ikuko Tune

心理セラピスト ラジオパーソナリティ ※CRT栃木放送【ikuko Tuneの癒しの雑…

ikuko Tune

心理セラピスト ラジオパーソナリティ ※CRT栃木放送【ikuko Tuneの癒しの雑貨生活】毎週金曜日10:30〜

最近の記事

再生

朗読【岡本かの子/おせっかい夫人】

《あらすじ》 晴れた春の日の暖気に誘われて花子夫人が門前へ出てみると、四十がらみの男がうろうろしていた。男は、隣家国枝さんの親類の者だと言い、旅に出るのだが必要なものを国枝さん宅に預けて置いたため国枝さんが留守で困っていると話す。 若くて気の好い、かなりおせっかいな花子夫人は、その男を信用し気の毒がって、硝子戸から隣家に入れるよう、手伝ってしまう。 その男の正体とは、、。

    • 再生

      【朗読】林芙美子/婚期

      《あらすじ》 九月にはいつて急に末の妹の結婚がきまつた。妹と結婚をする相手は長い間上海の銀行に勤めてゐたひとで、妹とは十二三も年齡の違ふひとであつたが、何故だか末の妹の杉枝の方がひどくこのひとを好きになつてしまつて、急に自分がゆきたいと云ひ出した。  始めは長女の登美子の見合いにと、持ち込まれた話であったが、気のすすまない登美子は断り、結果、その相手は妹の杉枝の夫となったのであった。 しかし数年後杉枝は敗血症で亡くなり、、。

      • 時空の訪問者

        『もし、一瞬でもいいから あの時に戻れたらと思ったことは ありませんか。』 間もなく48歳になる沙都子(さとこ)には、10歳下の恋人、渉(わたる)があった。 付き合って5年になる。 線が細く決して目立たない、会計事務所勤めの沙都子とは対照的に筋肉質で見栄えのする渉は雑誌のモデルもしている舞台俳優で、人目を引く男であった。 出会いのきっかけは、友人の佳代の趣味、舞台公演に嫌々付き合ったことだった。佳代とは小学校からの付き合いで、出不精で無趣味な沙都子を彼女は何かと連れ出す

        • 【待合室】

          病院というものは血圧を上げる所である。 私はそこに居るだけで頭が痛くなったり胃がむかむかする所でもある。検査結果を待つ待合に至っては脈拍も上がり、心臓が暴走を始める。 さて、こんなに体を虐める所に来続けていたら、寿命が短くなるのではなかろうか。 そうだ。病院なんてものは、来ないに越したことはない。「緊張」という名の虐めを受けるばかりか、診察も会計も「待ちくたびれ」という疲労を与えてくる。なんて残虐なんだ。 こんな虐めに耐えていないで、新しくオープンしたイタリアンレストランで、

        朗読【岡本かの子/おせっかい夫人】

        再生

          帰れたらいいのに

          あの日に行けたらいいのに。 あの人に会って 手を繋いで 買ったばかりの自慢のスニーカーを褒めて 「そういえば、きょうは何かあった?」 と、あの人に聞かれて 「特に何もないよ」と私は笑顔を向けて 「なら、良かった」と彼が微笑む。 ただそれだけで あの人を大切にしていることも あの人から大切にされていることも分かる なんてことはない あの日に帰れたらいいのに。 〜オリジナルエッセイ 愚かだった日〜 #創作大賞2024

          帰れたらいいのに

          【待つということ】

          待つということは、 どうやら私の人生テーマであるらしい。 子供の頃は、両親ともに出張が多くて、その度に祖母の家で帰りを待っていた。 都心から郊外にある祖母の家には 鶏がいて、採れたての卵で、祖母は よく甘い卵焼きを作ってくれた。 料理が得意な祖母が作るものは、 なんでも美味しかった。 うす味の醤油で味付けをした かつお節のおにぎりも好きだったし、チーズ味の馬鈴薯の天麩羅も良く食べた。 でも、母が作るちょっと焦げ目のある卵焼きや梅干し入りの不恰好なおにぎりが、いつも恋しかった。

          【待つということ】

          再生

          朗読【大人向け読み聞かせ/芥川龍之介/片恋】

          セラピストが読む文学小説です。 先週に引き続き、芥川龍之介を読ませていただきました。 睡眠導入や作業用BGMとしてもご活用ください。 《あらすじ》 友人からこんな話を聞いた。宴会で昔なじみの芸者と出会した。芸者は昔の恋を語りだす。相手は外国の名も知らない映画俳優で、しかも活動写真なのだという。彼女は上映される度に通いつめるが、何故かそのうちに彼の作品は上映されなくなったという。

          朗読【大人向け読み聞かせ/芥川龍之介/片恋】

          再生
          再生

          朗読【大人向け読み聞かせ】芥川龍之介/妙な話

          《あらすじ》 旧友の村上の妹、千枝子は、妙な体験をする。 千枝子の夫は地中海方面へ派遣され 不在であったのだか、ある日、見知らぬ赤帽から、夫は怪我をしていると聞かされる。 その赤帽を見て以来、千枝子は外出が怖くなり、予定を入れなくなった。 しばらくして夫が日本に帰ってくると、夫も派遣先の地中海で千枝子と同じ赤帽を見て話したという。

          朗読【大人向け読み聞かせ】芥川龍之介/妙な話

          再生
          再生

          朗読【江戸川乱歩/接吻】

          《あらすじ》 新婚の山名宗三には花子という恋女房がおり、仕事が終わると有頂天で帰宅していた。ところが或る日、花子が一枚の写真を抱きしめたり接吻したりしている姿を見てしまう。ショックを受けた宗三は、その写真が、花子の遠縁にあたる村山であることを確認する。村山が二人の縁を繋ぎ、さらに村山は宗三が勤めている役所の課長でもあった。花子を問い詰める宗三であったが、花子は笑いながら、それは宗三の勘違いであり、実際に接吻していたのは宗三の写真であると言うのであった。

          朗読【江戸川乱歩/接吻】

          再生
          再生

          【朗読 山川方夫/歪んだ窓】

          山川方夫の、切なくも怖しいミステリー小説です。 《あらすじ》 妹は優しく美しい姉とは対照的に醜く痩せて陰気であった。妹はそんな自分にコンプレックを抱きながら、美人な姉が中々結婚出来ないのは不出来な自分がいるせいだと思っていた。 ある日妹は、姉が妻子ある悪い男と不倫をしていることを疑う。そして それを確信した妹は、戦慄の計画を企てるのであった。

          【朗読 山川方夫/歪んだ窓】

          再生
          再生

          朗読『大人向け読み聞かせ』【松本泰/秘められたる挿話】

          本日は松本泰のサスペンス、ミステリー小説です。怪しい展開をお楽しみください。 〜あらすじ〜 昨夜、隣の家の米本というお婆さんが何者かに殺された。その家には衣川という下宿人がいて、衣川が第一発見者であった。 浅田は、隣の家の出来事ではあったが物音など明確な記憶はなく、 妻にたずねてみても、やはり気付かなかったと言う。 浅田が出社すると社員から浅田の妻を新宿で見かけたと報告される。旅行鞄を持っていたようだが、浅田は妻から何も聞いてはいなかった。 不審に思っていると電話のベルが鳴る。妻が自動車事故にあったという病院からの電話であった。急いで病院に向かう浅田。 そして、そこから物語は思いもよらない方向に向かっていく、、。

          朗読『大人向け読み聞かせ』【松本泰/秘められたる挿話】

          再生
          再生

          【朗読】大人向け朗読『久坂葉子/女』

          〜あらすじ〜 阿難(アナン)と名乗る女は内容が同じ5通の手紙を書き、自分と関わりのある場所へ行き、ゆかりのある人達に手紙を届けてまわるのだった。 1通目は叔母に、2通目はバラック建ての二階の女に、3通目は骨董商の常連で独身の自称芸術愛好家に、4通目は自分が産んだが母とは名乗っていない小学校に通う男の子の育ての母親に、5通目は週一美容院に訪れる男爵夫人に届けた。四人の女と一人の男が手紙をよんだ。 「わたくしは阿難と申す女でございます。あなたの最愛の人を奪ったのでございます。わたくしは、その人を夫と呼んで十年も同棲いたしておりました。今日まで。しかし、わたくしは、悪魔の招きにさそわれました。わたくしは、悪魔にかしずくことを約束いたしました。夫をおかえしいたします」 手紙を渡し終わった阿難は、、。 謎が多いこの小説の作者、久坂葉子は21歳で夭逝。波瀾万丈な短い生涯で残した作品の一つです。

          【朗読】大人向け朗読『久坂葉子/女』

          再生
          再生

          【朗読】大人向け読み聞かせ『豊島与志雄/白木蓮』

          セラピストが読む文学小説です。 睡眠導入や作業用BGMとしてもご活用ください 《あらすじ》 加津美という芸者屋で預かっている 喜美子は両親を亡くし、故郷へも帰ることなく、どこか儚げな雰囲気を纏っていた。私は喜美子を愛してはいなかったが自然を好み、可憐な喜美子が好きであった。 加津美の芸者の桃代は、特別に喜美子を可愛がり、私が喜美子を好きでいることを快く思わない。桃代は喜美子に同性愛の感情があるのだと言うが、 それが真実かどうかは分からなかった。喜美子という共通の想い人がいる 私と桃代は男女の関係になり、喜美子は、それを当然のように喜んでいるようだった。 そんなある日、桃代が急死する、、。

          【朗読】大人向け読み聞かせ『豊島与志雄/白木蓮』

          再生
          再生

          【朗読】大人向け読み聞かせ『西東三鬼/美女』

          《あらすじ》 私という男は、五十を過ぎていながら特に女の人に対して抵抗力が弱かった。皮膚の抵抗力を増進させるために冷水摩擦をしたりマスクをしたり試みてはみたが効果はなかった。 そんなある日、立ち寄った女性の靴下専門店でマネキンという職業の女性に惹きつけられた。その女性は絶世の美女であったのだ。、そして私は、、。

          【朗読】大人向け読み聞かせ『西東三鬼/美女』

          再生
          再生

          【朗読】大人向け読み聞かせ『久坂葉子/落ちてゆく世界』

          《あらすじ》 この作品は、久坂葉子が19歳で芥川賞候補になった『ドミノのお告げ』の原作です。これを書いた翌々年の昭和27年21歳の大晦日、彼女は阪急六甲駅で自ら命を絶ちました。名門家に生まれたゆえの苦悩と恋愛での挫折、それでも立ちあがろうとしながら力尽き夭折した生涯でした。 《作品内容》 雪子の家は名門でありながら、没落していた。さらに日々の喘息発作に苦しむ父、新興宗教にのめり込み神頼みの母、肺結核で長らく入院中の兄、多感で扱いが難しい弟に苦悩しながら過ごしていた。 ある日、八卦見をする占い師に占ってもらうと、近々幸か不幸か分からぬが、何か動きがあると言う。 それは、、。

          【朗読】大人向け読み聞かせ『久坂葉子/落ちてゆく世界』

          再生
          再生

          【朗読】大人向け読み聞かせ『永井荷風/羊羹』

          《あらすじ》 新太郎は、もみぢといふ銀座裏の小料理屋に雇われて料理方の見習をしている中、徴兵にとられ二年たて帰ってきた。  停戦になって帰って来ると東京は見渡すかぎり、どこもかしこも焼野原で、新太郎は船橋の町から二里あまり北の方へ行つた田舍の百姓家なので、一まづそこに身を寄せ、市役所の紹介で小岩町のある運送會社に雇はれた。 一二ヶ月たつか、たたない中、新太郎は金には不自由しない身になっていた。そして、新太郎は金にこまらない事、働きのある事を、親兄弟や近所のものに見せてやりたかった。むかし自分を叱つたり怒りつけたりした年上の者にも、現在その身の力量を見せて驚かしてやるのが、何より嬉しく思われてならないのであつた。やがて田舍の者だけでは満足していられなくなつた新太郎は、以前もみぢの料理場で威張っていた上田という料理番にも、おかみさんや旦那にも、また毎晩飲みに来たお客、煙草を買いに出させる度毎に釣り銭を祝儀にくれたお客にも会って見たくなった。そして会いに行く新太郎であったが、 そこには覆らない現実が待っていた。

          【朗読】大人向け読み聞かせ『永井荷風/羊羹』

          再生