堀辰雄

あなたの物語に、励まされ、救われました。

再読の部屋  No.6 堀辰雄作「姨捨」昭和15年(1940年)発表 初めて堀辰雄作「姨捨」を読んだ時、その感想をnoteに投稿しました(2021年3月31日)。そのときは、「更級日記」を知ったことで、この作品の面白さがわかり始めたことを記しています。 最近「生きることから無理な力を抜いていく」ことに…

『I Love Youの訳し方』作家による100通りの恋愛表現をまとめた1冊。太宰治や谷崎潤一郎…

さて、クイズです。 色々なところで、一度は耳にしたことがある以下のエピソード。 正しいのはどちらでしょう? ① 夏目漱石が、「I love you」を「月が綺麗ですね」と翻訳した ② マリー・アントワネットが、「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」と言った 正解は、「どちらも、本当か…

日本ではない、どこかでの物語

ほんの感想です。 No.37 堀辰雄作「聖家族」 昭和5年(1930年)発表 「聖家族」には、堀辰雄が、いかに師芥川龍之介を敬愛していたかなど、作品の読みどころがたくさんあります。その中から、今日は、「ここは日本なのか?」と思うほど、日本の生活感がないと感じたことをご紹介させてください。 …

俳句|辰雄忌は架空のパリにて待ち合わせ

堀辰雄に興味を持ったのは、澁澤龍彦の『堀辰雄とコクトー』を読んでからです。青空文庫で、辰雄の『ジゴンと僕』が早く読めますように。

黙っていればよかったのに

ほんの感想です。 No.24 堀辰雄作「曠野」昭和16年(1941年)発表 堀辰雄作「曠野」が描くのは、かつて愛し合った男女の再会がもたらした悲劇。調べてみると、今昔物語集巻三十第四話を翻案した作品とわかり、両者を読み比べてみました。 オリジナルの今昔物語と「曠野」の大筋は、概ね、次のように…

休日の"脳内妄想ピクニック”はいかが!

休日は、日当たりのいい部屋で、脳内ピクニックをしています。 部屋の真ん中に2脚の椅子を置き、その間の小さなテーブルに、お茶や軽食、あるいはお酒やおつまみをセットします。レースのカーテンを引いたまま窓を開けると、風が見えてきます。昼過ぎには日差しも強くなるので、麦わら帽子も用意しま…

夏の末近い寂しい高原を、大好きな人たちとドライブした。

物語の一片 No.24 堀辰雄作「ルーベンスの偽画」昭和5年(1930年) 「夏の終わりの軽井沢へ、本で旅行はいかがですか」、に興味のある方へ、小説の一片を! 「ルーベンスの偽画」は、堀辰雄二十一歳の軽井沢での避暑の印象に基づき書かれた作品といわれています。最初に読んだときは、ストーリーら…

【思考】堀辰雄『風立ちぬ』から、「早世のヒロイズム」を考える

Le vent se leve, il faut tenter de vivre. (風立ちぬ、いざ生きめやも。)  作中で何度も出てくる詩句である。別になんてことない場面で、独り言のように主人公の口を衝いて出る。現代的に訳せば「風が吹いた。いざ生きなければならない」。「生きなければならない」とはいったいどういうこ…

私の生涯はそれでも決して空しくはなかった。

「時を超える方法」に興味のある方へ、小説の一片を! ご紹介するのは、堀辰雄作「姨捨」から。 「それ」を知らなかったため、しばらく、私は、この作品の楽しみ方がわかりませんでした。「それ」とは、「更級日記」の内容です。 ニッポニカ多田一臣解説「更級日記」によれば、この日記は1060年ころ…

(第6回)山間の極楽浄土、浄瑠璃寺庭園

 ああ「この世は天国だ」だの、「地獄を見た」だの、人は何かというと死後の世界を話題に出す。この世に出て間なしの若いうちはともかく、人間も人生の半ばを過ぎると、「あの世」のことが気になり始める。あまり口に出したくはないが、家族団らんや幸福が恋しい冬の季節になると、自らそっち方面へと…