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創作

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オチのない自作の創作をまとめています。シロクマ文芸部参加作品など。
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記事一覧

【創作】 その名にちなんで #シロクマ文芸部

 金魚鉢には、赤い金魚が一匹泳いでいる。春休みに母方の祖父母の家に遊びに行った時に、お祭…

海人
2日前
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【創作】白い靴の娘 #シロクマ文芸部

 白い靴を脱ぎ捨てて、本宮朱莉はそれを男に投げた。 「ストーカー、どっか行け」  靴は男…

海人
9日前
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【創作】ある日のテネシー・ワルツ #シロクマ文芸部

 風薫る五月と思える日は、最近の東京にはあまりない。春が終わるとすぐ、湿気混じりの蒸し暑…

海人
2週間前
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【創作】Last of Tanu #シロクマ文芸部

「子どもの日には、どこの柏餅を食べるの?」  居間のソファーに座った、たぬが訊く。たぬっ…

海人
3週間前
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【創作】四月は残酷な月 #シロクマ文芸部

春の夢は、はかない。そう思うのは、春が桜の季節だからだろう。咲き誇ったかと思うと、数日で…

海人
1か月前
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理想の異性 #シロクマ文芸部

「風車の弥七って誰?」  学生食堂で鶴野さんと同じテーブルになった時、そう訊ねてみた。鶴…

海人
1か月前
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突然消えた剛ではなく、フレディやほんの少しカールスモーキーのこと #シロクマ文芸部

 変わる時がある。誰にでも。  私の場合は高二の六月だった。突然、剛が消えた。    剛は、バンド仲間だった。というか、剛が友達三人と組んでいたバンドに私たちが押しかけて、マネージャー役をやったり、曲によってはキーボードを弾いたりしていた。中三の学園祭で、フレディの「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」を薫が歌うのを観てーー今にして思えば、私もあの時薫が気になったのかもしれないけど、何であれゴチャゴチャ考えてしまう私は、自分にさえ気持ちを素直に認めることができなかった。だけど、光留は「

【雑談エッセイ】ベーと呼ばれた娘 または皆様へのお願い

 美奈子はファッションセンスがない。ファッションに興味もなかった。若い頃は常にアニエスベ…

海人
1か月前
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