ちえり

大学院進学希望の宝塚歌劇好き

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『教育による富の循環、それに気付かない人たち』

私は生まれてから12歳の夏まで、「教育による富の循環」の、渦中にいた。 いや、渦中にいたという表現よりも、私は月に1万円のボロアパートに住んでいたから、その循環を…

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10か月前
33

閻魔大王に舌を抜かれ続ける舞台人

中学生の頃、とある舞台で演出助手として関わらせて頂き、使用する大道具を修繕した時の話である。 その大道具は全て段ボールで作られた、自分の身長より少し小さな柱だっ…

ちえり
12日前
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低用量ピルを使って生理を変えた話

理不尽だと思っていた。 将来産むかどうかも分からない子どものために、自分の身体が月に1回も体調不良を引き起こすことが。 それは大事な試験や模試の時でも、人生を左右…

ちえり
4週間前
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宝塚歌劇のときめきの先にあるもの

題名に「宝塚歌劇のときめき」と出しておきながら、あまりにも現実的で希望の無いようなことを書くのはナンセンスだが、それを承知で書く。 日本のジェンダーギャップ指数…

ちえり
1か月前
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宝塚歌劇の娘役が「女」役ではなく「娘」役である理由

以前からこのnoteの記事では宝塚歌劇の男役について、様々なことを書いてきたが今回は娘役について書いてみようと思う。 私が今のようなヅカファンになったのは小学3年生の…

ちえり
1か月前
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自分の生活圏が大好きなタカラジェンヌの写真集の世界になった話

私は北九州の大学生だ。 小倉の街を当てもなくとっつき歩いては、ある日は小倉駅のスタバで血眼になって締め切り間近のレポートを仕上げようと必死になり、ある日は失いそ…

ちえり
2か月前
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2024年になっても宝塚歌劇団が劇団員を「未婚」女性に限定している理由

宝塚歌劇団は女性だけで構成された歌劇団であるということで有名だが、女性は女性でも「未婚」女性だけで構成されているというのは、意外と知られていないことではないのだ…

ちえり
2か月前
6

「宝塚大好き、ここで働く以外考えられない」というただひとつの真実を守るために、Twitter(X)をやめる話

【追記】 結局Twitterを辞める方法が分からず、Twitterのアカウントは残しました。が、Twitterはかなり見る頻度が少なくなりました。今後は、noteの記事の宣伝や、その記事…

ちえり
2か月前
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その性別に生まれてきた時点での負担について

私は小学生の頃まで、特に性別というものを意識して生活することは無かった。 男子は男子、女子は女子というただの分類であって、それによって特別何かを考えるということ…

ちえり
2か月前
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”伝統”という言葉に感じた違和感

中学2年生か、中学3年生の頃だったと思う。 正確なきちんとした時期は忘れてしまったが、それは学年集会での出来事だった。 学年主任の先生が前に立って話をしていて、最後…

ちえり
2か月前
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生理用品がからかいの対象になって、時には高級品とされてしまう現実

「被災地で生理用品はぜいたく」 この言葉を見たとき、私は怒り、そして落胆した。 以前からこの日本では、生理はタブー視され、時にはからかいの対象にされ、無いものの…

ちえり
3か月前
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”創りもの””幻想”が構築する世界                ~宝塚歌劇の男役について~

宝塚歌劇の男役が好きだ。いや、男役が好きというより、男役が演じる男性像が好きだ。理由はと言われたら、とりあえず言っとく。 「かっこいいから」と…。 ただ、大学生に…

ちえり
3か月前
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”生まれつき”の不自由さに対抗する夢の世界 ~宝塚男役と歌舞伎女方について~

親や性別、生まれる場所、名前、容姿…。挙げればキリが無い。 私たちは生まれた時点で、自分の全く意図しないところで、望んでいないのにも関わらず決められたものをたく…

ちえり
4か月前
8

映画「窓際のトットちゃん」を観て、   結局親ガチャ?と思ってしまった話

三連休の中日の日曜日、前々から観に行くと予定していた映画「窓際のトットちゃん」を観に行った。 小林宗作先生の子どもへの愛情に溢れた学園、トモエ学園。 公立小学校で…

ちえり
4か月前
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蟻の巣観察キット、そして私の処世術 蟻の気持ちを考えた文学部学生の夏休み

世間の一般的な夏休みが終わろうとしていた9月、スーパーで自由研究用の蟻の巣観察キットが売れ残っていた。 どうやら、透明な容器のなかにジェルを入れ、蟻を入れ、巣を…

ちえり
4か月前
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”女の敵は女”の世界になった理由 女性どうしの人間関係が難しいのはなぜか?

女性どうしの人間関係は複雑、だと思われがちである。 もちろん、男性どうしだって人間関係がないわけではないが、女性どうしの人間関係は特に陰湿だったり、怖い、とされ…

ちえり
6か月前
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『教育による富の循環、それに気付かない人たち』

『教育による富の循環、それに気付かない人たち』

私は生まれてから12歳の夏まで、「教育による富の循環」の、渦中にいた。

いや、渦中にいたという表現よりも、私は月に1万円のボロアパートに住んでいたから、その循環を「傍観していた」というのに近いかもしれない。

「傍観」しておきながら、目先の娯楽のことだけしか考えずに生きていた、馬鹿な小学生だった私は、その「循環」がなぜ生まれているのかも考えず、なんとなく「私の住んでる場所って頭の良い子が多いらし

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閻魔大王に舌を抜かれ続ける舞台人

閻魔大王に舌を抜かれ続ける舞台人

中学生の頃、とある舞台で演出助手として関わらせて頂き、使用する大道具を修繕した時の話である。
その大道具は全て段ボールで作られた、自分の身長より少し小さな柱だった。
下の土台に柱をくっ付けているという構造だったので、土台と柱の接合が上手くいっておらず、柱が舞台稽古中に土台から取れてしまったのである。
舞台稽古が終了した後、早く修繕を済まさなければ…と思った私は、ガムテープを用いて土台と柱をくっ付け

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低用量ピルを使って生理を変えた話

低用量ピルを使って生理を変えた話

理不尽だと思っていた。
将来産むかどうかも分からない子どものために、自分の身体が月に1回も体調不良を引き起こすことが。
それは大事な試験や模試の時でも、人生を左右する高校受験や大学受験の時でもお構いなしにやってくる。
鎮痛剤を飲んでも効かず、貧血気味になり、気分は不愉快なままである。
しかもタブー視されていることだから、普通の頭痛や腹痛と同じように痛みを訴えることは難しい。
生理?そんなの知りませ

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宝塚歌劇のときめきの先にあるもの

宝塚歌劇のときめきの先にあるもの

題名に「宝塚歌劇のときめき」と出しておきながら、あまりにも現実的で希望の無いようなことを書くのはナンセンスだが、それを承知で書く。
日本のジェンダーギャップ指数は、146か国中125位である。
これは昨年(2023年)のデータなので、もしかしたら今年(2024年)の順位は良い方向に変わったものになるかもしれない。
しかしながら、一昨年(2022年)の順位が146か国中116位であり、その翌年の20

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宝塚歌劇の娘役が「女」役ではなく「娘」役である理由

宝塚歌劇の娘役が「女」役ではなく「娘」役である理由

以前からこのnoteの記事では宝塚歌劇の男役について、様々なことを書いてきたが今回は娘役について書いてみようと思う。
私が今のようなヅカファンになったのは小学3年生の頃だったが、まだまだ子どもで物事を深く考えられなかった私は、常にこのようなことを思っていた。
なぜ宝塚で男性の役を演じる人は「男」役なのに、女性の役を演じる人は「娘」役なのだろう…と。
物事を深く考えることが苦手だった小3の私は、男性

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自分の生活圏が大好きなタカラジェンヌの写真集の世界になった話

自分の生活圏が大好きなタカラジェンヌの写真集の世界になった話

私は北九州の大学生だ。
小倉の街を当てもなくとっつき歩いては、ある日は小倉駅のスタバで血眼になって締め切り間近のレポートを仕上げようと必死になり、ある日は失いそうな単位のことを考えながらぼんやりと井筒屋から紫川を歩き、ある日は友達と騒ぎながら旦過市場でにんにく鳥皮串を頬張る。
旦過中央市場の方までたどり着き、斎藤商店の目の前を通っては映画のセットみたーい!と言ってかっこつけてみるが、もうすぐ3限の

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2024年になっても宝塚歌劇団が劇団員を「未婚」女性に限定している理由

2024年になっても宝塚歌劇団が劇団員を「未婚」女性に限定している理由

宝塚歌劇団は女性だけで構成された歌劇団であるということで有名だが、女性は女性でも「未婚」女性だけで構成されているというのは、意外と知られていないことではないのだろうか。
宝塚の存在だけは知っている人たちから、「タカラジェンヌって結婚してる人多いの?」と頻繁に聞かれ、「いやいや、タカラジェンヌってみんな結婚してないんだよ。結婚するなら退団しないといけないの」と返答していた。
その度に、2024年にな

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「宝塚大好き、ここで働く以外考えられない」というただひとつの真実を守るために、Twitter(X)をやめる話

「宝塚大好き、ここで働く以外考えられない」というただひとつの真実を守るために、Twitter(X)をやめる話

【追記】
結局Twitterを辞める方法が分からず、Twitterのアカウントは残しました。が、Twitterはかなり見る頻度が少なくなりました。今後は、noteの記事の宣伝や、その記事に対して反応をくださった方への返信を中心に使おうと思います。
‪✂︎‬------------------キリトリ線-----------------‪✂︎
昨年9月30日のことだった。
いつものように、夜中にテレ

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その性別に生まれてきた時点での負担について

その性別に生まれてきた時点での負担について

私は小学生の頃まで、特に性別というものを意識して生活することは無かった。
男子は男子、女子は女子というただの分類であって、それによって特別何かを考えるということが無かった。
小学生の頃までの私にとって、性別とは単なる人間を分けている、ひとつの最大のものであって、それ以上でもそれ以下でも無かった。
というのも、小学生の頃までの私には、自分が女である、つまり自分の性別を意識させられるという経験が殆ど無

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”伝統”という言葉に感じた違和感

”伝統”という言葉に感じた違和感

中学2年生か、中学3年生の頃だったと思う。
正確なきちんとした時期は忘れてしまったが、それは学年集会での出来事だった。
学年主任の先生が前に立って話をしていて、最後にこう付け加えた。
「次回の集会からは、先生などの目上の方が前に立ってお話をされるときは、お話の始まりと終わりに必ず正座をするようにしてください。怪我をしている人、体調の悪い人は無理しないでください」
続けて、先生が言った。

「新しい

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生理用品がからかいの対象になって、時には高級品とされてしまう現実

生理用品がからかいの対象になって、時には高級品とされてしまう現実

「被災地で生理用品はぜいたく」

この言葉を見たとき、私は怒り、そして落胆した。
以前からこの日本では、生理はタブー視され、時にはからかいの対象にされ、無いもののように扱われ、生理による苦痛を訴えても軽視されていると感じていた。
学校のプールの授業を休んで、生理?とからかわれてもはぐらかすことしか出来ない。女性にとっては生活必需品なのに軽減税率の対象ではない生理用ナプキンの値段に不満を言いながら買

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”創りもの””幻想”が構築する世界                ~宝塚歌劇の男役について~

”創りもの””幻想”が構築する世界                ~宝塚歌劇の男役について~

宝塚歌劇の男役が好きだ。いや、男役が好きというより、男役が演じる男性像が好きだ。理由はと言われたら、とりあえず言っとく。
「かっこいいから」と…。
ただ、大学生になって中学生、高校生の時よりも宝塚歌劇ばかりの生活になり、気付いたことがある。
宝塚歌劇の男役が演じる「男性」は、完全な幻想の存在であって、歌劇団もまた、その幻想性を最大限に生かして作品を制作・上演しているということだ。
宝塚歌劇の男役が

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”生まれつき”の不自由さに対抗する夢の世界              ~宝塚男役と歌舞伎女方について~

”生まれつき”の不自由さに対抗する夢の世界 ~宝塚男役と歌舞伎女方について~

親や性別、生まれる場所、名前、容姿…。挙げればキリが無い。
私たちは生まれた時点で、自分の全く意図しないところで、望んでいないのにも関わらず決められたものをたくさん持っている。
そして、それが原因となって引き起こされる苦しみや葛藤に悩まされては、自分が望んで決めたわけじゃないのに…、と、その理不尽さに涙が出そうになる。
幼い頃から私は常にそう思っていた。望んだおぼえは全くないのに、私はなんでこの名

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映画「窓際のトットちゃん」を観て、   結局親ガチャ?と思ってしまった話

映画「窓際のトットちゃん」を観て、   結局親ガチャ?と思ってしまった話

三連休の中日の日曜日、前々から観に行くと予定していた映画「窓際のトットちゃん」を観に行った。
小林宗作先生の子どもへの愛情に溢れた学園、トモエ学園。
公立小学校で問題児として扱われたトットちゃんが、そんな学園でのびのびと成長していくという物語。
ベストセラー小説としても有名な作品のアニメ映画版である。

公立小学校で上手く周りと馴染めないトットちゃん、そんなトットちゃんに悩みながらも優しく見守る両

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蟻の巣観察キット、そして私の処世術 蟻の気持ちを考えた文学部学生の夏休み

蟻の巣観察キット、そして私の処世術 蟻の気持ちを考えた文学部学生の夏休み

世間の一般的な夏休みが終わろうとしていた9月、スーパーで自由研究用の蟻の巣観察キットが売れ残っていた。
どうやら、透明な容器のなかにジェルを入れ、蟻を入れ、巣を作らせて、その様子を観察していくというもののようだ。
大学1年生の夏休み、横たわる漠然とした時間をどう有意義に処理するのか血迷っていた私は、初心に還るといって知育菓子に片っ端から手を出してみたり、「おかあさんといっしょ」のうーたんぬいぐるみ

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”女の敵は女”の世界になった理由 女性どうしの人間関係が難しいのはなぜか?

”女の敵は女”の世界になった理由 女性どうしの人間関係が難しいのはなぜか?

女性どうしの人間関係は複雑、だと思われがちである。
もちろん、男性どうしだって人間関係がないわけではないが、女性どうしの人間関係は特に陰湿だったり、怖い、とされることが多い。

”男の友情はハムより薄い”とか、”男の敵は男”という言葉をあまり聞かないのに対して、”女の友情はハムより薄い”とか、”女の敵は女”、という言葉をよく聞くことは、女性どうしの人間関係が孕む、特有の難しさを示す。
その特有の難

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