Katsuhisa Sakita

【 読書メモ・創作の種の保存庫 】 様々なジャンルの読み物を取り上げています。 書棚に…

Katsuhisa Sakita

【 読書メモ・創作の種の保存庫 】 様々なジャンルの読み物を取り上げています。 書棚に並ぶ背表紙のように、書き連ねています。 初めて手に取るとき、読み直すとき。読書を忘れないときのために。 (最近はInstagramの下書き) 「soranitikaiiro」で僕を見つけて。

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  • こどもの読みもの

    こどもにおすすめの本。 かつて、こどもだった大人におすすめの本。

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    おとなにおすすめの本。 いつか、おとなになる子供におすすめの本。

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コイのレシピ

📗『コイのレシピ』 塚田浩司 2022 🔪 16歳の青春物語。 長野県佐久南高校普通科。授業では使われていない第二理科室。その部屋の片隅には大きな水槽があって、鯉が二匹ゆったりと泳いでいる。「一緒に全日本高校生WASHOKUグランプリに出てほしいんだ」高校生限定で和食料理を競う大会。二人一組。副賞はニューヨーク行き。 💙櫻井潤 老舗料亭の息子。双子の兄「上村宗太」がいる。離婚をして佐久市の実家に戻る母親に同行して櫻井姓となる。成績はトップクラス、部活に入っていないのに体育で

    • わたしを離さないで

      📓『わたしを離さないで』 (原題:Never Let Me Go) カズオ・イシグロ 2005年 2010年 イギリスにて映画化。 2016年 TBS テレビドラマ化。 📖 1990年代末のイギリス。幸福な少年時代を持たない臓器提供者が、語り手である介護人のキャシー(31歳)に、子供時代の思い出を話してくれとねだる。「薬と痛みと疲労で朦朧とした瞬間に、わたし(キャシー)の記憶と自分の記憶の境がほやけ、一つに交じり合うかもしれない」からと。キャシーは「ヘールシャム」という全

      • 化物語

        📘『化物語』 西尾維新 高校生の阿良々木暦が「怪異」に関わった少女達と出会い、その怪異にまつわる事件を解決していく物語。 《上:2006年11月2日》 第一話:ひたぎクラブ 第二話:まよいマイマイ 第三話:するがモンキー 《下:2006年12月5日》 第四話:なでこスネイク 第五話:つばさキャット 同級生である「戦場ヶ原ひたぎ」の抱える秘密を知った阿良々木暦。そして問題解決のために協力を申し出る暦。実は暦もひたぎ同様、人に言えない秘密を隠していたのだった。それをきっかけに

        • サピエンス全史

          📘『サピエンス全史』 ユヴァル・ノア・ハラリ 2011 「サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福」 《人類種のなかでなぜホモ・サピエンスだけが生き残ったのか》 石器時代から21世紀までの人類の歴史を概観する書なっている。 ホモ・サピエンスの歴史を大きく4つに分ける。 第1部(4章): 認知革命(紀元前7万年頃) 第2部(4章):農業革命(紀元前1万年頃) 第3部(5章):人類の統一(紀元前34年頃) 第4部(7章):科学革命(紀元後1543年頃) 《人類はどのように発展

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        記事

          リチャード三世

          📕『リチャード三世』(King Richard III) シェイクスピア 1951年:初演 薔薇戦争の渦中にある15世紀のイングランド。ランカスター家との争いに勝利した、ヨーク家のエドワード四世が王位に上ったが、すでに病の床にあった。エドワード四世の弟であるグロスター公リチャードは、生まれながらの不具をもバネにし、王座を自らのものにしようと企む。巧みな話術と策略でもって、リチャードよりも王位継承順位の高い兄クラレンスや政敵を次々と亡き者にし、さらにリチャードによって殺害され

          リチャード三世

          鳴子

          📗【鳴子】(狂言の演目) 登場人物 🍶主人 🍶太郎冠者 🍶次郎冠者 🐁 主人が多場し、田を荒らす郡鳥や獣を追うため、太郎冠者・次郎冠者の両人を呼び出し、鳴子を渡して、田へ鳥追いに行くよう命じます。田へ着いた二人は、稲を干すための稲木(ワキ柱および目付柱)に鳴子を結び付け、それを引き鳴らして鳥を追った後、庵へ入って一休みします。そこへ主人が酒を持って見舞いにやって来て、日暮れになったら帰れと言って戻ります。両人が酒を酌みかわしていると、鳥が渡ってくるので鳴子を引きながら、引く

          たそがれ清兵衛

          📕『たそがれ清兵衛』 (初出:『小説新潮』1983年9月号) 藤沢周平 🏯 筆頭家老の堀将監は、能登屋と結託して専横を極め、自分に批判的な藩主の交代まで画策していた。行く末を憂う家老杉山頼母は、反堀派を秘密裏に集めていた。 ⚔️ 「堀を無傷で会議の席から帰しては、こちらの負けじゃ」、「さよう、上意討ちにかける」、「さて、あとは誰を討手に選ぶかじゃな」 ・・・ 寺内権兵衛が口を開く。 「その役目、井口清兵衛に命じられてはいかがかと思われます」、「たそがれ清兵衛という渾名で、

          たそがれ清兵衛

          天国にいちばん近い島

          📙『天国にいちばん近い島』 森村桂 1966 ・・・ 🌺 ずっとずっと南の地球の先っぽに
天国にいちばん近い島がある ・・・ 🏝️一年中花が咲き、マンゴーやパパイヤがたわわに実り、病気もなく泥棒もいない。 父は幼い「私」に「天国にいちばん近い島」の話を何度も語ってくれた。やっと就職した出版社でも失敗ばかり繰り返し、すっかり劣等感に浸っていた「私」は、父が与えてくれた夢を実現することで自分を立て直そうと思い立つ。「私」は一面識もない船会社の社長あてに手紙を書いた。その手紙は

          天国にいちばん近い島

          ナジャ

          📙『ナジャ Nadja』 アンドレ・ブルトン André Breton 1928 🌹 「あの人には信じられないの。私たちが一緒にいるのを見ると落着かないのよ。それほど、あなたや私の目の中にある焰は珍しいの」 ☕️ 街の書店で買物をしたあと、オペラ座の方角に向かってぶらぶら歩いてゆく途中、一人のみすぼらしい身なりをした、金髪の若い女とすれちがう。「私」は、こんな眼はこれまで見たことがないと思った。ためらうことなく「私」はこの女に声をかけてみる。女は神秘的な微笑を浮かべる。二

          野分(源氏物語・五十四帖)

          📖【野分】 紫式部 「源氏物語」五十四帖、第28帖。玉鬘十帖の第7帖。 (野分=台風の古称) 🪭 光源氏36歳。仲秋八月、激しい野分が襲来した。その見舞いに六条院の町を訪れた夕霧は、はからずも紫の上を垣間見てしまう。夕霧は、紫の上のあまりの美しさに魂を抜かれたようになるとともに、見てはならぬものを見てしまったような恐ろしさをも感じてしまう。翌朝、夕霧は再び六条院を訪れ、諸所を見舞う。光源氏はその夕霧を伴いながら、女君たちを見舞うべく邸内をめぐる。美しい玉鬘のもとでは、親子と

          野分(源氏物語・五十四帖)

          小布施の秋

          📒【小布施の秋】 福永武彦 「小布施」 木村茂銅版画集 1977 銅版画 木村茂 文   福永武彦 木村茂銅版画集〈小布施〉は、限定75部。版画用紙はアルシュを使用し、全点作者による自刷りである。この版画集に福永武彦は文を寄稿している。 小布施の秋 (序に代えて) ・・・私は小布施の町については極めて僅かのことをしか知らない。或る年の夏の終わりから秋の更ける頃まで、その町にいたことがあるというただそれだけである。 ・・・私はその年、昭和四十五年に、小布施の町に二月ほど

          悲しみよ こんにちは

          📒『悲しみよこんにちは』 (Bonjour tristesse) 1954 フランソワーズ・サガン (Françoise Sagan) ・・・ 「アンヌ、行かないで。間違いだったのよ。私のせいなの。あなたに説明するから」 「あなたには誰も必要じゃないわ。あなたにもあの人々も…」 🖊️ 主人公のセシルは十七歳の娘、十五年来やもめ暮しをしている遊び好きのダンディな若い父とパリで陽気な生活を送っている。その年の夏、彼らは南フランスの美しい海辺のほとりに白い別荘を借り、父レエモン

          悲しみよ こんにちは

          土を喰らう十二ヶ月

          📗【土を喰らう十二ヶ月】 中江裕司 2022 🌾 淘米調菜等 自手親見 精勤誠心而作 不町一念疎怠機慢 🌾 ・・・「山の中で畑を作って、旬のおいしいものを食べて、好き勝手に生きるのって素敵じゃない!」ここは妻の本家なのだ。廃村になって誰も住まなくなった茅葺きの古民家を安く譲り受けた。・・・家も整い、畑ができて、これからという時に妻は死んだ。山の生活を楽しみにしていた妻は亡く、私とさんしょ、一人と一匹で暮らすことになった。しまったと思っても後の祭り。こまったと言っても誰も助

          土を喰らう十二ヶ月

          戦火のなかの子どもたち

          📕『戦火のなかの子どもたち』 いわさきちひろ 1973 🎀 赤いシクラメンの花は
きょねんもおととしも そのまえのとしも
冬のわたしのしごとばの紅一点
ひとつひとつ
いつとはなしにひらいては
しごとちゅうのわたしとひとみをかわす。 🖋️ 戦争がもたらす惨禍に否応無く巻き込まれる子供達を描いた作品。 いわさきちひろは、ちひろの親しい画家達が集まって作った「童画ぐるーぷ車」の展覧会(1972年5月)に出品する作品のテーマを決め、3点の作品を描き上げます。タイトルは三つの作品と

          戦火のなかの子どもたち

          昭和の洋食 平成のカフェ飯 家庭料理の80年

          📚【昭和の洋食 平成のカフェ飯 家庭料理の80年】 阿古真里 2013 阿古真里さん、食文化を中心に暮らしの来歴や生活誌を研究している作家さんです。 2017「料理は女の義務ですか」 2021「日本外食全史」 2023「おいしい食の流行史」 2024「日本の台所とキッチン一〇〇年物語」 令和の現在も書籍の発行は進んでいますが、今回は「2013年」の書籍。こちら、上野千鶴子さんがエッセイの中で取り上げていて、記憶に残りメモをしていました。女性の暮らし方、生き方の変遷を料理とと

          昭和の洋食 平成のカフェ飯 家庭料理の80年

          ぼくの帽子

          📙『ぼくの帽子』 西条八十 1892〜1970 『西條八十詩集』より (雑誌『コドモノクニ』大正11年・掲載) 👒 母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね? ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、 谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。 母さん、あれは好きな帽子でしたよ、 僕はあのときずいぶんくやしかった、 だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。 ・・・ 昔、つやつや光った、あの伊太利麦の帽子と、 その裏にぼくが書いた Y.Sという頭文字を ・・・ 🖊️ 森村誠一の小説