雪雪

my love poetry reading.   フレデリック・ロルフの『THE D…

雪雪

my love poetry reading.   フレデリック・ロルフの『THE DESIRE AND PURSUIT OF THE WHOLE』の翻訳を趣味で。 最も愛するのは稲垣足穂、マーロン・ブランド、ブレードランナー2049。

マガジン

  • タルホと月(稲垣足穂について)

    ブレードランナー関連/稲垣足穂関連/思想関連

  • THE DESIRE AND PURSUIT OF〜翻訳版

    フレデリック・ロルフ、コルヴォー男爵の遺作『THE DESIRE AND PURSUIT OF THE WHOLE』の翻訳連載です。 意訳超訳お許しください。

  • 映画雑記/映画に関してのこと

    映画に関してのいろいろ

  • 銀色のピストルを持った美しい少年少女の月下の戯れ

    私の理想とする文学への憧憬が込められた作品を集めています。

  • 漫画の感想いろいろ

    漫画の感想のいろいろです

記事一覧

肉体、滅びる藝術 金森穣『闘う舞踊団』

金森穣の『闘う舞踏団』を購入して読んでいる。 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館の専属劇団であるNoismの誕生の軌跡が描かれている。 そもそも私は、ドキュメンタリー…

雪雪
8時間前
2

書店パトロール61 言語大戦

書店パトロールは始めるとキリがない。 本は無限にあり、たくさんの魅力的な本がある。 まずは発売されたばかりのこの本を手に取る。 映画監督、ラナ・ゴゴベリゼ。ジョ…

雪雪
4日前
12

400年の受難劇、300年のおもちゃたち。

未だ嘗て、ヨーロッパに言ったことがない。 まずは遠いのと、それから高い、その2つが理由である。 ヨーロッパには行きたい国や街がたくさんあるけれども、なかなか行く機…

雪雪
6日前
7

書店パトロール60  藝術の暑い秋

映画本コーナーで、非常に刺激的な本を発見。 VHSのジャケ、それも、B級どころを集めて解説している本だ。 副題がかっこいい。『VHSジャケット野性の美』。私も、ご多分…

雪雪
8日前
14

『エイリアン・ロムルス』 全部てんこ盛りで大満足。

『エイリアン・ロムルス』を鑑賞する。Tジョイ京都にて。 以下、ネタバレで書く。 『エイリアン』シリーズは『エイリアンVSプレデター』シリーズ以外は全て鑑賞している。…

雪雪
9日前
8

『屋根裏のラジャー』に見る空想シェアリング

Netflixの配信で『屋根裏のラジャー』を鑑賞する。 昨年の12月に拡大公開され、興行的に大コケしてしまった作品だが、本当には映画館で観ようと思っていた。 私はそれなり…

雪雪
12日前
7

書店パトロール59 美しき歌集たちよ、結婚してくれないか。

アウト・オブ・眼中はよく聞いたが、『アウト・オブ・民藝』は初見だった。民藝絡みの本である。 私は、民藝に関して明るくないのでよく識らないのだが、この本は、トーク…

雪雪
2週間前
11

みんな、箱男

『箱男-The Box Man』を鑑賞する。 客は10人くらいだった。以下、普通にネタバレをする。 みんな、『ラストマイル』を観に行っているのだろう。それが正解だ。 監督は石…

雪雪
2週間前
16

『プリディスティネーション』的パラドクス『ターミネーター0』

Netflixで『ターミネーター0』を鑑賞。 8月29日に配信されたばかりのホヤホヤで、全8話、1話30分弱である。 まず、アニメーションである。プロダクションIGが制作してい…

雪雪
2週間前
11

書店パトロール58 中村森、『太陽帆船』出航! 良い歌集との出会い

台風が迫っている。 然し、今回の台風はノロノロで、予定もオロオロである。 書店員さんは、そんな日でもお仕事を頑張っておられる。大変な仕事だ。 実は、私も昔、書店で…

雪雪
2週間前
15

藝術とは有害である

小谷野敦の『東十条の女』を読む。 婚活小説であり、本人が作中で語るように、オフパコ小説である。 作者の婚活事情が描かれるが、頗る面白い。 小谷野敦の作品は『童貞…

雪雪
2週間前
22

100年前の『街のスタイル』 衣巻省三

最近購入した本が届いた。 衣巻省三の『街のスタイル』である。 きぬまきせいぞう、である。 いまきしょうぞう、ではない。 この本は2024年1月に国書刊行会から刊行され…

雪雪
2週間前
9

詩人の映画、映画の詩人

意味ありげなタイトルだが、何の意味もないのダ。 注文していた本が届いた。 一つは本、ではなく、紙物だが、『追悼のざわめき』のパンフレット。 最近は劇場でパンフレ…

雪雪
3週間前
14

書店パトロール57 ダリダリーン

先日、また三島と目が合った。三島由紀夫、に、まつわる本の新刊である。 『三島由紀夫 街歩き手帖』。 三島由紀夫が小説の舞台にしている場所、乃至は小説を執筆してい…

雪雪
3週間前
11

やっぱり荷風にはなりたくない 映画『濹東綺譚』

Amazonプライムにて、永井荷風原作の『濹東綺譚』、1992年公開版を鑑賞する。 主演は津川雅彦、墨田ユキ、監督は新藤兼人。 私は永井荷風の良い読者ではない。 読んでい…

雪雪
3週間前
13

サファイアが一番好き 私の人形愛

人形、と、いうものに、非常に興味がある私である。 そんな私のもとに、一通のメルマガが届く。 この秋に、大阪のフェニーチェ堺において、チェコの人形劇の上演がある、…

雪雪
1か月前
25
肉体、滅びる藝術 金森穣『闘う舞踊団』

肉体、滅びる藝術 金森穣『闘う舞踊団』

金森穣の『闘う舞踏団』を購入して読んでいる。

りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館の専属劇団であるNoismの誕生の軌跡が描かれている。

そもそも私は、ドキュメンタリー的な映画、本が好きだ。
映画でも、困難の末に出来上がる制作秘話などが好きであり、下手したら、本編よりも好きだ。って、それは、制作している人からしたらがっくし、かもしれないが、然し、素晴らしいものを作るのは、大抵、一朝一夕ではないも

もっとみる
書店パトロール61 言語大戦

書店パトロール61 言語大戦

書店パトロールは始めるとキリがない。
本は無限にあり、たくさんの魅力的な本がある。

まずは発売されたばかりのこの本を手に取る。

映画監督、ラナ・ゴゴベリゼ。ジョージアの映画、などは、私は全然守備範囲ではない。
この本は高額だった。6,000円以上する!た、高い〜。
然し、重要な本である。
御年95歳!ラナ・ゴゴベリゼ。一昨年、新作『金の糸』が公開されているが、私は未見だ。

ジョージア、という

もっとみる
400年の受難劇、300年のおもちゃたち。

400年の受難劇、300年のおもちゃたち。

未だ嘗て、ヨーロッパに言ったことがない。

まずは遠いのと、それから高い、その2つが理由である。
ヨーロッパには行きたい国や街がたくさんあるけれども、なかなか行く機会に恵まれない。

ドイツにももちろん行きたいが、ドイツ、の中で、一番気になるのは、オーバーアマガウ、と、いう街で行われる、キリスト受難劇である。

まぁ、私のにわか仕込のしょうもない解説よりも、この記事や公式ホームページを読んでいただ

もっとみる
書店パトロール60  藝術の暑い秋

書店パトロール60  藝術の暑い秋

映画本コーナーで、非常に刺激的な本を発見。

VHSのジャケ、それも、B級どころを集めて解説している本だ。

副題がかっこいい。『VHSジャケット野性の美』。私も、ご多分に漏れず、VHSジャケットに魅了されていた世代だが、然し、まだコドモだったので、ホラーコーナーが怖かった。チャッキーやジェイソンが怖かったのだ。その頃は、まだ、レザーフェイスなど知る由もない。
今では大好きで、寧ろ、ホラーコーナー

もっとみる
『エイリアン・ロムルス』 全部てんこ盛りで大満足。

『エイリアン・ロムルス』 全部てんこ盛りで大満足。

『エイリアン・ロムルス』を鑑賞する。Tジョイ京都にて。
以下、ネタバレで書く。

『エイリアン』シリーズは『エイリアンVSプレデター』シリーズ以外は全て鑑賞している。

私が好きなのは『エイリアン4』と『エイリアン・コヴェナント』である。
グログロが好きなのである。
今作はどうかというと、まぁ、結構なグログロである。エロはない。まぁ、性的なモティーフとしてエイリアンを映すシーンはある。

監督は、

もっとみる
『屋根裏のラジャー』に見る空想シェアリング

『屋根裏のラジャー』に見る空想シェアリング

Netflixの配信で『屋根裏のラジャー』を鑑賞する。

昨年の12月に拡大公開され、興行的に大コケしてしまった作品だが、本当には映画館で観ようと思っていた。
私はそれなりに当たると思っていたのだが、然し、世間はそれほど興味がなかったようだろう。
それでもスタジオポノックの『メアリと魔女の花』など、興行収入で30億円を超えているのだから、夏休み興行と冬休み興行の差はあれど、20億円くらいは稼ぐと思

もっとみる
書店パトロール59 美しき歌集たちよ、結婚してくれないか。

書店パトロール59 美しき歌集たちよ、結婚してくれないか。

アウト・オブ・眼中はよく聞いたが、『アウト・オブ・民藝』は初見だった。民藝絡みの本である。

私は、民藝に関して明るくないのでよく識らないのだが、この本は、トークをまとめた本であり、非常に読みやすく、また、紙質がざらついているのが非常に良い。
民藝、柳宗悦、つまりは、『美の壺』などを観ているとよく聞く名前でありワードであるが、これを気に読んでみようかな、と思ったが諦める。
何故ならば、お金がないか

もっとみる
みんな、箱男

みんな、箱男

『箱男-The Box Man』を鑑賞する。
客は10人くらいだった。以下、普通にネタバレをする。

みんな、『ラストマイル』を観に行っているのだろう。それが正解だ。

監督は石井岳龍。『狂い咲きサンダーロード』の石井聰亙だ。
主演は永瀬正敏、共演に浅野忠信、佐藤浩市。原作は、安部公房。

この布陣、なんとも90年代後期〜00年代初期の匂いがするじゃあないか。
私は、まぁ、『狂い咲きサンダーロード

もっとみる
『プリディスティネーション』的パラドクス『ターミネーター0』

『プリディスティネーション』的パラドクス『ターミネーター0』

Netflixで『ターミネーター0』を鑑賞。
8月29日に配信されたばかりのホヤホヤで、全8話、1話30分弱である。

まず、アニメーションである。プロダクションIGが制作している。
なぜ『ターミネーター』がアニメに……?

そういえば、今度、指輪物語、『ロード・オブ・ザ・リング』がアニメ化する。

監督は神山健治。然し、なんというか、若干、昔のアニメーション感が強く感じるが、私はローハンが好きだ

もっとみる
書店パトロール58 中村森、『太陽帆船』出航! 良い歌集との出会い

書店パトロール58 中村森、『太陽帆船』出航! 良い歌集との出会い

台風が迫っている。
然し、今回の台風はノロノロで、予定もオロオロである。

書店員さんは、そんな日でもお仕事を頑張っておられる。大変な仕事だ。
実は、私も昔、書店でアルバイトをしていた。本は、薄利多売である。だから、万引きは許されないのだ。本の利益、10冊の単行本の利益を1発で帳消しにする万引き。これは許されない。

さて、店内をパトロールしていると、まず目についたのが、『レーエンデの歩き方』。

もっとみる
藝術とは有害である

藝術とは有害である

小谷野敦の『東十条の女』を読む。

婚活小説であり、本人が作中で語るように、オフパコ小説である。
作者の婚活事情が描かれるが、頗る面白い。

小谷野敦の作品は『童貞放浪記』もそうだったけれども、筆致が淡々とした私小説で、私小説というと、やはり車谷長吉、西村賢太、川崎長太郎、等が私は好きなのだが、基本的には有害である。
『童貞放浪記』は叙情性があったが、『東十条の女』はそれよりも生の感じが強い。それ

もっとみる
100年前の『街のスタイル』 衣巻省三

100年前の『街のスタイル』 衣巻省三

最近購入した本が届いた。

衣巻省三の『街のスタイル』である。
きぬまきせいぞう、である。
いまきしょうぞう、ではない。

この本は2024年1月に国書刊行会から刊行された。

衣巻省三、と、いえば、私には、稲垣足穂の友人、ということで識っていたが、作品は読んだことがなかった。

『こわれた街』という詩集など、購入したいと思った本は多くあれども、なかなか食指が伸びなかった。

元々、衣巻といえ

もっとみる
詩人の映画、映画の詩人

詩人の映画、映画の詩人

意味ありげなタイトルだが、何の意味もないのダ。

注文していた本が届いた。

一つは本、ではなく、紙物だが、『追悼のざわめき』のパンフレット。

最近は劇場でパンフレットを買うことはめっきり減って、と、いうよりも、そもそも無くなって久しく、これは中古。まぁ、そもそも1988年の映画だ。

『追悼のざわめき』は折に触れて観返したくなる作品だが、やはり他の映画とは別格、アングラ暗黒映画だが、そこにはや

もっとみる
書店パトロール57 ダリダリーン

書店パトロール57 ダリダリーン

先日、また三島と目が合った。三島由紀夫、に、まつわる本の新刊である。
『三島由紀夫 街歩き手帖』。

三島由紀夫が小説の舞台にしている場所、乃至は小説を執筆していた場所、それらを取り上げて紹介している本。

私は三島、には、大して興味はない。だが、三島、と、いえば、山上憶良、じゃなかった、山の上ホテルの常連だったことも有名であり、それはかなりの初歩的情報のため、やはり掲載されていた。私は、ホテルが

もっとみる
やっぱり荷風にはなりたくない 映画『濹東綺譚』

やっぱり荷風にはなりたくない 映画『濹東綺譚』

Amazonプライムにて、永井荷風原作の『濹東綺譚』、1992年公開版を鑑賞する。

主演は津川雅彦、墨田ユキ、監督は新藤兼人。

私は永井荷風の良い読者ではない。

読んでいるのも、『濹東綺譚』、『ふらんす物語』、『腕くらべ』くらいのもので、荷風にはあまり興味がない。

荷風と言えば、24歳の谷崎潤一郎の『刺青』を激賞したことで、谷崎がフックアップされたのが有名、そして、花柳文学の重鎮として有名

もっとみる
サファイアが一番好き 私の人形愛

サファイアが一番好き 私の人形愛

人形、と、いうものに、非常に興味がある私である。
そんな私のもとに、一通のメルマガが届く。

この秋に、大阪のフェニーチェ堺において、チェコの人形劇の上演がある、というのだ。チェコ、それは、人形劇のメッカ。調べてみると、なんと、ロームシアター京都でも上演されるようで、うーん、観たいなぁ、という思いが募る。

チョコの人形劇、ということで、私は一つの小説を思い出していた。

私の好きな小説家の津原泰

もっとみる