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月刊『抽象的な歩き方』

114
様々なフリー切符や長旅に出た記録の置き場。
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#鉄道

ACT.114『やり残した事』

ACT.114『やり残した事』

熱いうちに

 鉄は熱いうちに打て、というのは諺でも有名なものだ。
 そうした諺の一環…ではないが、自分の脳内では空前絶後の南海電車ブームが到来している。
 最近このアカウントでも南海電車に関する記事が多めなのが、またその証拠になっているのだが。(露骨ですね)
 そんな中で、1つの乗車券の販売を観測する。
『セレッソ大阪×南海ラピート30周年記念乗車券』
だ。2,500円の販売で南海全線が乗り降り

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ACT.113『沁みる決別』

ACT.113『沁みる決別』

何度目の転換

 富士急ハイランドから6700系に乗車し、富士山に到着した。ここでは進行方向が切り替わる。
 かつて先が伸びていた駅を行き止まりにし、そのまま線路を継ぎ足して大月まで無理矢理開業させた名残を残す場所として、現在でも乗客の足枷になっている場所だ。
 乗車している6700系は運転士と車掌の位置を入れ替える程度の方向転換で再び山を下る走りに転じて次の月江寺に向かう。
 この先が下吉田。富

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ACT.110『富士山駅』

ACT.110『富士山駅』

富士山駅にて

 フジサン特急を下車し、この駅である撮影の為に駅で暇を潰す。
 フジサン特急を下車した時、横には大月方面に向かおうとしている205系改造の6700系が停車していた。
 この駅はかつて『富士吉田駅』であったが、平成23年に駅をリニューアルする際に『富士山駅』に改称されたのであった。リニューアルは富士急行線の中で走行している観光特急のうちの1本。『富士山ビュー特急』と同じデザイナーによ

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ACT.109『健在なる足』

ACT.109『健在なる足』

もう1つのOB

 御殿場線の華であった371系の転職列車、富士山ビュー特急を都留文科大学で下車した。
 この駅で特急に乗り換えて再び富士山方面に向かう。
 この富士急行線では、御殿場線で優等列車の時代の全盛期を支えた列車が共演している。都留文科大学まで乗車した富士山ビュー特急はその1つで、もう1つはこの後にやってくる列車だ。
 都留文科大学で下車し改札外に出札。
 その際にNARUTO列車(ここ

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ACT.99『至福の一夜を』

ACT.99『至福の一夜を』

予約温泉へ

 宿は2階建ての一軒家のようになっている。
 しかし、じっくり見るとそこは旅館のようになっており、スタッフの方によるとかつては民宿として活用されていたのだとか。なるほど。どうりで建物が広大に感じられる訳だ。
 スタッフの方と少しだけ、フリースペースで語る時間を過ごした。冷蔵庫からメロンソーダの缶飲料を取り出して購入。
 スタッフの方がこの日は両親を連れて宿に宿泊しており、御家族と一緒

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ACT.98『楽園を目指して』

ACT.98『楽園を目指して』

甲府で春を感じる

 甲府の駅に到着し、しばらくの時間を過ごした。
 普段なら宿に向かうまでの時間は車両を撮影したり地元の駅周辺をグルグル回ったり。そして列車の本数の都合があれば下車印の収集をしてから向かったり…と多岐に用事を挟んでから宿泊先に向かうのだが今回は異なった。
『宿に向かう事を目的』
にしている以上、滅茶苦茶早い体勢で宿に向かう準備を整えたのだ。
 として、写真は夕食に食べた『ほうとう

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ACT.96『雨中進軍?』

ACT.96『雨中進軍?』

現状を踏まえて〜気楽な幕鑑賞〜

 雨の影響は、相当大きいのだという事は富士に近づく中でなんとなく予想がついてきた。
 しかし、そうした中で富士方面を富士宮までの交通は確保されているらしい。取り敢えず、身延線に乗車していこう。
 到着した時、富士で折り返して甲府に向かう予定であった列車は『富士宮行き』となり、とにかくまずは『進める段階』まで列車を走らせようといった感覚を受けた。
 こちらもそこに倣

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ACT.95『歌に沿る序章』

ACT.95『歌に沿る序章』

雨天の中を

 外は降り頻る雨の中であった。
 そうした中で、我が家を準備した荷物を確認し、JRは太秦駅に向かう為に我が家を発つ。既に妹は新年度を迎える寸前に上京し、我が家には自分1人が母と暮らしているから少し切ない時間が流れる。
「あんた、傘。折角やし要らんかったら置いてきぃな。」
母の気遣いを受けて京都を後にする。
「行ってくるわ!!」
陽も上がらず、雨で冷えた道を。水たまりのできたアスファル

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ACT.94『イントロ』

ACT.94『イントロ』

覚えてますか…?原点への回帰

 この連載の最初…は、長崎への旅路にて始まったものであった。
 何か旅連載的なモノを残せたら。そうして始まった中で、自分の中でご当地に因んだ事をしてみたい…と。
 そうした中で、自分が目を付けたのが丁度開催に向かって足並みを弾ませていたセンバツ高校野球。
 センバツでは全国47都道府県は揃わないものの、龍谷大平安・京都国際・京都外大西…と名門校が駒を進め、春真っ盛り

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ACT.86『飛ばせる線路』

ACT.86『飛ばせる線路』

石勝線、再び

 追分駅に戻ってきた。列車を待機する。
 南千歳方面に向かって札幌方面に戻るのがこの旅の現状の締めくくりに相応しい…状況であるが、時刻表を確認してみると新夕張方面に1本の列車が見えた。
「少し乗車して、1駅か2駅先で下車すっか」
そうした思いで、駅に入る釧路方面の特急列車を待機した。

 やってきた列車に乗車する。キハ261系1000番台による特急列車、おおぞら/9号である。
「ま

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ACT.85『膝下解明』

ACT.85『膝下解明』

キハの裏で

 当日の天気は、曇天の中に陽射しが時折差し込むといった状態であった。そうした中で、屋外に保存されているこの場所のメイン的な存在であるキハ183-214を撮影する。夕日を受けて輝く国鉄色は、日本人のDNAを刺激する格別の情景である。
 さて。こうして炭鉱鉄道の開発歴史や石勝線の開通と安平町を形成した歴史を2つ眺め、保存車も共に観察した。
 しかし、この場所には隠れてまだ保存車がいるので

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ACT.84『非業乗り越えて』

ACT.84『非業乗り越えて』

もう1つの看板

 道の駅あびらD51ステーションで昼下がりの時間を過ごしている。
 札幌から石勝線へ直通する特急/おおぞら…にて再び旅の序盤に訪問した安平町は追分に戻った。
 先ほど、この場所では自分が見ておきたかった保存車であるキハ183系、キハ183-214を観察し撮影に没頭した。だが、この場所にはもう1つの保存車が居るのである。その保存車は、かつての安平町の主役であり、この追分の大地を鉄道

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ACT.83『新たなヒーロー』

ACT.83『新たなヒーロー』

道東の星と共に

 昼下がりの札幌駅。
 土曜日の夏季。8月をもう少しで迎えようとする中の札幌は北の大地といえど暑く、自分の中では滞在時間で慣れているとはいえ、車両を見てようやく自分が北海道に滞在していると気付かされる。
 ディーゼルサウンドを掻き鳴らし、高架駅に滑り込んできたのはキハ261系1000番台。
 現在の道南方面と札幌を結ぶ特急/スーパー北斗。そして今回乗車する石勝線で道東と札幌を結節

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ACT.75『かつての本線』

ACT.75『かつての本線』

夏空の下を

 列車は北見を発ち、留辺蘂に停車した。そしてまず、列車の転換点となる遠軽まで走り抜けていく。そしてその前に立ちはだかるのは常紋峠という厳しい難所だ。
 この峠を貫いて掘られたトンネルには犠牲者が多く発生し、工事関係者の犠牲を弔う慰霊碑も設置されているのだとか…
 北海道の鉄道を待ち受ける難所に立ち向かい、乗車中のキハ283系は遅延の原因と化した温度上昇の線路を踏み締め走っていく。

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