タルホと月㉑ 聖なるものと俗なるもの
稲垣足穂という稀代の怪人、魔神に関して。
先日、足穂の墓がある京都の法然院を訪ったところ、ワンカップ大関が供えられていて、まぁ、足穂はアル中だったので、中々粋な計らいをする御仁がいたものだ。
私は百合の花を手向けて手を合わせた。
彼の視てきた様々なアルコール幻覚、その禍々しい奇怪なものを見たあと、決まって足穂は酒をやめて、暫くは聖者のように寡黙に暮らす。
針で突けば酒が吹き出しそうな程に飲み、むくみ、剰え下痢までするとは志代夫人の談で、これは最悪極まりないが、その破壊の後