アウトサイダー・アート建築『二笑亭』
アウトサイダー・アート、なる一群があるが、その中でも建築群、ワッツ・タワーであったり、シュバルの理想宮であったり、まぁ、常人では理解できない奇想天外の作品群。
シュヴァルの理想宮は映画にもなっていた。今はAmazonプライムで鑑賞できる。
日本でも、そういう建築が昔あって、有名どころでは沢田マンションがあり、他には、二笑亭なる建築物、これは、藤田和日郎先生の『双亡亭壊すべし』の元ネタになっている。
全然話は変わるが、藤田和日郎先生は私は大好きで、『からくりサーカス』は本当に、本当に好きな漫画である。
そして、最近、黒博物館シリーズの『ゴーストアンドレディ』が、劇団四季でまさかの舞台化、という、展開で、今は東京だけれども、来年は名古屋、なので、まぁ、観に行けるのなら一度は観てみたい。
黒博物館シリーズは、『三日月よ、怪物と踊れ』はまだ未読なので、これはもう、読まなければならない。
で、二笑亭、であるが、この建物は、未完成のまま取り壊されたものだが、これは、東京深川の地主の渡辺金造の、夢のお家であり、思いつくまま、気の向くまま、そうしてたくさんの人間に迷惑をかけながらどんどん大きくなっていた化け物なのである。
その話は、式場隆三郎氏の『二笑亭綺譚』に詳しいが、こういう、異常建築、アウトサイダー・アートというものは、人の心を貫く魅力を持っているものだ。
そして、この、二笑亭を復元する研究をされている方がいらっしゃったので、ここに引用させて頂くが、すごいことである。卒業・終了研究で、既に常人の一生分の仕事よりも価値があるかもしれない。
このページを読んで頂ければ、如何に二笑亭がへんちくりんであり、その写真などを眺めていると、妙に不気味な感覚が漂う、そのような、ある種のお化け屋敷であることがわかる。
建物、というのは生きているものだとつくづく思うものだが、その中でも、異様なオーラを纏う建築、というのは、町を歩いていても時々見かける。
それは、それを作った人、或いは住んでいる人のオーラを飲み込んで、そのような異常性を纏うのかもしれない。建築は人であり、人は建築であるからだ(意味不明だ)。
もし今、この二笑亭が現存していたら、観光客が絶えなかっただろうが、然し、写真、伝聞でのみ感じられる魅力というものは絶対にあって、それは実物を超える蠱惑性を持つ。実際に行くと、がっかりしちゃう場所、手に取ると、がっかりしちゃうもの、というものはあるものだ。
つまりは、手に入れたらおしまい、なのである。
二笑亭はかつて存在していたが、取り壊されて、その存在が空想の中だけに留まってしまうようになり、より、人々の心を蝕むような、本当の存在へとコペルニクス的転回を見せているのだ。
まぁ、言うても、シュバルの理想宮には一度は行ってみたいものだけど。