雨奈川ひるる | 短編小説

毎日1200字程度の短編小説を投稿しています。ちょっとした時間に、さっと読める物語をお…

雨奈川ひるる | 短編小説

毎日1200字程度の短編小説を投稿しています。ちょっとした時間に、さっと読める物語をお届けします。こんな恋愛したい、こんな日常を過ごしたいなど、心温まる小説を投稿しています。いつもの日常に、少しの非日常をお届けします。

メンバーシップに加入する

おばちゃん達みたいなお喋りをしましょう。 映画、アニメ、音楽、愚痴なんでもOK! 注意:誹謗中傷、暴言、セクシャルな話題、差別など禁止。

  • スタンダードプラン

    ¥886 / 月

マガジン

  • 短編小説 「昼下がりの君へ〜」

    滅びた国で楽しく暮らすダンとジュンのお話し。

  • 短編小説「夢の中のウサギ」シリーズ

    夢の中で喋るウサギとの不思議な出会いの物語です。

  • 短編小説|タコとイカの大冒険

    タコのタンクとイカのインクが主役の驚きと感動溢れる冒険小説をご紹介します。海底世界の絢爛とした背景に描かれた彼らの挑戦と友情は、読む者を深海の魔法に引き込みます。絆を深めながら未知の領域を切り開いていく二人のストーリーは、あなたの心を確実に掴むでしょう。

  • 短編小説「BEAST NOON」シリーズ

  • 小説 「少年シリーズ」

    書いた小説の頑張る少年の話をまとめました。

最近の記事

  • 固定された記事

短編小説 「コリンの無聊」

空は青、草は緑、タバスコは辛い、コリンは一人。 コリンがその懐中時計を見つけたのは、死んだおじいちゃん家に引っ越してきて間もなくのことだった。 古い家で、外壁はところどころ剥がれ、地下には地下室があった、庭には水圧の低いスプリンクラーが水をまいていた。 コリン一家の向かいには、ミスター・ライネンが住んでいた。年をとって、肌が白くぽっちゃりしている。いつも大きな麦わら帽子をかぶっていた。はじめて会った時、ミスター・ライネンから聞いた話によると、若い頃は海軍の特殊部隊だったら

    • 短編小説 「親指姫と赤ツバメ」

      小さなユースタスが目を覚ますと、部屋の窓から差し込む朝の光が彼女の赤い髪を輝かせていた。光がカーテン越しに柔らかく部屋を照らし、彼女の目を覚ます優しい目覚まし時計のようだった。チューリップの花から生まれて3年が経ち、その花びらの色を映したような赤い髪を持つユースタスは、今や大人の女性へと成長していた。 外の庭には色とりどりの花々が咲き乱れ、風に揺れる花びらがまるで彼女を歓迎するかのように踊っていた。その光景は彼女の心に親友カナヘビとの思い出を鮮やかに蘇らせた。カナヘビとの日

      • 短編小説 「パンを踏んだ娘:ブレンダ」

        小さな村の中心に住む少女、ブレンダ。その美しさは村中の注目を集めていた。金色の髪は太陽の光を受けて輝き、透き通るような青い瞳はまるで宝石のようだった。彼女の美貌は村を超えて町中にも広まり、誰もが一目見ようと足を運んだ。 ある日、町の富豪が彼女の噂を耳にし、実際にその美しさに魅了された。富豪は彼女をメイドとして雇うことを決めた。「これがあなたの新しい仕事服よ」と富豪夫人は、上質な生地で作られた美しいメイド服をブレンダに手渡した。布の触り心地は柔らかく、まるで雲を纏うようだった

        • 短編小説 「星の銀貨とユリスタ」

          貧しいユリスタは、ライ麦パンの小さな片を手に握りしめながら、古びた町の石畳を静かに歩いていた。彼女の美しい容姿は、薄手のワンピースによって一層際立ち、その貧しさが痛々しくも映し出されていた。曇りがちな空の下、冷たい風が彼女の頬を撫で、足元の砂埃が舞い上がりながら彼女の進む道を遮る。 歩き続ける彼女の視界に、薄汚れた服を着た少年がうずくまっているのが映った。少年の目は深い闇のように虚ろで、手には何も持っていなかった。その姿に心を打たれたユリスタは、瞬く間に決意を固め、手に持っ

        • 固定された記事

        短編小説 「コリンの無聊」

        マガジン

        • 短編小説 「昼下がりの君へ〜」
          4本
        • 短編小説「夢の中のウサギ」シリーズ
          3本
        • 短編小説|タコとイカの大冒険
          3本
        • 短編小説「BEAST NOON」シリーズ
          2本
        • 小説 「少年シリーズ」
          5本
        • 小説「この世界にごきげんよう」
          3本

        記事

          短編小説 「ホレおばさんと金のジョウロ」

          メアリーは、両親を失ったその日から、まるで闇に包まれた生活を送っていた。彼女の美しさと優しさが、継母のアリスタとその娘ブルタスにとっては嫉妬の対象であり、憎悪の源だった。アリスタの冷酷な目は、いつもメアリーを見下し、ブルタスの醜い顔にはいつも嫌悪の表情が浮かんでいた。 家事や雑用を押し付けられるのは日常茶飯事、メアリーの手はいつも荒れていて、体は疲れ切っていた。しかし、それだけでは終わらず、二人の暴力的な振る舞いが彼女の心と体に深い傷を刻んでいた。夜、メアリーがベッドに横た

          短編小説 「ホレおばさんと金のジョウロ」

          短編小説 「マッチ売りの少女の逆襲」

          冬の夜、冷たい風が頬を刺す。私は手に持つマッチ箱を見つめながら、父親の言葉を思い出していた。「今夜こそ、もっと売れよ。酒を買う金がいるんだからな」と、乱暴に言い放たれた言葉が耳にこびりついて離れない。路上に立つ私の周りには、雪が静かに降り積もっている。 通り過ぎる人々は皆、忙しそうに行き交い、誰も私の声に耳を貸そうとはしない。マッチを売るために叫び続けても、その声は冷たい風にかき消されてしまう。「マッチはいかがですか?温かいマッチをどうぞ」と、何度も繰り返しながら、次第に声

          短編小説 「マッチ売りの少女の逆襲」

          短編小説 「小人とクツ屋」

          むかしむかし、ある街のはずれに、小さなクツ屋がありました。この店は代々、親から子へと受け継がれてきた老舗でした。今は主人公の息子、トムが店を任されています。しかし、トムはクツ屋の経営に全く興味がなく、父親が苦労して築いた店を台無しにしていました。 毎日、トムは店の金を持ち出しては、街のカジノへ通い、ルーレットに使い込んでいました。ギャンブルの興奮に取り憑かれ、クツ屋の仕事などすっかり忘れてしまっていたのです。店の棚には、ほこりをかぶったクツが並び、お客さんの足音もほとんど聞

          短編小説 「小人とクツ屋」

          短編小説 「三匹のブタ」

          オオカミコーポレーションは、都会の中心にそびえ立つ高層ビルの中にありました。朝から夜遅くまで働く社員たちが行き交う中で、三匹のブタ、ポー、ピー、パーはこの会社で働いていました。創業者で上司のオオカミは、パワハラが日常茶飯事のブラック上司として恐れられていました。 毎朝、オオカミはオフィスに入ると同時に怒鳴り声を上げ、社員たちを震え上がらせました。「もっと効率を上げろ!そんな仕事の仕方では会社が潰れてしまうぞ!」と、オオカミの声はエコーしてビルの中に響き渡りました。 ポー、

          短編小説 「三匹のブタ」

          短編小説 「赤ずきんと白毛のオオカミ」

          森は緑が生い茂り、木々の葉は太陽の光を受けてキラキラと輝いていた。赤ずきんはその中を軽やかに歩いていた。手には、特製のラズベリーパイが入ったかごを持っていた。今日はおばあちゃんの誕生日。いつも元気なおばあちゃんに、美味しいパイを届けるための特別な日だ。 森の中を進むにつれて、赤ずきんの心はどんどん軽くなった。鳥のさえずりが耳に心地よく響き、小川のせせらぎが足元で涼しげな音を立てていた。道端には色とりどりの花が咲き誇り、その香りが風に乗って赤ずきんの鼻をくすぐった。 ところ

          短編小説 「赤ずきんと白毛のオオカミ」

          短編小説 「本日閉店」

          東京に上京してから10年間、僕は通い続けてきた本屋があった。 その本屋は小さな路地裏にあり、看板も控えめで、一見すると見過ごしてしまうような場所だった。けれども、そこは僕にとって特別な場所だった。静かな店内には、古い木の床が軋む音が心地よく響き、どこか懐かしい香りが漂っていた。 その本屋が閉店するという知らせを聞いたのは、梅雨のじめじめしたある日のことだった。仕事帰りにふらりと立ち寄った僕に、店主の佐藤さんが寂しそうに告げた。 「今月末で閉店することになったんです」

          短編小説 「本日閉店」

          短編小説 「ファミレス」

          朝から昼前まで、ファミレスのドリンクバー付きモーニングハンバーグを食べながら、僕は店内の様子をじっと観察していた。窓際の席に腰を下ろし、窓の外を見れば、青空に薄雲がかかり、陽の光が穏やかに降り注いでいる。室内はほどよく冷房が効いていて、外の暑さを感じさせない心地よさが広がっていた。 ハンバーグの香ばしい匂いが鼻をくすぐり、目の前のプレートには、ジュージューと音を立てるハンバーグが美しく盛られている。横にはサラダと目玉焼き、パンが添えられていて、ドリンクバーから持ってきたコー

          短編小説 「ファミレス」

          短編小説 「カリンの冒険」

          青い空に虹がかかり、広がる草原に花々が咲き乱れる幻想的な風景が広がる世界。その世界には、不思議な生き物や冒険が待っていた。 カリンは鮮やかな赤いケープを羽織り、ファンシーは紫色の毛並みを持つ、まるで絵本から飛び出してきたような愛らしい猫だった。二人はいつも一緒に冒険をして、未知の世界を探検していた。 ある日、カリンとファンシーは虹のふもとにある「別れの森」に辿り着いた。そこは不思議な力が満ちており、出会いや別れが交錯する場所だという。 「カリン、この森にはどんな秘密があ

          短編小説 「カリンの冒険」

          短編小説 「レインボーランド」

          僕の名前はレインボーボ。七色の毛皮を持つ不思議な生き物で、レインボーランドの住人だ。レインボーランドは、空にかかる虹の橋の下に広がる、美しくてカラフルな世界だ。この国では、毎日がパーティーみたいで、住民たちはみんな楽しそうに暮らしている。だけど、最近はちょっと違う。空から幸せが降り注ぐこの世界に、なぜか悲しみの影がちらついている。 その日も、僕は大好きな友達ハピネスと一緒に遊んでいた。ハピネスは、笑顔が絶えない天使のような存在で、彼女がいるだけでみんなが幸せになるんだ。だけ

          短編小説 「レインボーランド」

          短編小説 「チョコの海」

          チョコレートの海が広がる崖の上、キャンディモンスターはその体が溶けかけているのを感じながら立っていた。キャンディでできた体は、太陽の熱に晒されて徐々に柔らかくなり、形を失い始めていた。彼は何度もこの海を越えようと試みたが、絶望がその度に彼を打ちのめした。 「もうダメだ、もう歩けない…」キャンディモンスターは自らの甘い涙を感じながら、力なくつぶやいた。チョコレートの海は、その広がりを見せつけるかのようにどこまでも続いていた。 崖の下では、波立つチョコレートが不規則に跳ね返り

          短編小説 「チョコの海」

          短編小説 「タコの未来」

          海の底に広がる広大なサンゴ礁の中で、タコのトビと、親友のイカのイッカは毎日を過ごしていた。 青く澄んだ海の中、魚たちがゆったりと泳ぐ景色を眺めながら、僕たちはよく未来のことを話し合った。 「トビ、いつか俺たちも広い海を旅して、いろんな場所を見て回りたいよな」と、イッカはいつも夢を語っていた。僕もその夢に賛同していたけれど、心の奥底では諦めの気持ちが渦巻いていた。広い海を旅するには、僕たちにはあまりにも多くの障害があったからだ。 ある日、僕たちは海底の深い洞窟で珍しい宝石

          短編小説 「タコの未来」

          短編小説 「アメの国」

          ある晴れた日の午後、僕は古い骨董品屋の前を通りかかった。店のショーウィンドウには、不思議な輝きを放つキャンディと、その隣に古びた人形が並んでいた。キャンディは虹色の光を放ち、見る者を引き寄せるような魅力があった。人形は、小さな女の子の姿をしていて、その瞳には何か悲しげな表情が浮かんでいた。 好奇心に駆られた僕は、店に足を踏み入れた。店内は薄暗く、古い家具や雑貨が所狭しと並んでいた。カウンターの奥には、白髪の店主が静かに座っていた。 「こんにちは。ショーウィンドウのキャンデ

          短編小説 「アメの国」