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言葉を、大切にしたい。自由に使えるからこそ、丁寧に扱っていきたい。最近よく思います。

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マガジン

  • 【繋がろう】シロクロの共同運営マガジン

    • 25,176本

    【コンセプト】新しい出会い・繋がりのきっかけになったら嬉しいです︎︎👍 記事を見て貰えたら嬉しいし、スキも増えたら嬉しいそんな暖かいマガジンにしていきたいと思ってます😊 私自身もnote初心者なので一緒しnoteを楽しんでいきませんか(*・∀・)/💖\(・∀・*)

  • とらねこ村<トランスミッション>

    • 152,081本

    あなたと作る共同マガジン。総勢4000名が関わる大規模マガジンに成長中。グループ合計で参加者1,500名、フォロワ数2,500名、約18万記事が収録中。🥕コンテンツを広めたい方の参加をお待ちしています。🥕マナー:①連続投稿はしない②社会一般的に不適切な記事は投稿しない③トップ画面は変えない。参加希望の方は,マガジンの固定記事からコメントしてね。

  • 【短編小説】仮初の安全と声色の呪縛

    今までnoteに書きためてきたネタを使って1つの小説を作るためのマガジンとなります。

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静かな雨で考えること

 静かな雨が降っている。地面に激しく打ちつけるようなものではなく、雪のように柔らかい、植物の葉に優しく触れるようなものだ。僕は、アスファルトの変色でその存在にやっと気がつくことができた。  夏の雨には、恐怖のようなものを感じていた。雷もセットなので何とも暴力的というか、高圧的というか。涼しくなるのはありがたかったのだが、素直に感謝をできない存在であった。  今日の雨は親しみが持てる。猫の額ほどしかないベランダで育てている植物も喜んでいる気がする。いわゆるゲリラ豪雨ではなく、降

    • 『おすすめ』に頼ることは、ダサいことですか

      僕は、雑食だ。 これは、人間が雑食動物であることを 言いたいわけではない。 読書の話だ。 僕の場合、 小説が一番の好物で、好きな作家さんだっている。 ただ、目の前によく分からない事柄の ルールブックしかなければ、 それを楽しく読めてしまうのも事実だ。 自分を酷く言うのは抵抗があるが、 要は活字ならなんでも良いのだ。 文章を読んで、勝手に解釈することが楽しい。 ただ遠くを眺めて、 静かに自分の中だけに解釈をとどめる。 ちなみに何でも読めるからといって、 全てが僕の知識にな

      • 時からの解放

         時間を決めずにやりたい事だけをやってみた。天気が悪いのに洗濯をしてみたり、すぐ汚されるのに猫グッズの掃除をしてみたり、一瞬しか保たれないのに作家のあいうえお順で本棚を整理してみたりだ。  僕の家には掛け時計のような、そこを見れば時間が分かる類の時計がない。時間を知るためには携帯などを見る必要がある。そしてその日の僕は、携帯を見ないと決めていた。  時から解放された僕は、一つひとつの作業をゆっくりと行った。誰の基準でもなく、僕の基準で僕が納得するまで。あまりにも普通の体験だが

        • 明日もお休みですが

           とてつもないブラックな会社に勤めているわけではないので、有給は割と自由に使うことができるのだが、僕は有給の使い方がうまくない。計画を立てる意志が弱いのだ。どこか遠くに行くのは嫌いではないし、プライベートの時間なら、誰といてもマイペースに過ごせる特技もある。ただ、それは計画がしっかり決まってから発揮される能力であり、僕にはそれらを始める能力が絶望的に欠けている。  例えば、旅館の予約をする場合。行きたい地域を何となく想像して、旅館の総合サイトを眺めるのはすごく好きだ。おそらく

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          転んだ後は…

           嘘みたいな転び方をした。僕ではなく、公園にいた猫がだ。最近、健康のために近所の公園で散歩をしている。体重や見た目には変化がないのだが、健康診断の数値に僅かな変化が見られたのだ。これを見過ごすと、しばらく数値の変化を見なくなる予感があった。自分の性格は自分が一番良く知っている。  歩きながらふとベンチを見ると、猫がそこから降りようとしているところだった。降りようとしては座り、降りようとしては座るを繰り返す。僕は足を止めて猫を見守ることにした。何か不調があるのではと心配だったの

          転んだ後は…

          もふもふの猫とカチコチの腰

           寒い日が続くようになってきた。でも、まだ暖かい日もたまにある。この何とも言えない時期は、温度の対策がうまくいかない。家にいるはずなのに鼻水をたらしたり、汗をかいたりする。僕は洋服で調整することもできるのだが、猫は大変そうだ。日中は陽の当たる場所を見つけてゴロゴロしているのだが、夜は寒い時もあるようで、僕の膝の上に乗って暖をとっている。  寒い日は一緒に眠ることが増える。僕が大の字で寝ていると、足の間に入ってくるのだ。眠るまではお互いぽかぽかしていてご機嫌なのだが、睡眠中は無

          もふもふの猫とカチコチの腰

          積まれた本に対する言い訳

           本を読むことと同じくらい、本を集めてしまっている。もちろん買う時は全部読むつもりでいるのだが、だんだん読んだ気になってきて、終いには、ただ家に存在してくれていることに満足してしまう。  家に積まれている本たちは、美しい装丁や魅力的な題名、賢くなれそうな学術書など、どれも魅力的で、一度本を開けば一気に最後まで読めそうな気さえする。だけど、僕はその本たちを手に取らない。別にひねくれている訳ではないし、その作家を嫌っている訳でもない。遠目から見るだけでその本たちは、僕を満足させて

          積まれた本に対する言い訳

          予想外の訪問者

           友人の家に子猫が来た。ペットショップからお迎えしたとかではなく、ただ、来たのだ。僕が友人の家に玄関から入ったように、子猫も裏口から友人の家に入ってきた。  裏口の方から、か細い猫の鳴き声。その音を友人は僕が、僕は友人が出してると思っていた。だがそうではなかった。僕たちが裏口の扉を開くと子猫は、当たり前のように友人の家に入ってきた。 「猫…だな」  友人が呟く。誰がどう見ても猫だ。キジトラ模様のハチワレ。片目に大量の目やにがこびりついており、涙が止まらない様子だった。僕は携帯

          予想外の訪問者

          僕にとっての長い文章を書いてみて

           10月の三連休で、質は一旦無視して、長い文章を書き終えることができました。 あくまで僕にとっての長い文章です。 正確に数えてはいないのですが、おそらく40,000〜45,000文字くらいだと思います。 (初めてマガジン機能なるものを使って下記にまとめてみました) ・【良かったこと】書くことは、楽しいこと 題名が漢字ばかりで、画数も多いのでホラー小説と誤解されそうなのですが、 ほぼ何も起こらない、ただの青春小説だと、僕は思っています。 小説、今の僕の年齢、 この2つの要素

          僕にとっての長い文章を書いてみて

          仮初の安全と声色の呪縛_20(最終話)

          (前話はこちらから_20/20) ↓  年明け、祖母は天国に旅立ってしまった。最後の方は、眠る時間も長くなり、食事は全く摂れない状態だった。おそらく苦しみなどはなく、本当に静かに眠るように逝ってしまった。家族や親族はもちろん、自分の名前すらも忘れ、全ての記憶を病気に奪われ、空っぽになってしまった。僕個人の考えではあるが、祖母の思慮深さと知識がなければ、年明けまで持つこともなかったと思う。最後まで僕の大好きな祖母でいてくれた。大晦日やお正月が大好きな祖母だったので、何も体験

          仮初の安全と声色の呪縛_20(最終話)

          仮初の安全と声色の呪縛_19

          (前話はこちらから_19/20) ↓ 「じゃあ、行きましょう」  太田はいたって普通に振る舞っているが、僕はけっこう気まずかった。病院で感情が昂っていたのは間違いないのだが、勢いで太田に連絡して祖母の家に一緒に言ってほしいなんて軽々しく言ってしまったのだ。しかも以前、若い祖母から『人の家でデートするのってどんな気分なの』ということも言われていた。もちろん、今日もデートではないことは自分の心の中で整理はできているのだが、どうしても頭をよぎってしまう。 「早坂、ずいぶん強引な

          仮初の安全と声色の呪縛_19

          仮初の安全と声色の呪縛_18

          (前話はこちらから_18/20) ↓  珍しく横浜に雪が降った。交通は混乱して電車はいつもより50分近く遅延し、バスは渋滞に巻き込まれると徒歩よりも進行が遅くなるような有様だった。そんな僕も慣れない雪に足を取られて何度も転びそうになった。  時が流れるにつれて祖母の容態は悪化していた。妹や僕のことはもちろん母のことも認識するのが難しくなっており、極端に口数が少なくなっていた。担当医師の久遠先生や近藤さんが言うには、祖母の目線から見ると知らない人から親しげに声をかけてくるの

          仮初の安全と声色の呪縛_18

          仮初の安全と声色の呪縛_17

          (前話はこちらから_17/20) ↓  12月はすぐそこまで迫っていた。今日は予備校での高校3年のクラスを決める大切な模試のはずだったのだが、祖母が大切にしている庭が気になりすぎて、国語のテストはほとんど手がつかなかった。この秋から急激に伸びた英語と数学については問題なく解けたのだが、最後の国語については評論の議題が『看病』についてのもので、一気に集中力がなくなってしまった。おそらくひどい点数になっていると思う。 「太田は今日の模試どうだった」 「どうもこうもって感じかな

          仮初の安全と声色の呪縛_17

          仮初の安全と声色の呪縛_16

          (前話はこちらから_16/20) ↓ 「先帰るわ」 「おう。病院いってらっしゃい」  淳に短いメッセージを送るとそう返事がきた。私立文系クラスの僕らはどんどん勉強する科目が絞られていき、専門性の高い授業が行われるようになっていた。僕は大学別の数学の問題を何問も解かされていたので、おそらく淳は大学別の日本史の問題をたくさん解かされているのだろう。選択している科目が違うため、淳とはほぼクラスが被っておらず、登下校と昼休みくらいしか会わない日も最近は増えてきた。それでも日常の面

          仮初の安全と声色の呪縛_16

          仮初の安全と声色の呪縛_15

          (前話はこちらから_15/20) ↓  急激に気温は下がり、駅から学校までの時間は白い息を吐くようになっていた。いつだって冬は、何の前ぶれもなく僕らの前にあらわれるのだ。さすがの淳も寒いらしく、マフラーを首に巻いている。その姿が大きな熊のマスコットのように見えて、歩く姿は愛嬌があった。 「さすがに淳も寒そうだね」  僕は淳に話しかける。 「当たり前だよ。もう11月だぞ。海風のせいで体感は氷点下だよ。早くコートを着たいけど、まだクリーニングから返ってこないんだよな」  淳は

          仮初の安全と声色の呪縛_15

          仮初の安全と声色の呪縛_14

          (前話はこちらから) ↓  祖母のいない祖母の家に来た。病室でもらった鍵を持って。最近こそ一人で来ることも多くなっていたが、基本は家族と祖母に会いに行くことが多いので不思議な感覚だ。  祖母から渡された鍵は、家の大きさに似合わず小さくておもちゃのようだった。本当に開くか不安になりながら鍵を回すと、まるで僕を歓迎してくれているかのようにスムーズに回り、扉は開いた。      家は、人が住まなくなると傷むと聞いたことがある。祖母の家も様子が変わってしまったように感じる。手入れ

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