恋なんてしていない【5】#過ぎ去った恋を弔う←募集中です♪

シュンと紅葉を見ることはないまま、冬が来た。
部活では二月の幹部交代に向けて、ピリピリした会議が続いている。
私はもう、発言しなくなっていた。

みんなに同意はできず、説得力のある反論もできない。
ハヤシさんが心配して声をかけてくれたが、味方してくれるわけではない。
大学に入って得た唯一の居場所は、消えてしまっていた。

辞めようと決めた、クリスマスの日。
駅から大学への道を、自分の足だけ見て歩い

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Thank you, I am glad you like it.
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「月光に溺れる」第十九話

      十九

 夜更けにバーを出て、里は今晩も尋常に歩いて帰宅の途に就いた。玄関の鍵穴に使い慣れた鈍い銀の鍵を差し込んで、扉を引く。古い家で、扉の右側を少し持ち上げなければ滑らかに開ける事が出来ない。それでもがたがたと音がする。洗面を済ませた里は先ず仏壇の前へ膝下ろす。仏壇の正面に置く座布団をひょいと横へ移して、畳の上へ直に正座すると、鈴(りん)を一回だけ鳴らして手を合わせた。
「お前さん、

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これからも頑張りますっ
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【大喜利のお題を選んで小話を書き殴る343】寒い冬に体を温める方法を教えてください

今日はいい天気でしたね〜!!朝は8時過ぎの起床となりましたが・・・連休明けの割には良い日だったと思います。そうそう、連休前のweb飲み会で酔いつぶれてしまったことも、意外と大丈夫そうでホッとしています。なんせあの日、自分でzoomを切った記憶が全然ないんだもんなあ・・・その後、泥酔からのnote記事誤爆、顔面蒼白でぶっ倒れ、次の日1日ダウン。それに比べたら・・・今日はあったかくてとってもいい日でし

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明日も書きます!

「月光に溺れる」第十八話

    十八

 或る日例の常連客が一番上等のいつもの席で泉を座らせて飲んでいる処へ、予定に無かった里がひょいと現れた。クラブは大慌てで席の配置を算段し始めて、ところが里は泉を見つけるなり仲間に入れてくれと云い出した。泉は常連の男を見た。男は泉の店を乱さない為と、自分の価値を下げない為に愛想良く里を受け容れた。里は遠慮なく泉の隣へ腰を下ろした。男と里は泉を挟んで座る格好になった。里の態度からして、

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これからも頑張りますっ
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Forget Me Not(第9章)

これは何?
 絵を描けなくなった画家である日向理仁を中心に、湖畔で起きた失踪事件の解明を試みるお話。

第9章
 天は貪欲に空の瑞々しさを飲み干し、地はほんの僅かなおこぼれによって照らされている。ある日の昼間。とぼとぼと重い足取りで、しかし確かに歩み寄ってくる冬の準備をしていた。冬を越すための暖炉用の薪や保存のきく食糧を手の届くところに集めた。そして、ウィスキーやラム酒も。気が付けば、本数と銘柄を

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ドギャアアアアン
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ショートショート 立春

 春に冬を求めて厚着をした。家族は僕を嘲笑し、軽蔑する。リビングにいた母は絶句し妹は高笑いを浮かべ弟は見なかった事にした。そんな家族を無視して僕は街に出る。頬に風があたる。この風は冬の凍てついた風では無く春の陽気な風だった。

 冬はもういない。この街の誰もが薄着で歩いていて厚着をしている僕に怪訝な目を向ける。僕が自意識が高くて被害妄想が激しいタイプだがこれは間違いなくみんな僕に目を向けている。こ

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「月光に溺れる」第十七話

     十七

 初雪のちらつく寒い日であった。紀ノは上着の前を首元迄締め切って、雪の中、足元の悪い歩道を歩いていた。昼間の内に食料を買い込んでおくべき処、午後になってやっとの外出で、昨日陽射しのある内に出掛けなかった自分を恨みながら、前傾姿勢である。上空からしきりと舞い降りる白いのは、風が無ければそれなり華憐な振る舞いをするが、更に寒気が流れ込むと一気に上から斜めから吹き荒れて厄介者になる。予

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ありがとうございます
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スキをありがとうございます!とても嬉しいです(・∀・)
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「月光に溺れる」第十六話

     十六

「藤原さん、俺そろそろ帰ろうかな」
「なんだ、今日はえらく謙虚じゃねえか。もう酔ったのか」
「いえ、自分にはこんな店じゃ敷居が高いから」
「酔えねえってか」
 紀ノは苦笑しながらグラスを干した。おかわりを作るかどうかと気遣う左隣の女性をやわり断ると、紀ノは本当に腰を浮かし掛けた。
「落ち着かねえ野郎だな。まあ、待てよ」
 二人が押し問答している処へ、いつの間に席を立っていたのか、

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嬉しいです。
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