紙布織 山内ゆう

島根県西部・石見地方で1300年の歴史を持つ石州和紙を素材に日々、糸を紡ぎ、布を織って…

紙布織 山内ゆう

島根県西部・石見地方で1300年の歴史を持つ石州和紙を素材に日々、糸を紡ぎ、布を織っています。 ◎https://shifuori.com/https://www.instagram.com/iwami_ori_yuy/

記事一覧

タテ糸とヨコ糸。いきさつ。敬意。

「見えないケイイ。」展 皆さまのお蔭で、無事に終了いたしました。 ご協力くださった方々、ご来場のお客様に改めて感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうござい…

「見えないケイイ」展の1ヶ月半。

展示もいよいよ終わりが近付いてきました。(寂しい…) お盆期間は、11-15日、14:00-18:00&20:00-23:00で営業いたします。 店舗の営業に準じて、展示の最終日は15日とな…

7/1~8/16 見えないケイイ。

島根県温泉津町にて個展を開催いたします。 今回は初めての試みで、紙布の技術を応用して、カレンダー(空き家からいただいたもの)から布を作りました。 その布を「時布…

初めての作品展の振り返り。

4/15,16の展示、「紡ぐ〜山内ゆう染織作品展」から2週間が経ちました。 展示が無事に終わったら一息つけると思っていたのですが、注文が入ったり、なんだりかんだり、ず…

4/15,16 「紡ぐ」山内ゆう染織作品展

展示をさせていただくことになりました。 「紡ぐ」山内ゆう染織作品展 日時:4/15(金)16(土) 10:00~16:00 場所:三原平田家母屋(「三原郵便局」をナビに入力してお越し…

考える。ただ、自分が納得するために。

セミナーで、紙布について30分ほどお話しをさせていただきました。 アーカイブです。 自分の考えを文章ではなくて声で表明することは初めてだったので、理論の弱さをつつ…

書くこと、織ること。

文章(text)の語源としての「織る/編む」が、最近とてもおもしろいです。 はじめて布を織ったとき、自分の頭の中にあるイメージを布に落とし込み、そして機織り機から下…

たくらんでいることと、2/4の覚書。

6月に島根県内で作品の展示をします。 たくらんでいることに必要な、空き家に残されたカレンダー。 寒い寒い立春の日、一軒の空き家から14組ものカレンダーをいただきまし…

いちりんほどの暖かさ。

庭の水仙が咲きました。 手入れの行き届かない庭の隅のほうで自生していて、でも球根なので、どうやって自生したのかなと思っています。 誰かが球根を捨てたのか、それと…

全国伝統的工芸品公募展で入賞いたしました。

タイトルの公募展で、全国商工会連合会会長賞をいただいて、その作品と賞状を持って県知事へ表敬訪問をさせていただきました。 こちらは木綿の帯地になります。 このデザ…

WEBサイトを作っていただきました。

紙布織 山内 https://shifuori.com/ 制作は、町に移住するころからお世話になっているRIVERBANKSさん。 撮影は、隣町で里山開拓をされているシーラカンス食堂さんのかた…

ひとりは、ひとり。

ちゃんと決別したはずの孤独が 石鹸のようにつるっと滑り込んできたので。 びびって。 枯野に飛び出した。 ◎作業風景Instagram https://www.instagram.com/iwami_ori_y

2021年、冬の日。

11月、12月、 大切な人がふたり、立て続けに天国に旅立ちました。 まだまだ会えると思っていた。 自分の慢心が悔しいです。 そして、どちらもお見送りすることが出来なか…

こうやって、人は変わっていくんだな。

今年度の島根県総合美術展にて銀賞をいただきました。 諸紙布綴織帯地「瑃」 (もろしふ つづれおり おびじ 「ちゅん」) まだまだ実験段階で、この白の表現には伸び代があ…

文化を失うとは、どういうことか。②

島根県の特産品である石州和紙を使った紙布というのは、かつてはこの地域の人々にとって当たり前に有るものでした。紙布用に紙を切る専門の職人さんがいたほどで、その職人…

文化を失うとは、どういうことか。①

島根県の特産品である石州(せきしゅう)和紙は、1300年前に柿本人麻呂が国守としてこの地へやって来たときに伝えたとされています。 その技術は徐々に国中に伝わり、農民の…

タテ糸とヨコ糸。いきさつ。敬意。

タテ糸とヨコ糸。いきさつ。敬意。

「見えないケイイ。」展
皆さまのお蔭で、無事に終了いたしました。

ご協力くださった方々、ご来場のお客様に改めて感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

今回たくさんのかたとお話しをさせていただいて、アートというのは、対話によって完成されるもの、つまり、その場に居合わせる人が変われば、作品も変わるんだと感じました。
厳密に言えば変わるのは作品の見方や解釈ですが、作品自体が変わる

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「見えないケイイ」展の1ヶ月半。

「見えないケイイ」展の1ヶ月半。

展示もいよいよ終わりが近付いてきました。(寂しい…)
お盆期間は、11-15日、14:00-18:00&20:00-23:00で営業いたします。

店舗の営業に準じて、展示の最終日は15日となりましたのでご留意ください。
連日暑くなりそうですが、みなさまのお越しを心よりお待ちしております!

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「見えないケイイ。」
どのような経緯があったのか。石州和紙は経糸になり

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7/1~8/16 見えないケイイ。

7/1~8/16 見えないケイイ。

島根県温泉津町にて個展を開催いたします。

今回は初めての試みで、紙布の技術を応用して、カレンダー(空き家からいただいたもの)から布を作りました。
その布を「時布(じふ)」と名付け、下の通りにお披露目をさせていただきます。

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「見えないケイイ。」

どのような経緯があったのか。石州和紙は経糸になり、カレンダーは緯糸になった。
どのような敬意があったのか。2本の

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初めての作品展の振り返り。

初めての作品展の振り返り。

4/15,16の展示、「紡ぐ〜山内ゆう染織作品展」から2週間が経ちました。

展示が無事に終わったら一息つけると思っていたのですが、注文が入ったり、なんだりかんだり、ずっとばたばたしていました。(展示の翌日には、次のギャラリー展示について、夜中まで打ち合わせをしたりしていた)

なかなか気持ち的には落ち着かないのですが、5月がまた怒涛の予感がするので、今日は思い切ってのんびりしています。
さてさて

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4/15,16 「紡ぐ」山内ゆう染織作品展

4/15,16 「紡ぐ」山内ゆう染織作品展

展示をさせていただくことになりました。

「紡ぐ」山内ゆう染織作品展

日時:4/15(金)16(土) 10:00~16:00

場所:三原平田家母屋(「三原郵便局」をナビに入力してお越しください。駐車場係がご案内します)

入場:300円(高校生以下無料、コーヒーまたはお抹茶付き)

小展示:小西さんの自家栽培綿、手紡ぎ、手織りの布

物販:小丸さん(パン、キッシュ)、木下さん(パン)、ほか ※

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考える。ただ、自分が納得するために。

考える。ただ、自分が納得するために。

セミナーで、紙布について30分ほどお話しをさせていただきました。
アーカイブです。

自分の考えを文章ではなくて声で表明することは初めてだったので、理論の弱さをつつかれないかなど考えて迷いましたが、結果的に一歩進めたような気がするので良かったです。
これからも声を出して、ちゃんとした批判をいただき、自分の考えを深めていけたらと思っています。

まぁ、しかし、誰も私に理論的な強さは求めていないでしょ

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書くこと、織ること。

書くこと、織ること。

文章(text)の語源としての「織る/編む」が、最近とてもおもしろいです。

はじめて布を織ったとき、自分の頭の中にあるイメージを布に落とし込み、そして機織り機から下ろして手に取る…さっきまで頭の中にもやもやと漂っていたものが実体を持っている!と、感動と同時に、意味が分からないと感じたのを覚えています。

頭の中にあるものを取り出して形を与えるという工程が、文章にも共通していて、それ故語源になった

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たくらんでいることと、2/4の覚書。

たくらんでいることと、2/4の覚書。

6月に島根県内で作品の展示をします。
たくらんでいることに必要な、空き家に残されたカレンダー。

寒い寒い立春の日、一軒の空き家から14組ものカレンダーをいただきました。



朝、「新聞見たよ」との連絡をもらい、先日の取材が記事になったことを知る。まだ数日先だと思っていたので、不意を打たれて驚く。

9時、担当者さんが地域おこし協力隊の月面談のために家に来てくださり、最近の仕事の話をする。

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いちりんほどの暖かさ。

いちりんほどの暖かさ。

庭の水仙が咲きました。

手入れの行き届かない庭の隅のほうで自生していて、でも球根なので、どうやって自生したのかなと思っています。
誰かが球根を捨てたのか、それとも、どうにかして種から育ったのか。

…なんでもええ、なんでもええ、
生きてさえいれば、なんでもええ…

目の前にいる私とは目を合わせずに、祖父は言った。

祖母が脳梗塞で倒れて、一命は取りとめたけれど、後遺症が残っていた。

あきらめと

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全国伝統的工芸品公募展で入賞いたしました。

全国伝統的工芸品公募展で入賞いたしました。

タイトルの公募展で、全国商工会連合会会長賞をいただいて、その作品と賞状を持って県知事へ表敬訪問をさせていただきました。

こちらは木綿の帯地になります。
このデザインは、銀座を歩いていたときにショーウィンドウに見つけた南国柄のスーツを見て、「これを絣で表現したものを見てみたいな〜」という好奇心から生まれました。

あえて伝統的な藍染の紺絣にすることで、柄の自由さ、めずらしさが引き立つようにと考えま

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WEBサイトを作っていただきました。

WEBサイトを作っていただきました。

紙布織 山内 https://shifuori.com/

制作は、町に移住するころからお世話になっているRIVERBANKSさん。
撮影は、隣町で里山開拓をされているシーラカンス食堂さんのかたがた。
みなさまのお蔭で、見た目もかっこよく、内容もしっかりしたサイトになりました。

紙糸作りと、織りの流れを文章で。

写真も一日掛かりで撮影していただきました。

プロのお仕事って、やっぱりプロだなぁ

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2021年、冬の日。

2021年、冬の日。

11月、12月、
大切な人がふたり、立て続けに天国に旅立ちました。

まだまだ会えると思っていた。
自分の慢心が悔しいです。

そして、どちらもお見送りすることが出来なかった。
本当なら仕事のスケジュールの合間を縫って駆け付けるところですが、体の調子が悪くて動けませんでした。

「居場所」なんてただの幻想と思っていましたが、人こそが居場所で、私が失ったのは大切な人と、大切な居場所だったのだと感じて

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こうやって、人は変わっていくんだな。

こうやって、人は変わっていくんだな。

今年度の島根県総合美術展にて銀賞をいただきました。

諸紙布綴織帯地「瑃」
(もろしふ つづれおり おびじ 「ちゅん」)

まだまだ実験段階で、この白の表現には伸び代があると思っています。
素材の美しさがもっと引き出せるよう、ますます精進いたします。


「このままでは鬼になってしまう」
10月の終わり、そんなことを考えていました。
上の制作やそのほか諸々で、精神的にも肉体的にも追い詰められてい

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文化を失うとは、どういうことか。②

文化を失うとは、どういうことか。②

島根県の特産品である石州和紙を使った紙布というのは、かつてはこの地域の人々にとって当たり前に有るものでした。紙布用に紙を切る専門の職人さんがいたほどで、その職人は「紙切ナタ」を使って200枚重ねた和紙を2ミリ巾に切るという技術を持っていました。すごい。

しかし、この地方での紙布の生産というのは100年前に途絶えました。
その理由は昨日書いた通り、廃藩置県、産業革命、都市集中型生活など、一言で言え

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文化を失うとは、どういうことか。①

文化を失うとは、どういうことか。①

島根県の特産品である石州(せきしゅう)和紙は、1300年前に柿本人麻呂が国守としてこの地へやって来たときに伝えたとされています。
その技術は徐々に国中に伝わり、農民の農閑期の仕事として盛んに行われました。

和紙の主な原料である楮の一般的な繊維長は8ミリであるのに対し、この土地で育てたものは10ミリ程度ということで、土地との相性も良く、石州和紙が盛んに製造されたのにはそういった環境的要因もあったよ

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