熊谷珠樹フラワーアーティスト

東京・恵比寿で隠れ家サロンのフラワー教室を運営。パリのエスプリを感じながら、自分らしく…

熊谷珠樹フラワーアーティスト

東京・恵比寿で隠れ家サロンのフラワー教室を運営。パリのエスプリを感じながら、自分らしく花を飾り、理想のライフスタイルを実現する人たちを導いている。https://tamaki-flower.com/

マガジン

  • 読む花レッスン〜自分が整い人生がもっと豊かになる一花一葉術

    どこにいても、マイペースで花を学べるように「読む花レッスン」を始めました。読んだら実践してみましょう。無料添削を受け付けています。一輪の花を愛で、一枚の葉に遊ぶ。花のある暮らし実践講座です。

最近の記事

生と死は対にあらず

今年最後の「文学と一花一葉」講座は宮沢賢治の注文の多い料理店。 花は、賢治のドリームランド「イーハトヴ」風のお正月飾り。 こちらの作品(上画像↑)は、8歳男子作。竜神の様…そんな躍動感あるお飾りです。 ものづくりの過程において、神の手が動く瞬間がある。力みが一切なく、勝手に手が動いている事が。 その喜びを知ってしまうと、容易く悪魔に魂は売り渡せない。 そもそも、createとは神の成した事。小手先で作るmakeとの大きな違い。 それ故に、私は作品を「作る」とは言わず「

    • パンクスのリベラルアーツ

      全ての中途半端なことをやめる。 余計なものを足さずに一点集中。 花は一輪あれば良い。 先日、「アートを纏う/ 美・Eiko」新作発表会にご招待いただきました。デザイナーの小林栄子さんとは今年6月のファッションショーの時に舞台上の装花を担当させて頂き、それ以来親しくさせて頂いてます。 今回の新作は、ちりめんの反物に墨で描いたアートを3Dプリントしたものでドレスをデザインしたそうです。 「白と黒。そのモノトーンに絞り込んだからこそ自由な装いが楽しめることを発見しました」と栄

      • 人を優しい気持ちにするパリの明かり

        朝日が昇る空を見上げていると、鳥の群れがV字を描いてゆったり通り過ぎて行く。地球はなんて平和なんだ。新聞やテレビ、ネットを賑わす騒動は、どこのプラネットの話だい?なんて思う。 紅葉した桜並木。東京の真ん中にこんなに広い霊園があるってところがパリと似ている。青山霊園はさしずめモンパルナス墓地ってところか。 モンパルナス墓地には国民的スター”セルジュ・ゲンスブール”が眠っている。そういえば、パリのメトロは今新しく路線を作って、セルジュ・ゲンスブールって名前の駅ができるそうで。

        • 優しい人になるスピリチュアル儀式

          花を生けることは儀式なのだ。 古代の人々の営みが今に継がれていることの一つとして、クリスマスリース作りが上げられる。 私の教室では、古代エジプト時代から行われていたトラディショナルなガーランド作りを土台として、そこへ好みのオーナメント類を飾るスタイルをとっています。 先日のレッスンで、生徒さんたちが作業している様子を眺めながら、「スピリチュアルな儀式をしている」と、気付いたのでした。 古代エジプトでは、花を繋いで作るリースは、厳かな儀式には欠かせないものでした。 そし

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        • 読む花レッスン〜自分が整い人生がもっと豊かになる一花一葉術
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          センスは磨くより押し出す

          みだれ髪を 京の島田にかえし朝 ふしてゐませの 君ゆりおこす 与謝野晶子が鉄幹と夜を初めて過ごした朝の歌。 乱れた髪を島田に結い直して、「朝まで寝ていてくださいね」と言った君を揺り起こす。 毎月鎌倉で行われている「文学と一花一葉講座」。 今月は与謝野晶子のみだれ髪がテーマでした。 みだれ髪の初版本(明治34年出版)は、上の画像のように細長く小ぶりです。これは袖珍本といって、袖に隠して読むスタイルの本。人前で大っぴらに読むのが憚られたから。 晶子の熱い思いが溢れたこの本

          センスは磨くより押し出す

          風立ちぬ、いざ生きめやも

          Le vent se lève, il faut tenter de vivre. - Paul Valéry 「風立ちぬ、いざ生きめやも」 これは堀辰雄の「風立ちぬ」の冒頭の一節。 「Le vent souffle /風が吹く」と言いそうなところをポール・ヴァレリーは、”se lever”という、"get up"立ち上がるという意味の動詞を使うんですね。 ”風が立ち上がったのだから、私たちも生きようと努めなくては” と。 小説のタイトルも歯切れよく”風立ちぬ”。 その

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          起死回生のリース〜感謝を込めて

          11月に入り、今年もクリスマスリースレッスンが始まりました。 今年は、一味も二味も違うリースが仕上がるでしょう。 なぜなら、私がヴァージョンアップしたからです。 今年のクリスマスシーズン、いつの間にかスタートしていたというのが正直な気持ちです。 パリから帰国し、紆余曲折ありのあり・・・自力では及ばぬ導きにあったとしか思えない今日この頃です。 以前にnoteにも書いたのですが、HPがハッキングされデータが全て消滅してしまいました。 今回は短期留学でパリに滞在していたので、

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          パリジャンは冒険好きなスーパードライ人

          私はこんなに美しいピン留めを見たことがない。紀元前500〜200年、ケルト人たちが作り、身に付けていたピン留めです。 先月、パリから郊外へ向かう高速鉄道に乗り、サンジェルマン・アン・レーに行った時のこと。 サンジェルマン・アン・レイ城は、ルイ14世が生まれた城で、後にヴェルサイユ宮殿を造り宮廷はそちらへ移ります。 それ以後の長い歴史はここでは省きますが、現在は国立考古学美術館になっています。 朝イチで訪れたこともあり、薄暗い広い館内は人の気配がなく背筋がぞくぞくする感

          パリジャンは冒険好きなスーパードライ人

          ブルジョア・ボヘミアンの哲学

          パリの左岸、サンジェルマン界隈はウィンドウショッピングが楽しいエリア。おかげで靴を一足履き潰した。 BOBOスタイルというのが今の流行。bourgeois bohemian/ブルジョア・ボヘミアンの略語で、ブルジョアは経済的に豊な階層の人たちを意味し、ボヘミアンは自由奔放な生き方をする人たちを意味する。 それは、古いブルジョア嗜好に対する「アンチ・ブルジョアクラシック」であるとも言えそうです。 文化的にブルジョアである彼らは、エコ・ビオ・ヨガ・アート・教養などにお金を注ぐ

          ブルジョア・ボヘミアンの哲学

          定番嫌いの幸せ色

          "La vie en rose" =薔薇色の人生。 必ずしもそれはピンク色とは限らない。 幸せ色は人によって違うから。 この歌を唄ったのは、フランスの国民的スター ”エディット・ピアフ”。 今回のパリで、私が住む場所に決めたのは、このエディット・ピアフが生まれたアパルトマンの近くでした。 ベルヴィル地区と言い、ピアフが暮らした頃は大変な貧民街で、移民の住む街でした。 しかし、今やストリートアートの聖地と呼ばれるホットなカルチエとなりました。 様々な言語が飛び交う大変

          下駄で歩いたパリを辿る放浪日記

          1932年、独りシベリア鉄道に乗って2週間かけてパリにやって来た女がいた。 林芙美子。 ここ、「ブウラアド十番地」のアパートに、半年ほど暮らしたそう。 (今は会社のビルになっている) この街が気に入ったのでしょう。こんな風に書いてある。 彼女の熱烈なファンである母の影響で、私も「放浪記」や「下駄で歩いた巴里」などを昔読んだ。 母は神田の古本屋でその初版本を購入しているほどのマニア。 尾道の林芙美子像に紫陽花を手向ける(ファンの間では命日を「あじさいき」と言う)ところま

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          空と大地が溶け合う彼方の島

          パリから1 day trip。 フランスへは何度も行っていたのに、不思議と今まで足が向かなかった場所でした。 人生にはタイミングがあるんですね。それに抗わず成り行きに身を任せることが大事だという、その理由がわかりました。 世界遺産となったこのモンサンミッシェルは、いっぺんに今の姿になった訳ではありません。長い歴史が徐々に作り上げました。 708年からその歴史は始まります。 アヴランシュ村の司教の夢に現れた大天使ミカエルが、この岩山に聖堂をつくれと告げたそう。しかし、この

          空と大地が溶け合う彼方の島

          Journées du Patrimoine〜文化遺産を巡って辿り着く

          【Grande Mosquée de Paris】 毎年9月の第3週目の土日は世界文化遺産の日(Journées du Patrimoine)。 パリでは美術館や博物館が入館無料になったり、普段は一般公開していない場所へ入れたり、旅行者のみならずパリジャンも楽しみにしている週末です。 ここはカルチェ・ラタンにあるモスク。とってもざっくりで申し訳ないけれど、第一次世界大戦でフランスのために戦って戦死した7万人ものイスラム教徒兵士たちを称えるために建てられた、と言う説明がわ

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          移動祝祭日in Paris

          ここは Ethnically diverse city。移民がつくった街で、今パリで最も活気のある街「belleville」。 今回、私が住むのに選んだ街です。 パッと見、いわゆるパリっぽくないでしょ? 治安が悪いと言われていたので、若い頃は躊躇して足を踏み入れなかった地域ですが、歳を重ねるとズカズカと入って行ける図太さがある。 歳を重ねるって素敵です! 人生を変えるために、希望を持ってこの地にやって来た、移民の人たちがつくった街です。 実は、パリのカフェ文化の発祥の地

          パリの屋根の下でハッキング騒ぎ

          このnoteをご覧頂いている方へ、重要なお知らせがあります。 この度、TAMAKIのHPが今問題となっている恒心経(正体は不明、複数犯?)絡みのハッキング被害にあっています。 トップページにこの様な文面が出ています。↓ また、このウェブサイトから全てのデータを抜き取られたことがわかりました。もしも、TAMAKIから不審なメッセージなどが届きましたら開けずに削除をお願いします。 ただ今HPはオフラインに切り替え、メンテナンス中と表記されています。 セキュリティーを万全に

          パリの屋根の下でハッキング騒ぎ

          不完全の美学

          ブルーのクレマチス。花弁が4〜6枚とバラバラで面白い。 なんとなく、花弁の数が少ない方が、圧を感じます。 花を生ける時、大切にしたいのは「不完全の美学」。 美意識というのはちょっと違う。 美を意識するだけでは、アップデイトができないからです。 常に、既成概念を壊すものはシンプルな問いを持つものです。 一輪の花にこだわると、雄弁にそのストーリーを語り始める。 「美とはなんだ?」という問いが湧き上がるからです。 心を解放するものは、「なぜなんだ?」という、当たり前に思って