雪雪

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my love poetry reading.   フレデリック・ロルフの『THE DESIRE AND PURSUIT OF THE WHOLE』の翻訳を趣味で。 最も愛するのは稲垣足穂、マーロン・ブランド、ブレードランナー2049。

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  • THE DESIRE AND PURSUIT OF〜翻訳版

    フレデリック・ロルフ、コルヴォー男爵の遺作『THE DESIRE AND PURSUIT OF THE WHOLE』の翻訳連載です。 意訳超訳お許しください。

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    私の理想とする文学への憧憬が込められた作品を集めています。

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The Ding Dong Song

夕暮れに青く染まったモスクから巡礼の声が聞こえ漏れてくる。瓦斯灯に灯りが点って、街々から人の気配が薄れていく。 僕は坂道を駆け上がって、滑り込みセーフで昆虫館の扉を叩く。館長は椋木の椅子に腰掛けていて、眠たそうにその黒い口髭を擦っていた。僕の姿を見ると立ち上がり、手を振ってくれた。 お父さんが僕をここに連れてきてくれたのだった。それから、もう毎週、毎週、通っている。本当には毎日来てもいいくらいだった。昆虫館とは言うけれども、小さな標本を扱った店だ。 日本だけではなく、台湾

    • アウトサイダー・アート建築『二笑亭』

      アウトサイダー・アート、なる一群があるが、その中でも建築群、ワッツ・タワーであったり、シュバルの理想宮であったり、まぁ、常人では理解できない奇想天外の作品群。 シュヴァルの理想宮は映画にもなっていた。今はAmazonプライムで鑑賞できる。 日本でも、そういう建築が昔あって、有名どころでは沢田マンションがあり、他には、二笑亭なる建築物、これは、藤田和日郎先生の『双亡亭壊すべし』の元ネタになっている。 全然話は変わるが、藤田和日郎先生は私は大好きで、『からくりサーカス』は本当

      • 舞踏ファーザーの胡蝶の夢

        ちょいと奮発して、大物を購入。 大野一雄・細江英公の『胡蝶の夢』、写真集である。 大野一雄、土方巽の言うところの、「一匙で震えさす劇薬のダンサー」であり、どこで仕入れてきたのか、「マルドロールの手」を持つモダンダンサー、であり、巨星中の巨星。 『胡蝶の夢』はすごく欲しかったので。 どうやら、土方巽の『鎌鼬』と対になる写真集とのこと。 私は『鎌鼬』は持っていない。 普及版は安い。復刻版はかなり高い。初版はウルトラに高い。 とにかく、細江英公の写真、そして被写体の大野

        • 『極悪女王』全話見たけど良かったなぁ〜。 白石監督は『止められるか、俺たちを』をそうだけど、青春映画が巧いな。 『地面師たち』もとてもおもしろかったし、今年は映画よりもドラマが上だナ。

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        • アウトサイダー・アート建築『二笑亭』

        • 舞踏ファーザーの胡蝶の夢

        • 『極悪女王』全話見たけど良かったなぁ〜。 白石監督は『止められるか、俺たちを』をそうだけど、青春映画が巧いな。 『地面師たち』もとてもおもしろかったし、今年は映画よりもドラマが上だナ。

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          久方ぶりにダッシュボードを見ると、 原田マハの『異邦人』をdisっている記事が一番読まれていた。それかしょうもない漫画の感想。私の渾身の記事は圏外だった笑 ま、どうせ私には10人くらいしか読者がいないからしょうがないか。いや、10人もいるのは凄いことだ。

          久方ぶりにダッシュボードを見ると、 原田マハの『異邦人』をdisっている記事が一番読まれていた。それかしょうもない漫画の感想。私の渾身の記事は圏外だった笑 ま、どうせ私には10人くらいしか読者がいないからしょうがないか。いや、10人もいるのは凄いことだ。

          書店パトロール62 手に入れちゃあおしまいだ

          最近、落語の本が増えている気がする。 各都道府県の県民性、その県の特徴をテーマに落語にした作品をいくつか紹介している本のようだ。京都、愛知、奈良、山口、東京……。これはもう、次第には、アジアに拡大し、世界、果ては宇宙まで……。何かと何かを連結し、組み上げていくのは藝術の基本である。 そういえば、『あかね噺』においても、落語ヴァース的な、そういう、よくわらかん能力が発動していたが、『あかね噺』ももう13巻、『幽遊白書』で言うならば、仙水編に突入する巻である。 然し、何か、こ

          書店パトロール62 手に入れちゃあおしまいだ

          肉体、滅びる藝術 金森穣『闘う舞踊団』

          金森穣の『闘う舞踏団』を購入して読んでいる。 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館の専属劇団であるNoismの誕生の軌跡が描かれている。 そもそも私は、ドキュメンタリー的な映画、本が好きだ。 映画でも、困難の末に出来上がる制作秘話などが好きであり、下手したら、本編よりも好きだ。って、それは、制作している人からしたらがっくし、かもしれないが、然し、素晴らしいものを作るのは、大抵、一朝一夕ではないものだ。多くの労苦を伴うのだ。 お金の問題、人間関係、派閥、利権、技術、様々な問

          肉体、滅びる藝術 金森穣『闘う舞踊団』

          書店パトロール61 言語大戦

          書店パトロールは始めるとキリがない。 本は無限にあり、たくさんの魅力的な本がある。 まずは発売されたばかりのこの本を手に取る。 映画監督、ラナ・ゴゴベリゼ。ジョージアの映画、などは、私は全然守備範囲ではない。 この本は高額だった。6,000円以上する!た、高い〜。 然し、重要な本である。 御年95歳!ラナ・ゴゴベリゼ。一昨年、新作『金の糸』が公開されているが、私は未見だ。 ジョージア、というと、ソ連の構成国の一つだった。最近はウクライナ侵攻のせいで、よくニュースでも目に

          書店パトロール61 言語大戦

          400年の受難劇、300年のおもちゃたち。

          未だ嘗て、ヨーロッパに言ったことがない。 まずは遠いのと、それから高い、その2つが理由である。 ヨーロッパには行きたい国や街がたくさんあるけれども、なかなか行く機会に恵まれない。 ドイツにももちろん行きたいが、ドイツ、の中で、一番気になるのは、オーバーアマガウ、と、いう街で行われる、キリスト受難劇である。 まぁ、私のにわか仕込のしょうもない解説よりも、この記事や公式ホームページを読んでいただいた方が遥かにいいだろうから引用させて頂く。 この受難劇は17世紀から続いてい

          400年の受難劇、300年のおもちゃたち。

          書店パトロール60  藝術の暑い秋

          映画本コーナーで、非常に刺激的な本を発見。 VHSのジャケ、それも、B級どころを集めて解説している本だ。 副題がかっこいい。『VHSジャケット野性の美』。私も、ご多分に漏れず、VHSジャケットに魅了されていた世代だが、然し、まだコドモだったので、ホラーコーナーが怖かった。チャッキーやジェイソンが怖かったのだ。その頃は、まだ、レザーフェイスなど知る由もない。 今では大好きで、寧ろ、ホラーコーナーが一番楽しいのだが、やはり子供には刺激的。 パラパラ捲る。なかなか識らない映画

          書店パトロール60  藝術の暑い秋

          『エイリアン・ロムルス』 全部てんこ盛りで大満足。

          『エイリアン・ロムルス』を鑑賞する。Tジョイ京都にて。 以下、ネタバレで書く。 『エイリアン』シリーズは『エイリアンVSプレデター』シリーズ以外は全て鑑賞している。 私が好きなのは『エイリアン4』と『エイリアン・コヴェナント』である。 グログロが好きなのである。 今作はどうかというと、まぁ、結構なグログロである。エロはない。まぁ、性的なモティーフとしてエイリアンを映すシーンはある。 監督は、『ドント・ブリーズ』のフェデ・アルバレス。 エイリアンは、リドリー・スコット→

          『エイリアン・ロムルス』 全部てんこ盛りで大満足。

          『屋根裏のラジャー』に見る空想シェアリング

          Netflixの配信で『屋根裏のラジャー』を鑑賞する。 昨年の12月に拡大公開され、興行的に大コケしてしまった作品だが、本当には映画館で観ようと思っていた。 私はそれなりに当たると思っていたのだが、然し、世間はそれほど興味がなかったようだろう。 それでもスタジオポノックの『メアリと魔女の花』など、興行収入で30億円を超えているのだから、夏休み興行と冬休み興行の差はあれど、20億円くらいは稼ぐと思っていた。然し、最終的には3億円ほどの稼ぎで、凄まじい失敗作と見做されてしまった

          『屋根裏のラジャー』に見る空想シェアリング

          書店パトロール59 美しき歌集たちよ、結婚してくれないか。

          アウト・オブ・眼中はよく聞いたが、『アウト・オブ・民藝』は初見だった。民藝絡みの本である。 私は、民藝に関して明るくないのでよく識らないのだが、この本は、トークをまとめた本であり、非常に読みやすく、また、紙質がざらついているのが非常に良い。 民藝、柳宗悦、つまりは、『美の壺』などを観ているとよく聞く名前でありワードであるが、これを気に読んでみようかな、と思ったが諦める。 何故ならば、お金がないからである。 そして、その傍らには『アウト・オブ・民藝』の続編的なエッセイが。こ

          書店パトロール59 美しき歌集たちよ、結婚してくれないか。

          みんな、箱男

          『箱男-The Box Man』を鑑賞する。 客は10人くらいだった。以下、普通にネタバレをする。 みんな、『ラストマイル』を観に行っているのだろう。それが正解だ。 監督は石井岳龍。『狂い咲きサンダーロード』の石井聰亙だ。 主演は永瀬正敏、共演に浅野忠信、佐藤浩市。原作は、安部公房。 この布陣、なんとも90年代後期〜00年代初期の匂いがするじゃあないか。 私は、まぁ、『狂い咲きサンダーロード』はVHSで初めて観て、何よりも、『電光石火に銀の靴』に痺れたものだ。 私は安

          みんな、箱男

          『プリディスティネーション』的パラドクス『ターミネーター0』

          Netflixで『ターミネーター0』を鑑賞。 8月29日に配信されたばかりのホヤホヤで、全8話、1話30分弱である。 まず、アニメーションである。プロダクションIGが制作している。 なぜ『ターミネーター』がアニメに……? そういえば、今度、指輪物語、『ロード・オブ・ザ・リング』がアニメ化する。 監督は神山健治。然し、なんというか、若干、昔のアニメーション感が強く感じるが、私はローハンが好きだ。『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』、あれに関しては、ラストの攻城戦が見事だ

          『プリディスティネーション』的パラドクス『ターミネーター0』

          書店パトロール58 中村森、『太陽帆船』出航! 良い歌集との出会い

          台風が迫っている。 然し、今回の台風はノロノロで、予定もオロオロである。 書店員さんは、そんな日でもお仕事を頑張っておられる。大変な仕事だ。 実は、私も昔、書店でアルバイトをしていた。本は、薄利多売である。だから、万引きは許されないのだ。本の利益、10冊の単行本の利益を1発で帳消しにする万引き。これは許されない。 さて、店内をパトロールしていると、まず目についたのが、『レーエンデの歩き方』。 今人気のファンタジー小説の『レーエンデ国物語』のガイドブックである。 これは

          書店パトロール58 中村森、『太陽帆船』出航! 良い歌集との出会い