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月刊『抽象的な歩き方』

113
様々なフリー切符や長旅に出た記録の置き場。
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#場所

ACT.111『疲労途上』

ACT.111『疲労途上』

河口湖線とハエニッパ

 埼京線から譲渡され、首都圏最後の205系として尽力した205系ハエ28編成は、この富士急行に転職して富士急ハイランドの人気アトラクション『きかんしゃトーマスランド』のラッピング装飾を身に纏って活躍している。
 訪問した際にはその装飾をじっくり見る事は出来ず、ただただ混雑の中に紛れていたので撮影や記録に浸る事は出来なかった。
 やっとの思いにて富士急ハイランド方面への河口湖

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ACT.107『疲労、天候、燦々』

ACT.107『疲労、天候、燦々』

下車駅・三つ峠

 この駅でJRからの直通列車を下車して、撮影地を探しに向かう。
 三つ峠から先、寿までの区間は富士急行線随一の撮影地の多さであり、関東圏の鉄道ファンがこよなく愛する撮影地が多い。
 そうした中で、自分もそこに惹かれて下車してみた。また、漫画家…しろ先生によって描かれた漫画・TVアニメである『ヤマノススメ』にてこの三つ峠駅は登場した事があり、自分は奇しくもその回を学生時代に視聴して

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ACT.104『夕景』

ACT.104『夕景』

韮崎の兄弟

 韮崎中央公園に保存されている蒸気機関車、C12-5。
 ちなみにこの公園には、貨物用の電気機関車
であるEF15-198も保存されているのだがEF15形電気機関車に関しては整備中だったので観察できずだった。その為、スルーして蒸気機関車の観察に向かっている。
 この蒸気機関車は、後々に誕生する万能の中型機…小型テンダー蒸気機関車であるC56形の製造に繋がっていく大きな蒸気機関車であっ

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ACT.103『兄弟を探して』

ACT.103『兄弟を探して』

戻り道

 再び、小淵沢小学校から小淵沢駅への道を戻っていく。
 山々と高原の清涼感を感じてやってきたあの険しい坂を、次は再び上りになるヶ所もあれば下りになるヶ所もある…と、山々の高低差。そしてうねりの激しい道を移動していく。
 折角「蒸気機関車を探しに」と頂いたマップであったが、強く吹き付ける風の中で壊れてしまっては使い物にならない。
 残念ではあるが、ここは端末の地図アプリの表示に従って移動し

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ACT.102『山々の清涼』

ACT.102『山々の清涼』

少しだけの身延線

 列車の時間に間に合わせた身延線の乗車は、無事に間に合いそうだ。
 南甲府駅まで走り気味に向かって列車を繋ぎ止め、そのまま再び甲府に戻る。昨日と今日だけで、どれだけ甲府と山梨の地点を往復しているのだろうか。数えたらキリがない気持ちにさせられる。
 少し早めに戻ってきた矢先に、313系電車が留置線に待機しているのを発見した。
 中間車両を挟んでいるこの編成は、夕方・朝ラッシュの一

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ACT.100『アルプスの麓で暮らす姿』

ACT.100『アルプスの麓で暮らす姿』

目覚めの先

 宿泊した2階の自室では、宿泊客が少ない事を良い事にして?アラームを設定してから就寝した。
 しかし、アラームを設定し布団を被っていても宿横すぐの中央本線を列車が行くのがよくわかる。旅客列車が終わっても、貨物列車に終わりの時間はない。かつてはそうした時間に、東京と日本各地を結寝台列車が走行していた。しかしそうした鉄道が1夜をかけて走行する時代は静かに終焉を迎え、荷物を満載した列車が闇

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ACT.97『光彩享受』

ACT.97『光彩享受』

憩いの客車と公園と

 子連れの男性訪問客が公園に来ただけで、入山瀬の駅付近公園は静かである。
 自分はそうした場所で余生を暮らす保存車たちが大好きだから、むしろこの環境の方が良いし車両が地域に深く根ざしている感触を大きく得られて楽しい。
 マンガを客車内で読んでいる男子以外は客車の外に出て、公園に設置された遊具で遊んでいる。蒸気機関車の存在、客車の佇まいには目も暮れんというのか。持ち込んだボール

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ACT.96『雨中進軍?』

ACT.96『雨中進軍?』

現状を踏まえて〜気楽な幕鑑賞〜

 雨の影響は、相当大きいのだという事は富士に近づく中でなんとなく予想がついてきた。
 しかし、そうした中で富士方面を富士宮までの交通は確保されているらしい。取り敢えず、身延線に乗車していこう。
 到着した時、富士で折り返して甲府に向かう予定であった列車は『富士宮行き』となり、とにかくまずは『進める段階』まで列車を走らせようといった感覚を受けた。
 こちらもそこに倣

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ACT.84『非業乗り越えて』

ACT.84『非業乗り越えて』

もう1つの看板

 道の駅あびらD51ステーションで昼下がりの時間を過ごしている。
 札幌から石勝線へ直通する特急/おおぞら…にて再び旅の序盤に訪問した安平町は追分に戻った。
 先ほど、この場所では自分が見ておきたかった保存車であるキハ183系、キハ183-214を観察し撮影に没頭した。だが、この場所にはもう1つの保存車が居るのである。その保存車は、かつての安平町の主役であり、この追分の大地を鉄道

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ACT.83『新たなヒーロー』

ACT.83『新たなヒーロー』

道東の星と共に

 昼下がりの札幌駅。
 土曜日の夏季。8月をもう少しで迎えようとする中の札幌は北の大地といえど暑く、自分の中では滞在時間で慣れているとはいえ、車両を見てようやく自分が北海道に滞在していると気付かされる。
 ディーゼルサウンドを掻き鳴らし、高架駅に滑り込んできたのはキハ261系1000番台。
 現在の道南方面と札幌を結ぶ特急/スーパー北斗。そして今回乗車する石勝線で道東と札幌を結節

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ACT.80『出会いの朝と札幌の街』

ACT.80『出会いの朝と札幌の街』

すすきのから

 すすきのに店を構える『すみれ』(本店は真駒内方面らしいが)を食して自分が地下鉄の最終電車で宿に戻り、宿のリビングで机に置かれた飴をポリポリ食べてのんびりしていると、ガチャっと玄関の扉が開いた。
 自分以外の宿泊客に出会うのはこれがはじめて。会釈をしつつ、
「よろしくお願いします」
と1夜を過ごすにあたっての挨拶をした。
「どちらへ行かれてたんですか?」
帰ってきた男性と束の間の会

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ACT.78『焦点』

ACT.78『焦点』

宿、到着へ

 ゲストハウスに行くまでの道のりに、かなり迷っていたのを今でも思い出す。
「どっちや…分からん…」
発達のあるあるになってくるのかもしれないが、方向感覚や地図感覚、それに自分の居場所を感じられないというか街中を逃走しているような気持ちになる。時刻は既に21時を回っていた。通常の移動ではサッサと進めるような移動距離を、サイン類のレトロな文字や札幌市営地下鉄の独自性を写真に記録しつつ歩行

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ACT.73『感情動転、歴史の先に…越えろ石北本線!』

ACT.73『感情動転、歴史の先に…越えろ石北本線!』

昭和への架け橋

 大正…の蒸気機関車というと、やはり令和最大のアニメ映画として現状のヒットを記録し、そして世界でも多くの高い評価を得たアニメ『鬼滅の刃』…劇場版より、無限列車編で登場した旅客用の蒸気機関車。8620形が浮かぶだろう。
 この機関車の活躍は、令和になった今。多くの国民と世界の人々に大きな人気を集め、
『無限列車』
の呼び名を集めた。大正・昭和・平成。そして令和の時代を踏んで今に至り

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ACT.68『はまなすにさよならを』

ACT.68『はまなすにさよならを』

最北端追求

 宗谷岬は、昭和51年のNHK『みんなのうた』にてダ・カーポの楽曲である『宗谷岬』がオンエアされた事を受け、全国規模にその知名度が拡がった。そしてその影響…になっているのか、周辺は最果ての場所とは思えないような喧騒に包まれ、多くの観光施設が立ち並ぶ。
 宗谷岬の石碑周辺では多くの人が記念撮影に興じ、宗谷岬の観光地たる知名度を現在に物語っている。
 宗谷岬での滞在時間は、決して長くない

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