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タテ糸とヨコ糸。いきさつ。敬意。

「見えないケイイ。」展
皆さまのお蔭で、無事に終了いたしました。

ご協力くださった方々、ご来場のお客様に改めて感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

今回たくさんのかたとお話しをさせていただいて、アートというのは、対話によって完成されるもの、つまり、その場に居合わせる人が変われば、作品も変わるんだと感じました。
厳密に言えば変わるのは作品の見方や解釈ですが、作品自体が変わると言っても良いような印象です。

私は作品と一緒に、私も喜んだり、照れたり、拗ねたり、隠れたり…


見えないケイイ。というタイトルについて。

「経緯」…染織の世界では、タテに経、ヨコに緯の字を使います。

「経緯」…この場所にライフラインが整い、私達の日々の暮らしがこうなるには、どういったいきさつが在ったのか。

「敬意」…目に入っているけれど、立ち止まって考えなくては見えなくなってしまったもの(先人たちが土地を守り、受け継いできてきた痕跡など)への尊敬の念。


本当に賑やかな1ヶ月半の展示期間で、会場の温泉津(ゆのつ)と、そこの皆さんのことが大好きになってしまいました。

展示後もなんだかんだ温泉津へ行くし、逆に私の家のほうに来ていただいたり。

先日は皆で柿渋作りをしました。

嬉しいね。
大人になってからは友達が出来にくいと言うけれど、そんな悩みを持つ人はみんな島根に来てほしい!


「 むくげ です。まみむめもの『む』」

底紅の むくげ が上のほうに2つ3つ、曇天を背景に咲いていた。

その日、私は、大事なものを失う覚悟をしていたのだった。
失っても失ったなりに、なんとかしよう。それよりも、あの人を守るためには、そうするしかないという数日前の決断を胸に。(そもそもは私も悪いので、そんなに格好良く言えることではない)

" むくげ むくげ 揺れ止まぬもの 我もまた "
と、詠んだとき、母の身には何が起きていたのだろう。

揺れに素直になったり、拒んだり、そもそも気が付かなかったり。
ただ素直だった頃の自分…そのまま大人になったような女性…に憧れるけれど、それでは不意に自分が大きく傷付くことも、大切なものを守れないことも大人になる過程で知ってしまった。

揺れを拒んで、問題は解決された。
なんと、大事なもの/人を、どちらとも守ることができた。心底安心したのに、もう一方の私は切なくなって、静かに4粒ほど泣いた。

一旦、心も身体も仕事に避難させて、時間の経過を待とうと思う。


仕事だー!!
何しろ、作りたいものも、打ち合わせないといけないこともいっぱい!


URL https://shifuori.com/
Instagram https://www.instagram.com/shifu_ori_yuy/

島根県石見地方、川本町という人口3500人の小さな町地域おこし協力隊として、染織をしています。協力隊の任期後に作家として独立し、「石見織」を創立するために、日々全力投球。神奈川県横浜市出身。