Ally

-10行の創作世界- すべてはフィクションです。10行しかありません。 作品それぞれの…

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-10行の創作世界- すべてはフィクションです。10行しかありません。 作品それぞれの色彩・時間軸・年齢・ビジュアル等を、 想像して楽しんでいただけたら嬉しいです。

記事一覧

『快遊』

「年末は混んでるねぇ」駅前で老夫婦を乗せた。 長く待っていたのか、顔が紅潮している。 行き先は少し先の銀行。歩くのも辛いらしい。 「この年になるとさ、終わりを待…

Ally
4か月前
17

『食願』

今、飼い主が死んだ。月が照らしている。 「孤独な俺が死んでも、適当に葬られるだけだ。 だから、俺を食べてくれ。朝までに…」 最後の力で辿り着い廃工場。よし、…

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1年前
22

『苦福』

「あ、母さん。久しぶり!TV観てくれた? 僕すごいでしょ?すごく頑張ったんだよ!」 無邪気に無差別殺人を報告する、45歳の息子。 久しぶりの会話は、拘置所の…

Ally
1年前
15

『希光』

誰もいない、夜のコインランドリー。静かだ。 さて、とっとと済ますか。扉を開けて、閉めた。 マジか、、これはどうしよう。ーバタンっ! 店の扉が開く。「男の子、見ま…

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1年前
20

『恋交』

バレンタインデートの待ち合わせ、10分前。 向かいは、窓際で横一列に席が並ぶカフェ。 満席の中、二組のカップルが並んで座っている。 男、女、男、女。それぞれの相手…

Ally
1年前
18

『恨策』

「毎日こんなに行列が出来るなんて、、本当に 有難いです。娘もパンが大好きで…」 地方の人気パン屋の特集番組。和かな親子3人。 「ママー!。あいつ田舎でパン…

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1年前
12

『明送』

派手に着飾る人々。賑やかな音楽で溢れる空間。 こんな感じで、、良かったか?遺影の妻に問う。 なぜ、こうなったのか。彼女はよく語っていた。 「お葬式って大嫌い!黒…

Ally
1年前
12

『輝舞』

決まりだ。この7人が新しい時代を創るだろう。 世界を目指すガールズグループのプロデュース。 緻密な戦略、共感を生む曲、隙のないダンス。 これから想像もつかない練…

Ally
1年前
11

『聴在』

手話なんて大っ嫌い。ちまちま覚えてられるか。 遅く話して唇の動きを読ませる?なおさら無理。 耳が聴こえないなんて、どうでもいいのよ。 私が好きなのは、彼の書くメ…

Ally
1年前
18

『占先』

当たると評判の人気占い師。それが私の肩書き。 この独特な雰囲気を売り込んだら当たっただけで TVや雑誌の占い依頼は、何人ものスタッフが 多くの統計を元に、相応しい…

Ally
1年前
14

『耐光』

「ほら食えよ。今日はなかなかのごちそうだぞ」 離れた場所からも分かる腐った臭い。無理だ。 頭は拒否しているのに、空腹な体は近づく。 覗き込んで目を疑…

Ally
1年前
17

『弱従』

今夜も、女王様が悪魔の微笑みでやって来た。 僕を四つん這いにさせたかと思うと、叩く。 笑いながら上に乗った途端、走れと言う。 髪を掴み、腹を蹴り、やりたい放題な…

Ally
1年前
15

『贈愛』

「ねぇ、そっちへ行っていい…?」 遺影のあなたは微笑むだけ。何も変わらない。 一年前、突然あなたはいなくなってしまった。 30年も一緒にいた私に、病気を隠して…

Ally
1年前
16

『幸遠』

雲ひとつない青空。煌く日差し。心地よい風。 公園の砂場では、夫と2人の子供が遊んでいる。 幸せだ。私がこんな幸せになれるなんて。 気づいた頃には、殺し屋になって…

Ally
2年前
25

『密待』

放課後はこの公園で本を読み、19時まで待つ。 出会った場所であり、別れと再会を誓った場所。 6才の頃、私は女性に、ここで誘拐された。 病気で子供が産めず、夫も離れ…

Ally
2年前
23

『撮人』

風景しか撮らないんですか?よく聞かれる質問。 でも、なぜか、人の存在を感じるんですよね。 視えるとかでなく、、温もりを感じるんです。 僕は、もうこの世にいない彼…

Ally
2年前
20

『快遊』

「年末は混んでるねぇ」駅前で老夫婦を乗せた。

長く待っていたのか、顔が紅潮している。

行き先は少し先の銀行。歩くのも辛いらしい。

「この年になるとさ、終わりを待つばかりで

刺激がないんだよ。だから、今年は遊ぶんだ」

お金おろして海外豪遊かな。羨ましい限りだ。

「こんな風に。パァーン!」銃口が頭に当たる。

「あはは、おもちゃだよ。よいお年を!」

銀行へ入る夫婦。「パァー

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『食願』

今、飼い主が死んだ。月が照らしている。

「孤独な俺が死んでも、適当に葬られるだけだ。

だから、俺を食べてくれ。朝までに…」

最後の力で辿り着い廃工場。よし、始めるか。

ぐちゃ。皮膚を裂くだけでも、時間がかかる。

ダメだ、みんなを呼ぼう。野良犬。散歩道の犬。

敵対する大型犬。総勢30匹以上。ありがとう。

無言で、必死に、脇目も振らず。時間との闘い。

朝日が昇る頃、終わった。骨は

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『苦福』

「あ、母さん。久しぶり!TV観てくれた?

僕すごいでしょ?すごく頑張ったんだよ!」

無邪気に無差別殺人を報告する、45歳の息子。

久しぶりの会話は、拘置所のアクリル版を挟む。

狂った息子。私が育てた子。可愛く残酷な人間。

「ここの売店に大福あったから、差し入れたよ」

「えー、母さんの大福が良かった。ま、いっか」

嘘。食べられるよ。さっき、すり替えたからね。

味わう前に

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『希光』

誰もいない、夜のコインランドリー。静かだ。

さて、とっとと済ますか。扉を開けて、閉めた。

マジか、、これはどうしよう。ーバタンっ!

店の扉が開く。「男の子、見ませんでしたか?」

「いや、知らないっすね」再度、扉を開けて

洗濯物を投げ入れる。この子が見えないように。

「くそ、どこ行ったんだよ」去って行く男女。

「あれ、パパとママ」痣の多い顔が笑いかける。

「よ

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『恋交』

バレンタインデートの待ち合わせ、10分前。

向かいは、窓際で横一列に席が並ぶカフェ。

満席の中、二組のカップルが並んで座っている。

男、女、男、女。それぞれの相手と仲良く話す。

が、この場所からしか分からないことがある。

中央の男女が手を絡ませているのだ!OMG!

顔は互いの恋人を見ているのに、手はそっち!?

やるなぁ。こんな日でも、狩人は狩人なのだ。

最高の運命を掴むためには、妥

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『恨策』

「毎日こんなに行列が出来るなんて、、本当に

有難いです。娘もパンが大好きで…」

地方の人気パン屋の特集番組。和かな親子3人。

「ママー!。あいつ田舎でパン屋やってるよ」

「あらぁ、こんなとこに。やっと見つかった」

「うちらをボロボロに捨てておいて、自分だけ

幸せとか、マジでウザい。どうする?」

「そうねぇ、まずは風評被害でダメージ与えよ」

「おっけ。精神面と

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『明送』

派手に着飾る人々。賑やかな音楽で溢れる空間。

こんな感じで、、良かったか?遺影の妻に問う。

なぜ、こうなったのか。彼女はよく語っていた。

「お葬式って大嫌い!黒くて暗くて湿っぽくて。

私の時は、明るく楽しく見送ってよね!」

入口にいる女性が、笑顔でピースをしてきた。

頷きながら、手を振る。「パパ、誰かいたの?」

「ん?綺麗な人がいたから、、なんとなくな」

「何それ!?マ

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『輝舞』

決まりだ。この7人が新しい時代を創るだろう。

世界を目指すガールズグループのプロデュース。

緻密な戦略、共感を生む曲、隙のないダンス。

これから想像もつかない練習が待っているが、

君たちなら大丈夫だ。信じている、成し遂げる。

5年後、少女達は世界のトップスターになった。

もう僕など必要ないのに、ライブには呼ばれる。

『袖で観ていてよ』…初心を忘れたくないから。

照れた顔で笑い合う7

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『聴在』

手話なんて大っ嫌い。ちまちま覚えてられるか。

遅く話して唇の動きを読ませる?なおさら無理。

耳が聴こえないなんて、どうでもいいのよ。

私が好きなのは、彼の書くメール文章。

的確で分かり易く、無駄がない。そして優しい。

おまけに、書く文字までもが綺麗で美しい。

あぁ、もう、だめ。気持ちが抑えられない!

その日から、怒涛のラブレター攻撃の日々。

彼の答えは…「負けた。聴こえなくてもお前

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『占先』

当たると評判の人気占い師。それが私の肩書き。

この独特な雰囲気を売り込んだら当たっただけで

TVや雑誌の占い依頼は、何人ものスタッフが

多くの統計を元に、相応しい答えを作っている。

これでいいのか?自分で答えも見つけられない。

「そこのお嬢さん。嘘をつくのはいけないよ」

街の占い師が呼び止める。「嘘…分かるの?」

「あぁ。ワシの占いは当たるからな。聞くか?」

無視して去る。朝のTV

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『耐光』

「ほら食えよ。今日はなかなかのごちそうだぞ」

離れた場所からも分かる腐った臭い。無理だ。

頭は拒否しているのに、空腹な体は近づく。

覗き込んで目を疑った。様々な残飯の寄せ集め。

即座に顔を背け胃から吐き出す。涙も流れ出す。

「兄ちゃん、まだまだだな」周りの奴らが笑う。

「悔しいか?これがホームレスの始まりだ。

抜け出したいなら、食べろ。無理にでも食

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『弱従』

今夜も、女王様が悪魔の微笑みでやって来た。

僕を四つん這いにさせたかと思うと、叩く。

笑いながら上に乗った途端、走れと言う。

髪を掴み、腹を蹴り、やりたい放題な、女王様。

それに飽きたら、今度は抱け。と要求してくる。

仕事でパンパンな腕などお構いなしだ。

少しでも力を抜けば、すぐに叩かれる。パシャ!

「良い写真〜。仲良しなパパと娘って感じ〜。

そのまま、お風呂と寝かしつ

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『贈愛』

「ねぇ、そっちへ行っていい…?」

遺影のあなたは微笑むだけ。何も変わらない。

一年前、突然あなたはいなくなってしまった。

30年も一緒にいた私に、病気を隠して。

31年目の結婚記念日の今日、私は一人なのよ。

「お届けものです」小包が届いた。

私の好きな曲のオルゴールと手紙が入っていた。

「もう僕はこの世にいないだろうね。隠してて

ごめん。でも、こっちへ来たいなん

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『幸遠』

雲ひとつない青空。煌く日差し。心地よい風。

公園の砂場では、夫と2人の子供が遊んでいる。

幸せだ。私がこんな幸せになれるなんて。

気づいた頃には、殺し屋になっていた。

何も感じず殺す日々。もう、それも10年前の話。

ーザクっ。背中が灼けるように熱い。

背後を取られるなんて。この刺し方はプロだ。

「勘が鈍ったな。悪く思うなよ。これが運命だ」

私の運命。家族を見守りながら眠る運命なのね

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『密待』

放課後はこの公園で本を読み、19時まで待つ。

出会った場所であり、別れと再会を誓った場所。

6才の頃、私は女性に、ここで誘拐された。

病気で子供が産めず、夫も離れていき、

どうしようもない自暴自棄の行動。号泣の告白。

側に居てあげたかった。だから、提案した。

成人の18歳になったら、迎えに来て欲しいと。

どうせ、両親は産まれた妹にしか関心がない。

18時50分。今日も来なかった。ま

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『撮人』

風景しか撮らないんですか?よく聞かれる質問。

でも、なぜか、人の存在を感じるんですよね。

視えるとかでなく、、温もりを感じるんです。

僕は、もうこの世にいない彼女を撮っている。

ここに座っていたら、あそこに立っていたら、

今も、忘れられない姿を、映し続けている。

そんな僕の写真を見て、泣いている女性がいた。

綺麗な横顔。気づいたら、彼女を撮っていた。

こちらを向く。「やっと、人を撮

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