学校が合わずにパリに行ったという。

パリはちょうどキュビズムなどの運動が巻き起こっていたが、ホッパーはパリの街、橋や教会を描いていた。

パリは橋の下でさえ光にあふれていた、とホッパーは語っていたというけど、それはニューヨークのような電気に照らされた都市の光ではなく、街が人間と共に歩んで培ってきた人間くささと、夜の路地の暗さがあるからこそ引き立つ光のことだった

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職人のドキュメンタリー

職人のドキュメンタリー

職人業界のあるドキュメンタリーをみた。
職人業界の離職率の高さの問題を解決するために、ある左官業の会社は改革に乗り出した。

本来は修行をはじめてから5年しないと触らせてもらえなかったコテを初日に持たせ、丁寧に教える。動画を撮って、同時にベテランとの映像と比較して、すぐに上達していく新入社員。その新入社員は南アフリカから来た女性で、あっという間に壁を塗れるようになっていた。

最初は慣習から飛び出

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ポンピドゥー ピュトー

ポンピドゥー ピュトー

国立西洋美術館

「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展」 へ行った。

キュビズムという運動がセザンヌの大きな影響を受けていたと初めて知った。全くそうした連環を感じれていなかった。しかしセザンヌの世界からキュビストたちは大きな刺激を受けていた。面白い。思わぬところからプレゼントがある。というより予測していなかったところから何かを発見する刺激は人間の面白みの最たるところだと思えた。

重なる時

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古典ラッキー

古典ラッキー

安田登さんの孔子についての本を読んでいると「君子」と「小人」が出てくる。ことごとく自分が「小人」に当てはまる。すべきときを逃し、言うべきでないことを言う。

紀元前、もう2000年以上前から言われているダメパターンに停滞している。とはいえ、それを知れたのはラッキーだったかもしれない。

孔子はとにかく効く。それを残した弟子たちのセンスのよさ。子供によく聞く「大人になったら何になりたい?」という文句

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怪談

怪談

民話や怪談が好きで、よく調べたりする。古い建物に行ったときは「なにか不思議な話とか知りませんか」などと聞いたりするし、年配の方と話す機会があると、なんとなしに聞いてしまう。ところで軍隊などのクローズドサークルには怪談が多いらしい。もちろん軍隊は日常よりはるかに死の領域と近いし、自衛隊などは旧日本軍の土地をそのまま使っている駐屯地も近いので、様々な逸話があるという。

軍隊の訓練は飲まず食わずで歩き

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東京おどるおばあさん

東京おどるおばあさん

最近また能の本を読んでいて、去年の暮れにあった時間を思い出した。

少し混んだ電車の中、座っているおばあさんが中吊り広告のあたりをぼんやり見つめながら、手をヒラヒラとゆっくり動かしていた。その目を見ると、そのあたりにある特定のものを見ているのではないと分かる。何かを思い出そうとする、自分の記憶をたぐるような目だった。

そのゆっくりとした手の動きは、きっとかつて、舞踊でもやっていたのだろうという手

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丁寧

丁寧

学びたいこと、と思うと言葉のこと。
普段は日本語を使っているけど、例えば英語で会話するときの頭の中身の色やノリが変わることの面白さ。ヨーロッパ圏に生活する人々は近所に外国語がバンバンあるものだから、日常のノリとして外国語に接しているし、それを自分で使う機会も豊富だろうと思う。脳内多言語という面白い状態も、近所に人種も宗教も言語も違うスーパー他者がたくさんいるっていう状況は日本からすると特殊だし、羨

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街と明るさ

街と明るさ

街には暗がりがないと色気がなくなって、乾いた街になってしまう。例えばパリとかにはこの路地の奥どうなってるんだという暗闇があって、酔っ払いが立ちションをしていたりする。目抜通りにも芸術家が占拠した廃墟のようなワケの分からない建物があったりする。暗闇は人の想像力の燃料みたいなもので、水木しげる先生も「明るくなりすぎた街には妖怪さんがいられなくなってしまった」と言っていた。人工によってコントロールされす

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横顔

横顔

人の横顔というのが好きだと気づいた。人の横顔は綺麗だと思う。横顔を見ているとき、こちらがそちらを見ていると分からないから、その人も緊張のないニュートラルな顔になるからかもしれない。

真正面から人を顔を見るというのは面接とかダンスとか、お見合いというか、儀礼的になって緊張する。動物で例えたら、戦いになる寸前のような、相手との距離を測ったり戦力を推測したりするような緊張感がある。

でも横顔を見ると

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