海人

小説の感想文とユルい掌編小説を投稿しています。たまに映画や美術館の話も。青空文庫と海外…

海人

小説の感想文とユルい掌編小説を投稿しています。たまに映画や美術館の話も。青空文庫と海外の小説を交互に読んでいます。村上主義者。

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  • 文学フリマ東京39への歩み

    出不精でぐうたらな私が2024年12月1日に開催される文学フリマ東京39に参加するまでの軌跡をまとめます。

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    創作にまつわるあれこれ。

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    美術館・博物館等に行った記録です。

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    海外文学や現代文学の感想文。

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    青空文庫で読める作品を紹介しています。

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村上春樹『街とその不確かな壁』を読む 海外文学と音楽 プレイリスト付き 前篇

 普段は『村上春樹の短編を読む』というタイトルで、村上さんの短編に登場する海外文学や音楽について書いていますが、今回は村上さんの新作『街とその不確かな壁』に登場する海外文学や音楽について取り上げます。ストーリーなどには極力触れないようにするつもりです。 フロベール『感情教育』  主人公が読んでいる小説です。  フロベールは19世紀フランスの作家で、無駄を排した緻密な文体で知られます(日本語ではよくわからないのですが、単語一つたりとも削るところがない作家だそうです)。『感情

    • 文学フリマ東京39への道 その5 抽選には外れたがただでは起きぬ

       タイトルにあるように、文学フリマ東京39の抽選に外れました。noteやSNSの相互さんは、全員当選したのに😢  やはり、一時は家族で一夏100本近くガリガリ君を食べたのに、当たりが出たことがないという私が足を引っ張ったとしか思えません😔  だがしかし。若い頃なら、ここで諦めたと思いますが、酸いも甘いも嚙み分けた私たちが引き下がるわけがありません。といっても、実際に動いて下さったのは、豊かな交友関係をお持ちの吉穂みらいさんです。吉穂さんのおかげで、文学フリマ東京39での委託

      • 秋に行きたい美術展2つ 東京篇

         芸術の秋を先取りして、美術館の特別展を2つ鑑賞しました。  1つ目は、新宿にある中村屋サロン美術館で開催中の『中村屋の中村彝』です。  中村彝(1887〜1924)は大正期に活躍した夭折の洋画家です。  彝の代表作は、国立近代美術館所蔵の重要文化財『エロシェンコ像』(今回の特別展では展示なし)です。モデルであるエロシェンコは盲目の詩人で、作家・魯迅の作品にも登場します。魯迅が好きな私にとっては馴染みのある人なので、彼の肖像画を描いた画家として、中村彝に興味を持ちました。

        • GS世代には非ず #ミエハルカラオケ残暑バージョン

           創作グループ、青音色の仲間である渡邉有さんから、バトンをいただきました。  どんなテーマかも知らずにお受けしたのですが、カラオケで歌う(または歌いたい)曲について書くみたいです。  紹介するのは1〜5曲。音源を貼る、下記の記事を埋め込む、そして、#ミエハルカラオケ残暑バージョン をつけるのがルール。次に渡す人がいなければ、下記のお二人にお返してもいいそうです。私もnoteでの付き合いが狭いので、お返しすることになるかなーと少しハラハラしました。     *  去年、仕

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        村上春樹『街とその不確かな壁』を読む 海外文学と音楽 プレイリスト付き 前篇

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          文学フリマ東京39への道 その4 小説の批評をしてもらったことありますか?

           12/1(日)に開催される文学フリマ東京39に、青音色というグループで参加する予定です。メンバーは、吉穂みらい、渡邉有、海人(蒔田涼)の3人です。  前回、『宙ぶらりんだが時は進む』という記事に、「来週には(文学フリマ東京39の)抽選の結果がわかると思うので、またその時に」と書いたのですが、抽選の結果発表が1週間伸びました。  少しでも多くの人が出店できるように、調整して下さっているようです。  というわけで、「文学フリマ東京39に向けて、着々と準備は進んでいるのに、出

          文学フリマ東京39への道 その4 小説の批評をしてもらったことありますか?

          2024年8月読書記録 神童、安吾、女性たちがたどってきた道

          アニー・エルノー『嫉妬/事件』(堀茂樹・菊地よしみ訳・ハヤカワepi文庫)  エルノーは一昨年のノーベル文学賞受賞者。オートフィクションの作家として知られるそうです。自分の経験を小説にしている作家という意味らしい。日本の作家だと、金原ひとみさんが挙がっていましたが、太宰治などもそうなのでしょうか?  「嫉妬」は、文字通り、別れても好きな男が今付き合っている女性に対する嫉妬を書いた短編です。ドロドロした感情というよりは、嫉妬に駆られてバカなことをやったり、妄想に駆られたりする

          2024年8月読書記録 神童、安吾、女性たちがたどってきた道

          文学フリマ東京39への道 その3 宙ぶらりんだが時は進む

           タイトルを書いて気付きましたが、『文学フリマ東京39への道』。えらく具体的ですね。「文学フリマへの道」ではなく、「文学フリマ東京への道」でさえもない。  文学フリマ東京39ーー今年の12月1日に開催される、まさにそのイベントに参加する、そのイベントでなければいけないという意気込みが伝わってきます。  なのに、まだ参加が決定していない。意気込みと現実の落差に「なんのはなしですか」と問いかけたくなります。  文学フリマ東京39では、2400ブース分の出店者を募集するんですね。

          文学フリマ東京39への道 その3 宙ぶらりんだが時は進む

          名刺代わりの太宰治10選

           先日、『名刺代わりの谷崎潤一郎10選』という記事を投稿しましたが、青空文庫の太宰治作品を読み終えたので、太宰版の10選を選んでみます。  ただし、中高時代から好きだった谷崎とは違い、長年、太宰が苦手でした。今回、青空文庫で読んでみて、太宰の魅力に気付きましたが、一度しか読んでいないので、浅い読み方になっているかもしれません。また、谷崎の場合、青空文庫にある小説を全編読了済みですが、太宰は、有名作や何となく気になった小説しか読んでいません。  なので、太宰ファンの方には「な

          名刺代わりの太宰治10選

          文学フリマ東京39への歩み その2 アンソロジーを作る

           前回、書いたように、ビリヤニを食べ、ローリング・ストーンズの「Paint It,Black」を聴きながら、「次回の文学フリマ東京39には、アンソロジーの書き手として参加しよう」と決めました。  今年の5月に開催された、文学フリマ東京38の1週間前のことです。  当時、私は、初めての文フリ参加なのに、吉穂堂で販売の手伝いをするだけでなく、本も買おうと欲張っていました。さすがに、のんびりと見るわけにはいかないとは思っていたので、ささっと回れるように、文フリの電子カタログを熟読

          文学フリマ東京39への歩み その2 アンソロジーを作る

          2024年7月読書記録 謎のアンデッド、川端、無垢なアメリカ

           今月は、青空文庫(太宰治)とそれ以外の小説に分けて投稿します。  青空文庫以外では、8冊の小説を読みました。遠藤周作の2冊は別記事で。 イーディス・ウォートン『無垢の時代』(河島弘美訳・岩波文庫)  ウォートンは20世紀前半に活躍したアメリカの女性作家です。無垢=イノセントという言葉は、アメリカという国やアメリカ文学を語る際の重要キーワードと言われます。清教徒(ピューリタン)が作った国ということもあり、一時期禁酒法が施行されていたり、妊娠中絶が大統領選挙の重要争点になっ

          2024年7月読書記録 謎のアンデッド、川端、無垢なアメリカ

          文学フリマ東京39への歩み その1 ビリヤニとストーンズ

           12月1日に開催される文学フリマ東京39に出店者として参加するつもりでいます。抽選の結果は、まだ出ていないのですが。  文学フリマといえば、今年の初め頃だったと思いますが、「5月に開催される文学フリマ東京に参加します」という吉穂みらいさんの記事に、「ボランティアで参加したいので、何かあれば声をかけて下さいね」とコメントしたのが始まりでした。  当時、私は派遣の仕事を辞めたばかりで、何か新しいことをしたいと思っていたところだったんですね。そんな時に、文学フリマという魅力的な

          文学フリマ東京39への歩み その1 ビリヤニとストーンズ

          ダブダブのパンツと犬たちの思い出

           フォローしているカオルさんの、飼い犬にまつわる話を読んで、私もちょっと書いてみたくなりました。  我が家の犬ではなく、祖父母の家で飼われていた犬の話なのですが…。祖父母は山奥で農業をやっていたので、今思えば、ペットというよりは、番犬として飼われていたのかもしれません。名前は特になかったか、ポチとかシロといったありふれた名前だったのではないかと思います。  当時、私は犬が大好きで、近所の家で飼っていたルミちゃんが子犬を産んだ時には、一匹もらいたくて仕方なかったというのが、

          ダブダブのパンツと犬たちの思い出

          人は見たいものを見る #夏休みの絵しりとり企画の感想

           創作大賞が終わり、皆さん一息ついておられるのか、noteのTLがあまり動きません。でも、また楽しい企画が始まりました。 #夏休みの絵しりとり という企画です。文字ではなく、絵で行うしりとりです。青豆ノノさんの記事で知りました。 最初にこの記事を見た時は、青豆さんのしりとり絵が何の絵かわからなかったのですが、一つさかのぼってwsdさんの記事を見たところ◯⚫️◇だとわかったので、最初の字が◇の青年といえば? と考えて、◇🔴◎だと思い付きました。 青豆さんの絵につなげたの

          人は見たいものを見る #夏休みの絵しりとり企画の感想

          創作大賞一口感想

           創作大賞2024年にエントリーなさった皆さま、お疲れ様でした。  去年の創作大賞が縁で、多くのnoterさんと出会えたので、今年も楽しみにしていたのですが、特に7月に入ってからは、私自身も創作にかかりきりだったこともあり、新しいnoterさんに出会うどころか、フォローしている方の小説でも、読めない分がありました。  そんなわけで、とても不完全燃焼な気持ちなのですが、その気持ちを吹っ切るために、「完読できた小説」に限り、一口感想を書いてみます(以下、私がフォローした順にな

          創作大賞一口感想

          シンクロニシティと去り行く人

           noteをやっていると、シンクロニシティという単語を思い出すことがよくあります。  最初にこの言葉を知ったのは、英国のバンド、ポリスのアルバムのタイトルとしてでした。ボーカルのスティングが好きだったので繰り返し聴きましたが、タイトルの意味はわからずじまい。  シンクロニシティが、哲学者ユングの提唱した概念だと知ったのは、大学生の頃だと思います。日本語に訳すと、共時性。ウィキには、「虫の知らせのようなもので、因果関係がない2つの事象が、類似性と近接性を持つこと」とあります

          シンクロニシティと去り行く人

          【雑談】作品と作者、切り離しますか?

           作品と作者は切り離すべきなのか? ということを、最近改めて考えています。極端な例だと、犯罪者の書いた小説を、自分は楽しめるのか? ということになりそうです。  去年私がnoteに書いた小説の中で、ある登場人物が「絶対許せない犯罪は、レイプ、殺人、弱者をねらう詐欺ぐらいだと思う」と語っています。作者には似ていない人物ですが、絶対に許せない犯罪についての意見はほぼ同じです。他人の過ちを許せる人間でありたいし、人はやり直せるとも信じています。ただし、レイプと殺人、弱者狙いの詐欺

          【雑談】作品と作者、切り離しますか?