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セラピストの朗読【久坂葉子/終熄】
久坂葉子の小説です。 21歳で自ら世を去った彼女の作品は、 10代の多感なものも数多く、特に恋愛に纏わる小説は、彼女自身と重ねているのでしょう。愛している人を愛してはいない、、という文章を 私は、彼女の他の小説でも度々目にします。もっと早く自由に素直になれていたら、恋人にも家族にも、と毎回気持ちを持っていかれます。そんな作品の一つです。 《あらすじ》 私はTと結婚することになった可愛い彼女とすれ違った。 彼女と挨拶をせずに通り過ぎてしまった自分を後悔した。 その後、Tから話しがあると連絡をもらい、私はTに会いにいく。 別れ際に抱きしめられたが、Tの顔は 冷たかった。
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朗読【薔薇の女/作:渡辺温】
《あらすじ》 馬車はヴェラクルスへ向けてはしっていた。お客は私と商人のパリロ氏と牧場主のラメツ氏と医師のフェリラ氏とそしてその他に全く得体の知れぬ二人連れの男女が乗っていた。男は鍔広帽子を眼深にかぶり上衣の襟を深く立てて、女は長い睫毛の真黒な眼だけを残してすっぽりと被衣を被っている。二人共如何にも世を忍ぶ風情である。女の耳のあたりには素晴らしく赤い薔薇の花が一輪留めてあった。 バランカで一休みして馬車は再び走り初めた。空は美しく谷あいの風は新鮮であった。 突然パリロ氏がその二人連の方を目くばせしながらフェリラ氏に囁いた。そして、ここから話しは恐ろしくも意外な方向に進んでいく。。