『幸遠』

雲ひとつない青空。煌く日差し。心地よい風。

公園の砂場では、夫と2人の子供が遊んでいる。

幸せだ。私がこんな幸せになれるなんて。

気づいた頃には、殺し屋になっていた。

何も感じず殺す日々。もう、それも10年前の話。

ーザクっ。背中が灼けるように熱い。

背後を取られるなんて。この刺し方はプロだ。

「勘が鈍ったな。悪く思うなよ。これが運命だ」

私の運命。家族を見守りながら眠る運命なのね。

視界がぼやけていく。幸せが遠ざかっていく。


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