風立ちぬ、いざ生きめやも
Le vent se lève, il faut tenter de vivre.
- Paul Valéry
「風立ちぬ、いざ生きめやも」
これは堀辰雄の「風立ちぬ」の冒頭の一節。
「Le vent souffle /風が吹く」と言いそうなところをポール・ヴァレリーは、”se lever”という、"get up"立ち上がるという意味の動詞を使うんですね。
”風が立ち上がったのだから、私たちも生きようと努めなくては” と。
小説のタイトルも歯切れよく”風立ちぬ”。
そのドラマティックな響きは歌謡曲や映画のタイトルにもなりました。
先月の文学と一花一葉講座は、堀辰雄の風立ちぬがテーマでした。
軽井沢をこよなく愛し、49歳で亡くなるまで住んだ自宅は、記念館となり一般公開されています。
今月に入って、クリスマスリースレッスンが始まり、どうしても香り高い国産モミを使いたくて、電光石火で軽井沢へ採取の旅。
その途中、追分宿の堀辰雄記念館の前を通りかかりました。
ここには彼の書庫や愛用品の数々が残され、初版本も保管してあります。
今年は残暑が厳しく、紅葉もいまひとつといった感じです。何しろ、11月に入っても、軽井沢で日中20度という日があったりして驚きます。
さて、先週末から本格的にスタートしたクリスマスリースレッスン。森の香りに包まれて、森林浴効果に肖る日々。
自分で作ったリースを玄関に飾り、それぞれの年の瀬を過ごす。
それはとても平和で幸福な風景。
生活芸術というものは、そうやって暮らしの中で作られるもので、教育されるものではない。
共に育む”共育”なのです。