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【2024/5/19】「文学フリマ東京38」に出店します!【逐次更新】
文学作品展示即売会「文学フリマ」に初出店します!
(当サークルの出店情報はすべてこのページに集約しますので、是非ブックマークのご登録を!)
【文学フリマ東京38】
日時:2024年5月19日(日曜)12:00~17:00
会場:東京流通センター(東京都大田区平和島6-1-1)
入場料:1,000円
https://bunfree.net/event/tokyo38/
当文芸サークル「いなげな」
不知火黄泉彦「武器ではなく、楽器を」
ライフルの音が響いた。
タカタカタン。タカタカ、タカタカ、タカタカタン。
五連符と十三連符だからファイヴストロークとサーティーンストローク、いや、遅めのアレグロだからシングルストロークのほうがクリアに鳴らせる、と反射的に考えてしまった自分が自分で嫌になる。
見ると、迷彩服姿の人々が重なって倒れている。二〇人まではいないだろうか。微塵も動かない。ゴムのようだ。アスファルトに散った血痕のシルエ
恣意セシル「産声のカノン」
遠くから、ゆっくりと何かの音――いや、声が近付いてくる。
おぎゃあ、おぎゃあ、……ああ、これは産声だ。私がこの世に転び出て、初めて出した声だ。不思議なことに、見えないはずの目でも、周りの人々の笑顔が見える。
私は祝福されて生まれて来たのだ。少なくとも、あの瞬間だけは。
びゅおおおおおおおおと、両耳を大気の切り裂かれる音に支配される。高度何万メートルから私は落下しているのだろう? わからな
Sonnie「心臓」
奏でられる鐘の音。まばゆい白い壁がそびえ立ち、教会内を光り輝かせている。空気には神聖な雰囲気が満ち溢れ、慈愛に満ちた思いが包み込まれていた。この美しい教会では、今日一組の新郎新婦を迎え入れる準備が整っていた。
これから新郎新婦が登場する聖堂の入口には、白い花が豪華に飾られ、光に反射してキラキラと輝いている。祭壇の前には、カラフルな装飾が施されたキャンドルが並び、その明かりが優しく会場を照らして
増田邯鄲「パンド・羅・生の鐘」
夕暮れどきのことである。女が、塔に吸い寄せられるように、街道のはずれを歩いていた。脂ぎった髪を垂れ下げ、土埃にまみれた履物を引きずっている。小刻みに吐き出される無声の呼気が、整えられていない前髪をふわりと跳ね上げる。
「ぁ……」
女が地面に足をとられた。躓きかけた女の発した、僅かな有声の音が空気を震わせる。周囲に波紋が広がる。虫、小動物、鳥。音を感知するあらゆる種々が彼女の側を遠ざかっていく。
古川慎二「心神を痛ましむること莫れこの故に」
晴れた日の昼休み。
「慎吾くん。私のために歌って」
亜香里は面白いやつだ。誰に対してもこんな調子のお調子者で、素敵な人だ。
どうしてと尋ねたら、
「だって歌、得意って言ってたじゃん。確かめさせて」
「いいよ」
俺は最近流行っている歌を歌ってみた。
「笑える」
笑われた。
「どうせなら、『空の彼方』歌ってよ」
「タイトルしか知らない」
「やば。おもろ」
彼女は携帯で曲をかけた。
どこに
あらみきょうや「かばね」
正体は茸である。蒲根、と表記するがこれは近代以降に成立した当て字であり、蒲の繫累に名を連ねるものではない。むろん根菜でもない。山中の水辺に群生し、じっさい蒲の根元などにも見られることから名づけられたとする説もあるが、これは些か信憑性に欠ける。蒲はなくとも茸は生える。
従来カワネ、あるいはカワノネと呼ばれていたものが時を経て転訛したのであろう、とは教授の弁だ。真偽のほどは不明である。唯一の論拠は
不知火黄泉彦「あとがき」「夢魔」
あとがき
名刺代わりの作品を、ということで拙作の中で最もいなげな――良識を疑われる――作品である「夢魔」に即決したまではよかったのですが、読者はさておき、他のメンバーが眉を顰めるのでは、と危惧していたところ、あっさり「津原先生の『天使解体』が出版されているわけですし」と杞憂に終わって失笑したことが記憶に新しく、そんないなげで寛大な朋輩に恵まれたことに感謝しています。
というわけでいなげな私に
小川三十一「ノットゥルノ -Notturno-(一部)」
人間はやりたいこととやっていることが 完全に一致していることはめったに無い。食べるとか寝るとかの生理現象は別にして、いや別にしなくてもたとえば食事にしても今食べているものが今食べたいものと完全に一致していることは少ないはず。いや自分はいつも好きなものを食べているよと言う人もいるかもしれないけれど、そういう方は無意識のうちに今食べられるものを食べたいと思うように思考が慣らされているのだと私は思って
もっとみるあらみきょうや「世界猫の日」 ※全文公開
「今日は世界猫の日なんだって。知ってた?」
「セカイネコ?」
「そう。この世の涯には世界中の猫を統べる世界猫がいて、とこしえの眠りを貪っているんだ。何でも山のように巨大な猫で、その寝返りは大地を揺るがし、欠伸ひとつで嵐を巻き起すのだとか」
「災害の元兇じゃないか。一刻も早く滅ぼさないと」
「ところが世界猫にはどの国も手を出せないんだ。条約で保護されているんだって」
「ふうん、何て条約?」
しばら