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月刊『抽象的な歩き方』

113
様々なフリー切符や長旅に出た記録の置き場。
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#自分

ACT.112『下山』

ACT.112『下山』

大月行き電車

 既に夕暮れの河口湖の駅。
 自分は再び列車に乗車して大月の駅へ向かう。
 終点まで乗車すれば、ある程度の暇つぶしにもなろうかという感じだったが大半の時間は寝ていて大体の記憶を紛失してしまう事になる。
 冒頭の写真は大月まで向かう列車に乗車した際に撮影した記録だ。
 6700系NARUTO電車の側面である。
 富士山駅では一部しか切り抜いて撮影できずだったが、河口湖の留置線では偶然

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ACT.108『希った出会い』

ACT.108『希った出会い』

愛した味を探して

 下吉田付近での忠霊塔に近い踏切で撮影を終了すると、自分が予ねてより行きたかったうどん屋に向かった。
 ミュージシャン、志村正彦氏が勧めたうどん屋、『みうらうどん』である。この店のうどんを、志村氏は生前ずっと愛していたのだとか。
 やはり富士急行沿線を志村氏浮かべて訪問するのであればこの地は欠かせないだろう。大根パスタと迷ったが、そのカフェは次回に訪問する事にした。
 という事

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ACT.107『疲労、天候、燦々』

ACT.107『疲労、天候、燦々』

下車駅・三つ峠

 この駅でJRからの直通列車を下車して、撮影地を探しに向かう。
 三つ峠から先、寿までの区間は富士急行線随一の撮影地の多さであり、関東圏の鉄道ファンがこよなく愛する撮影地が多い。
 そうした中で、自分もそこに惹かれて下車してみた。また、漫画家…しろ先生によって描かれた漫画・TVアニメである『ヤマノススメ』にてこの三つ峠駅は登場した事があり、自分は奇しくもその回を学生時代に視聴して

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ACT.105『偉人の道を伝った先』

ACT.105『偉人の道を伝った先』

鉄道王の力

 甲府から先は、食事を済ませて大月行きの列車に乗車する。
 この先の行き先には塩山行き・大月行き・高尾行きとあるが、この列車は中距離的に走行する列車の部類である。
 さて、乗車した大月行きの普通列車は酒折・石和温泉と駅に停車し、山梨市に停車した。
 この駅で後ろを走行する特急列車に道を譲る為の停車だ。この停車時間を活かして、乗車する大月行きの211系電車を撮影する。
 関東圏では既に

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ACT.104『夕景』

ACT.104『夕景』

韮崎の兄弟

 韮崎中央公園に保存されている蒸気機関車、C12-5。
 ちなみにこの公園には、貨物用の電気機関車
であるEF15-198も保存されているのだがEF15形電気機関車に関しては整備中だったので観察できずだった。その為、スルーして蒸気機関車の観察に向かっている。
 この蒸気機関車は、後々に誕生する万能の中型機…小型テンダー蒸気機関車であるC56形の製造に繋がっていく大きな蒸気機関車であっ

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ACT.103『兄弟を探して』

ACT.103『兄弟を探して』

戻り道

 再び、小淵沢小学校から小淵沢駅への道を戻っていく。
 山々と高原の清涼感を感じてやってきたあの険しい坂を、次は再び上りになるヶ所もあれば下りになるヶ所もある…と、山々の高低差。そしてうねりの激しい道を移動していく。
 折角「蒸気機関車を探しに」と頂いたマップであったが、強く吹き付ける風の中で壊れてしまっては使い物にならない。
 残念ではあるが、ここは端末の地図アプリの表示に従って移動し

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ACT.100『アルプスの麓で暮らす姿』

ACT.100『アルプスの麓で暮らす姿』

目覚めの先

 宿泊した2階の自室では、宿泊客が少ない事を良い事にして?アラームを設定してから就寝した。
 しかし、アラームを設定し布団を被っていても宿横すぐの中央本線を列車が行くのがよくわかる。旅客列車が終わっても、貨物列車に終わりの時間はない。かつてはそうした時間に、東京と日本各地を結寝台列車が走行していた。しかしそうした鉄道が1夜をかけて走行する時代は静かに終焉を迎え、荷物を満載した列車が闇

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ACT.99『至福の一夜を』

ACT.99『至福の一夜を』

予約温泉へ

 宿は2階建ての一軒家のようになっている。
 しかし、じっくり見るとそこは旅館のようになっており、スタッフの方によるとかつては民宿として活用されていたのだとか。なるほど。どうりで建物が広大に感じられる訳だ。
 スタッフの方と少しだけ、フリースペースで語る時間を過ごした。冷蔵庫からメロンソーダの缶飲料を取り出して購入。
 スタッフの方がこの日は両親を連れて宿に宿泊しており、御家族と一緒

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ACT.98『楽園を目指して』

ACT.98『楽園を目指して』

甲府で春を感じる

 甲府の駅に到着し、しばらくの時間を過ごした。
 普段なら宿に向かうまでの時間は車両を撮影したり地元の駅周辺をグルグル回ったり。そして列車の本数の都合があれば下車印の収集をしてから向かったり…と多岐に用事を挟んでから宿泊先に向かうのだが今回は異なった。
『宿に向かう事を目的』
にしている以上、滅茶苦茶早い体勢で宿に向かう準備を整えたのだ。
 として、写真は夕食に食べた『ほうとう

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ACT.97『光彩享受』

ACT.97『光彩享受』

憩いの客車と公園と

 子連れの男性訪問客が公園に来ただけで、入山瀬の駅付近公園は静かである。
 自分はそうした場所で余生を暮らす保存車たちが大好きだから、むしろこの環境の方が良いし車両が地域に深く根ざしている感触を大きく得られて楽しい。
 マンガを客車内で読んでいる男子以外は客車の外に出て、公園に設置された遊具で遊んでいる。蒸気機関車の存在、客車の佇まいには目も暮れんというのか。持ち込んだボール

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ACT.96『雨中進軍?』

ACT.96『雨中進軍?』

現状を踏まえて〜気楽な幕鑑賞〜

 雨の影響は、相当大きいのだという事は富士に近づく中でなんとなく予想がついてきた。
 しかし、そうした中で富士方面を富士宮までの交通は確保されているらしい。取り敢えず、身延線に乗車していこう。
 到着した時、富士で折り返して甲府に向かう予定であった列車は『富士宮行き』となり、とにかくまずは『進める段階』まで列車を走らせようといった感覚を受けた。
 こちらもそこに倣

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ACT.95『歌に沿る序章』

ACT.95『歌に沿る序章』

雨天の中を

 外は降り頻る雨の中であった。
 そうした中で、我が家を準備した荷物を確認し、JRは太秦駅に向かう為に我が家を発つ。既に妹は新年度を迎える寸前に上京し、我が家には自分1人が母と暮らしているから少し切ない時間が流れる。
「あんた、傘。折角やし要らんかったら置いてきぃな。」
母の気遣いを受けて京都を後にする。
「行ってくるわ!!」
陽も上がらず、雨で冷えた道を。水たまりのできたアスファル

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ACT.94『イントロ』

ACT.94『イントロ』

覚えてますか…?原点への回帰

 この連載の最初…は、長崎への旅路にて始まったものであった。
 何か旅連載的なモノを残せたら。そうして始まった中で、自分の中でご当地に因んだ事をしてみたい…と。
 そうした中で、自分が目を付けたのが丁度開催に向かって足並みを弾ませていたセンバツ高校野球。
 センバツでは全国47都道府県は揃わないものの、龍谷大平安・京都国際・京都外大西…と名門校が駒を進め、春真っ盛り

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ACT.93『終章』

ACT.93『終章』

網目の中で

 南北線で最後の足掻きとして真駒内からやってくる電車を撮影している自分。
 しかし、タイムリミットは刻一刻と迫っている…にも関わらず、自分の理想とする写真が撮影できない苦しみと戦っていた。自分が課した事なのに、それを達成できない焦燥感が、ただただ自分を焦らせていた。
 なんだろう、神様が何処かに居るとしたら
「ギリギリまでこんな所に残らず、大人しく帰る準備をしなさい」
というメッセー

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