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朗読『大人向け読み聞かせ』【松本泰/秘められたる挿話】
本日は松本泰のサスペンス、ミステリー小説です。怪しい展開をお楽しみください。 〜あらすじ〜 昨夜、隣の家の米本というお婆さんが何者かに殺された。その家には衣川という下宿人がいて、衣川が第一発見者であった。 浅田は、隣の家の出来事ではあったが物音など明確な記憶はなく、 妻にたずねてみても、やはり気付かなかったと言う。 浅田が出社すると社員から浅田の妻を新宿で見かけたと報告される。旅行鞄を持っていたようだが、浅田は妻から何も聞いてはいなかった。 不審に思っていると電話のベルが鳴る。妻が自動車事故にあったという病院からの電話であった。急いで病院に向かう浅田。 そして、そこから物語は思いもよらない方向に向かっていく、、。
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【朗読】大人向け朗読『久坂葉子/女』
〜あらすじ〜 阿難(アナン)と名乗る女は内容が同じ5通の手紙を書き、自分と関わりのある場所へ行き、ゆかりのある人達に手紙を届けてまわるのだった。 1通目は叔母に、2通目はバラック建ての二階の女に、3通目は骨董商の常連で独身の自称芸術愛好家に、4通目は自分が産んだが母とは名乗っていない小学校に通う男の子の育ての母親に、5通目は週一美容院に訪れる男爵夫人に届けた。四人の女と一人の男が手紙をよんだ。 「わたくしは阿難と申す女でございます。あなたの最愛の人を奪ったのでございます。わたくしは、その人を夫と呼んで十年も同棲いたしておりました。今日まで。しかし、わたくしは、悪魔の招きにさそわれました。わたくしは、悪魔にかしずくことを約束いたしました。夫をおかえしいたします」 手紙を渡し終わった阿難は、、。 謎が多いこの小説の作者、久坂葉子は21歳で夭逝。波瀾万丈な短い生涯で残した作品の一つです。
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【朗読】大人向け読み聞かせ『豊島与志雄/白木蓮』
セラピストが読む文学小説です。 睡眠導入や作業用BGMとしてもご活用ください 《あらすじ》 加津美という芸者屋で預かっている 喜美子は両親を亡くし、故郷へも帰ることなく、どこか儚げな雰囲気を纏っていた。私は喜美子を愛してはいなかったが自然を好み、可憐な喜美子が好きであった。 加津美の芸者の桃代は、特別に喜美子を可愛がり、私が喜美子を好きでいることを快く思わない。桃代は喜美子に同性愛の感情があるのだと言うが、 それが真実かどうかは分からなかった。喜美子という共通の想い人がいる 私と桃代は男女の関係になり、喜美子は、それを当然のように喜んでいるようだった。 そんなある日、桃代が急死する、、。
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【朗読】大人向け読み聞かせ『久坂葉子/落ちてゆく世界』
《あらすじ》 この作品は、久坂葉子が19歳で芥川賞候補になった『ドミノのお告げ』の原作です。これを書いた翌々年の昭和27年21歳の大晦日、彼女は阪急六甲駅で自ら命を絶ちました。名門家に生まれたゆえの苦悩と恋愛での挫折、それでも立ちあがろうとしながら力尽き夭折した生涯でした。 《作品内容》 雪子の家は名門でありながら、没落していた。さらに日々の喘息発作に苦しむ父、新興宗教にのめり込み神頼みの母、肺結核で長らく入院中の兄、多感で扱いが難しい弟に苦悩しながら過ごしていた。 ある日、八卦見をする占い師に占ってもらうと、近々幸か不幸か分からぬが、何か動きがあると言う。 それは、、。
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【朗読】大人向け読み聞かせ『永井荷風/羊羹』
《あらすじ》 新太郎は、もみぢといふ銀座裏の小料理屋に雇われて料理方の見習をしている中、徴兵にとられ二年たて帰ってきた。 停戦になって帰って来ると東京は見渡すかぎり、どこもかしこも焼野原で、新太郎は船橋の町から二里あまり北の方へ行つた田舍の百姓家なので、一まづそこに身を寄せ、市役所の紹介で小岩町のある運送會社に雇はれた。 一二ヶ月たつか、たたない中、新太郎は金には不自由しない身になっていた。そして、新太郎は金にこまらない事、働きのある事を、親兄弟や近所のものに見せてやりたかった。むかし自分を叱つたり怒りつけたりした年上の者にも、現在その身の力量を見せて驚かしてやるのが、何より嬉しく思われてならないのであつた。やがて田舍の者だけでは満足していられなくなつた新太郎は、以前もみぢの料理場で威張っていた上田という料理番にも、おかみさんや旦那にも、また毎晩飲みに来たお客、煙草を買いに出させる度毎に釣り銭を祝儀にくれたお客にも会って見たくなった。そして会いに行く新太郎であったが、 そこには覆らない現実が待っていた。