文野巡(ふみのじゅん)

あなたが今読むべき本・映画の紹介者📚🎬|エンジニア歴25年|きずな出版社長 桜井秀勲門…

文野巡(ふみのじゅん)

あなたが今読むべき本・映画の紹介者📚🎬|エンジニア歴25年|きずな出版社長 桜井秀勲門下で小説執筆修行経験あり、今後は自作小説もnoteで発表予定📖|愛犬🐶マラソン🏃‍♂️|あと数年の定年後は読書三昧の人生を送りたい🌅|X(旧Twitter)もチェック!

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  • 小説『ライバル』

    横浜工科大学の教授、茶土愛は、ロボットに感情を持たせる「バイオニック・ニューロン」の開発で注目を集めていた。  ある日、彼女の研究室でロボットのたくやがバラバラにされる事件が発生。混乱する茶土のもとに探偵の正理適己が招聘され、事件の真相を追求することに。  茶土の学生・才上、ライバルの常田教授、他大学の教授・木戸らを容疑者として尋問し、証拠を集める中で、感情を持つロボットと人間の思惑が交錯する。  果たして犯人の目的と正体は? 謎が深まる中、真実が次第に明らかになっていく。

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    読書メモを集めたマガジンです。 お好きなものからどうぞ

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    週末に、おすすめ書籍(主に小説だが、実用書も含む)と映画を紹介します。

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最近の記事

ライバル(9)

第九章  翌日の夕方、正理は再び町田工業大学を訪れた。正門の向かいに建つコンビニ入口で缶コーヒーを飲んでいると、仕事終わりの木戸が歩いてくるのが見えた。声をかけると、木戸は明らかに不機嫌そうな表情に変わった。 「木戸先生、何度もご足労をおかけしてしまい大変申し訳ありません。今日で決着させますので、もうあと数時間だけお時間をいただけませんか」 「それでわたしを犯人だなんて馬鹿げた推理で終わらせないでくださいよ。わたしは本当に何もやってないんですからね」 「わたくしの推理が間違

    • ライバル(8)

      第八章  木戸のいる町田工業大学は、茶土が勤務する横浜工科大学に比べてこじんまりしていた。同じ工業系の大学でも規模が異なることが見た目で分かる。  正理が約束の五分前に正門に着くと、既に茶土と才上、そして木戸が日陰に逃れて待っていた。お互い背を向けあった状態だ。気まずい雰囲気が伝わってくる。 「どうもお待たせしました。本日はよろしくお願いいたします。ところで、昨日はあの後犯人からさらなる連絡はありませんでしたか?」  木戸が不機嫌そうな表情でこちらを見た。茶土は無言で首を横

      • ライバル(7)

        第七章  帰宅後、追加分の監視カメラのデータを読み込んだ。 「暗い部屋にいた人物を特定してください」  正理が自作した骨格推定技術を使ったアプリを起動した。精度重視のため結果が出るまで少し時間を要する。その間に部屋着に着替えた。  寛げる格好になり部屋に戻ると、コンピュータは答えを用意して待っていた。  木戸竜一。確率は九十パーセント近い。  明るい場面で認識された人物を特定し、その中から誰に最も近いかを推定しているだけなので、これで断定できるものではない。  ただ同一人物

        • ライバル(6)

          第六章 「木戸竜一と申します。本日はよろしくお願いいたします」  大学教授にしては少し軽い感じがする。正理の第一印象は『チャラい』だった。  ジャケットを羽織ってはいるが、シャツを外に出し、着崩している。恋人に会いに来たとはいえ、ここは学校だ。しかも自分の学校ではない。  茶土はこんな男のどこがいいと思ったのだろうか。第一印象は最悪だった。  お互いのあいさつを軽く済ませると、茶土の案内で学食に向かう。土曜日の大学は先日の半分程度の人数だ。  部活動に勤しむ者たちや安い学食

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        記事

          ライバル(5)

          第五章  午後、正理が大学を訪れると、約束通り茶土が学食を案内してくれた。学生で溢れ返った学食でラーメンを味わう。懐かしさがこみ上げてきた。 「最近の学食はお洒落ですね。それに味も美味しい。私の学生時代とは大違いです」 「喜んでいただけて嬉しいです。案内した甲斐があります」 しばらく雑談を交わした後、ロボットの話に移った。 「たくやさん、でしたっけ? 元には戻られましたか?」 「ええ、すっかり元気になりました。この後、ぜひお会いになってください」 「彼は事件について何か仰っ

          ライバル(4)

          第四章  正理が自宅に戻った時、すでに日付が変わっていた。しかし、まだ処理すべき仕事が残っている。  データをパソコンに転送し、指示を出した。 「データ整理とアポイントすべき人物のピックアップをお願いします」  パソコンが処理を開始したのを確認し、風呂場へ向かった。  シャワーを浴びながら翌日のスケジュールを整理する。  常田にもう一度話を聞く必要がある。なぜ嘘をついたのか。佐々木千佳も要確認だ。  週末に学校に来ていた学生たち全員に話を聞くのは非現実的だろう。茶土の研究室

          ライバル(3)

          第三章 「どうもお待たせしました。茶土先生、才上さん、ごぶさたです。本日はどうぞよろしくお願いします」  夕暮れ時、ボリュームのある白髪を湛えた正理が研究室に到着した。パンパンになった大きなボストンバッグを肩がけしている。手には手術で使うような白い手袋をしている。指紋をつけないための配慮だ。捜査の開始である。 「これは大変なことになっていますね」  部屋を見回した彼の声には、驚きというよりは探究心がにじみ出ていた。茶土から今朝の出来事について詳細を聞き出す。 「犯人の目的は

          ライバル(2)

          第二章  目の前にはロボットの断片が転がっている。右手、左手、両脚、そして胴体。 「たくや、何があったの? 起きてちょうだい。朝よ」  話しかける言葉は我が子を起こす時のようだが、冷静さを失っていた。怯えて震えている。  腕、脚、首、あらゆる部分がバラバラだ。回路を収める箇所をカバーする蓋もほとんどが開けられている。脳回路やメモリを盗んでいったのだろうか。  ロボットの服が乱雑に脱ぎ捨てられていた。 「先生、大丈夫ですか? 何かあったんですか?」  背中越しから声をかけられ

          ライバル(1)

          あらすじ  横浜工科大学の教授、茶土愛は、ロボットに感情を持たせる「バイオニック・ニューロン」の開発で注目を集めていた。  ある日、彼女の研究室でロボットのたくやがバラバラにされる事件が発生。混乱する茶土のもとに探偵の正理適己が招聘され、事件の真相を追求することに。  茶土の学生・才上、ライバルの常田教授、他大学の教授・木戸らを容疑者として尋問し、証拠を集める中で、感情を持つロボットと人間の思惑が交錯する。  果たして犯人の目的と正体は? 謎が深まる中、真実が次第に明らかに

          映画メモ 映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記

          映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記 https://amzn.to/4bRmnzO 勇気と行動力を持とう。 本作は、テレビのヒーローに憧れたのび太の提案から、おなじみのキャラクターたちがヒーローとなって宇宙の平和を守るという映画撮影から始まる。 ドラえもんのひみつ道具を使って「銀河防衛隊」としての映画を撮影し始めたものの、本物のヒーローと間違われて宇宙での冒険に巻き込まれていく。 この冒険を通じて、彼らはピンチに立ち向かう勇気や仲間との協力の大切さを学びます。 個人

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          パリオリンピック開幕! おすすめのスポーツ小説や映画を紹介

          7月26日(金)より、いよいよパリオリンピックが開幕します。 昨今、オリンピックの弊害や問題点が多く取り上げられていますが、それでもアスリートたちが真摯に競技に向かう姿勢は観る者の心を熱くします。 オリンピック自体を題材にした小説や映画というのは実はそれほど多くありません。 そこで今回は、スポーツを題材にした作品を紹介し、オリンピックを迎えるにあたってその魅力に触れてみたいと思います。 スポーツを題材にした作品は、アスリートたちの真摯な姿勢や努力、友情、そして挫折を描

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          ドラマメモ TOKYO MER〜走る緊急救命室〜

          TOKYO MER〜走る緊急救命室〜 https://amzn.to/3zurmbT 主演の鈴木亮平が演じる喜多見は、重大事故や災害、事件の現場に駆けつけ、命を救うために危険な現場に勇猛果敢に飛び込んでいく救命救急チーム“TOKYO MER”のリーダーに抜擢される。 このドラマの一番の見どころは、彼の命に対する献身的な姿勢や、命を救うために全力を尽くす姿。 喜多見の行動は毎話感動を呼び起こします。 例えば、猛毒ガスや二酸化炭素が充満する事故現場を、負傷者の命を救うために

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          紹介しきれないアニメ作品はまだまだいっぱい

          先週末に個人的に大好きなアニメ作品を何本か紹介しました。 もちろん、まだまだ紹介したい作品はいっぱいあるのですが、あまり記事のボリュームを増やしてしまっても読みにくくなってしまうので、泣く泣くほとんどの作品は紹介せずに切り捨ててしまいました。 いや~、この作品好きなんですよね、という作品をつらつらと列挙していくと。。。 シン・エヴァンゲリオン、機動戦士ガンダム(ファーストガンダム)、となりのトトロ、火垂るの墓、鬼滅の刃、ゴールデンカムイ、デスノート、宇宙兄弟、YAWAR

          紹介しきれないアニメ作品はまだまだいっぱい

          何かを選択することは 何かを犠牲にすること それでも選択しなければ 前には進めません 私はスカーレット (下) 林 真理子 https://amzn.to/3xVBPwB

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          読書メモ 私はスカーレット (下)林 真理子

          私はスカーレット (下) 林 真理子 https://amzn.to/3xVBPwB 名作『風と共に去りぬ』を現代に蘇らせ、激動の時代を生き抜く女性の姿を描いたストーリーの下巻。 敗戦で全てを失ったスカーレットが、不屈の精神で立ち直り、愛と友情を再発見する。 スカーレットの一人称視点にすることにより、基地のストーリーが新たな魅力を持ったと言えるでしょう。 スカーレットは、飢えや貧困、社会の混乱に直面しながらも、決して諦めずに力強く生き抜く姿を見せる。 彼女の強さと弱さ、

          読書メモ 私はスカーレット (下)林 真理子

          記憶力重視の教育から 創造性、考える力を養う教育へ 転換することが、これからの 日本には必要。 と、当時の井深さんは仰っていた。 少しづつですが、日本も そういった方向に 舵取りされているようです。 ソニー魂 井深 大 https://amzn.to/3VZv6el

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