ちえり

大学院進学希望の宝塚歌劇好き

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『教育による富の循環、それに気付かない人たち』

私は生まれてから12歳の夏まで、「教育による富の循環」の、渦中にいた。 いや、渦中にいたという表現よりも、私は月に1万円のボロアパートに住んでいたから、その循環を「傍観していた」というのに近いかもしれない。 「傍観」しておきながら、目先の娯楽のことだけしか考えずに生きていた、馬鹿な小学生だった私は、その「循環」がなぜ生まれているのかも考えず、なんとなく「私の住んでる場所って頭の良い子が多いらしい」と思いながら過ごしていた。 塾に通う友達、たくさん習い事をしている友達、

    • 低用量ピルを使って生理を変えた話

      理不尽だと思っていた。 将来産むかどうかも分からない子どものために、自分の身体が月に1回も体調不良を引き起こすことが。 それは大事な試験や模試の時でも、人生を左右する高校受験や大学受験の時でもお構いなしにやってくる。 鎮痛剤を飲んでも効かず、貧血気味になり、気分は不愉快なままである。 しかもタブー視されていることだから、普通の頭痛や腹痛と同じように痛みを訴えることは難しい。 生理?そんなの知りませんよ!という顔をして、いつも通りに振る舞う。 しかし、もう限界が来た。もう耐えら

      • 宝塚歌劇のときめきの先にあるもの

        題名に「宝塚歌劇のときめき」と出しておきながら、あまりにも現実的で希望の無いようなことを書くのはナンセンスだが、それを承知で書く。 日本のジェンダーギャップ指数は、146か国中125位である。 これは昨年(2023年)のデータなので、もしかしたら今年(2024年)の順位は良い方向に変わったものになるかもしれない。 しかしながら、一昨年(2022年)の順位が146か国中116位であり、その翌年の2023年の順位は9ランクも下がった125位であったことを踏まえると、今年(2024

        • 宝塚歌劇の娘役が「女」役ではなく「娘」役である理由

          以前からこのnoteの記事では宝塚歌劇の男役について、様々なことを書いてきたが今回は娘役について書いてみようと思う。 私が今のようなヅカファンになったのは小学3年生の頃だったが、まだまだ子どもで物事を深く考えられなかった私は、常にこのようなことを思っていた。 なぜ宝塚で男性の役を演じる人は「男」役なのに、女性の役を演じる人は「娘」役なのだろう…と。 物事を深く考えることが苦手だった小3の私は、男性を演じる人が「男」役なら、女性を演じる人は「女」役となるはずだと、よく考えること

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        『教育による富の循環、それに気付かない人たち』

          自分の生活圏が大好きなタカラジェンヌの写真集の世界になった話

          私は北九州の大学生だ。 小倉の街を当てもなくとっつき歩いては、ある日は小倉駅のスタバで血眼になって締め切り間近のレポートを仕上げようと必死になり、ある日は失いそうな単位のことを考えながらぼんやりと井筒屋から紫川を歩き、ある日は友達と騒ぎながら旦過市場でにんにく鳥皮串を頬張る。 旦過中央市場の方までたどり着き、斎藤商店の目の前を通っては映画のセットみたーい!と言ってかっこつけてみるが、もうすぐ3限の時間だと気付いたので慌てて斎藤商店の前をダッシュして、駅の方まで飛んでいく。 戸

          自分の生活圏が大好きなタカラジェンヌの写真集の世界になった話

          2024年になっても宝塚歌劇団が劇団員を「未婚」女性に限定している理由

          宝塚歌劇団は女性だけで構成された歌劇団であるということで有名だが、女性は女性でも「未婚」女性だけで構成されているというのは、意外と知られていないことではないのだろうか。 宝塚の存在だけは知っている人たちから、「タカラジェンヌって結婚してる人多いの?」と頻繁に聞かれ、「いやいや、タカラジェンヌってみんな結婚してないんだよ。結婚するなら退団しないといけないの」と返答していた。 その度に、2024年になっても宝塚歌劇団が劇団員(タカラジェンヌ)を「未婚」の女性に限定している理由はい

          2024年になっても宝塚歌劇団が劇団員を「未婚」女性に限定している理由

          「宝塚大好き、ここで働く以外考えられない」というただひとつの真実を守るために、Twitter(X)をやめる話

          【追記】 結局Twitterを辞める方法が分からず、Twitterのアカウントは残しました。が、Twitterはかなり見る頻度が少なくなりました。今後は、noteの記事の宣伝や、その記事に対して反応をくださった方への返信を中心に使おうと思います。 ‪✂︎‬------------------キリトリ線-----------------‪✂︎ 昨年9月30日のことだった。 いつものように、夜中にテレビで宝塚を観ていたら、スマホに衝撃的なニュースが飛び込んできた。 観ていた演目は

          「宝塚大好き、ここで働く以外考えられない」というただひとつの真実を守るために、Twitter(X)をやめる話

          その性別に生まれてきた時点での負担について

          私は小学生の頃まで、特に性別というものを意識して生活することは無かった。 男子は男子、女子は女子というただの分類であって、それによって特別何かを考えるということが無かった。 小学生の頃までの私にとって、性別とは単なる人間を分けている、ひとつの最大のものであって、それ以上でもそれ以下でも無かった。 というのも、小学生の頃までの私には、自分が女である、つまり自分の性別を意識させられるという経験が殆ど無かったのである。 幸い、女だからと言って勉強などを制限されることもなく、習い事

          その性別に生まれてきた時点での負担について

          ”伝統”という言葉に感じた違和感

          中学2年生か、中学3年生の頃だったと思う。 正確なきちんとした時期は忘れてしまったが、それは学年集会での出来事だった。 学年主任の先生が前に立って話をしていて、最後にこう付け加えた。 「次回の集会からは、先生などの目上の方が前に立ってお話をされるときは、お話の始まりと終わりに必ず正座をするようにしてください。怪我をしている人、体調の悪い人は無理しないでください」 続けて、先生が言った。 「新しい”伝統”ですので」 この言葉を聞いて、またか・・・、と正直思っていたものである

          ”伝統”という言葉に感じた違和感

          生理用品がからかいの対象になって、時には高級品とされてしまう現実

          「被災地で生理用品はぜいたく」 この言葉を見たとき、私は怒り、そして落胆した。 以前からこの日本では、生理はタブー視され、時にはからかいの対象にされ、無いもののように扱われ、生理による苦痛を訴えても軽視されていると感じていた。 学校のプールの授業を休んで、生理?とからかわれてもはぐらかすことしか出来ない。女性にとっては生活必需品なのに軽減税率の対象ではない生理用ナプキンの値段に不満を言いながら買い物かごにナプキンを入れる。ナプキンは隠すべきだという風潮のもと、タオルポーチに

          生理用品がからかいの対象になって、時には高級品とされてしまう現実

          ”創りもの””幻想”が構築する世界                ~宝塚歌劇の男役について~

          宝塚歌劇の男役が好きだ。いや、男役が好きというより、男役が演じる男性像が好きだ。理由はと言われたら、とりあえず言っとく。 「かっこいいから」と…。 ただ、大学生になって中学生、高校生の時よりも宝塚歌劇ばかりの生活になり、気付いたことがある。 宝塚歌劇の男役が演じる「男性」は、完全な幻想の存在であって、歌劇団もまた、その幻想性を最大限に生かして作品を制作・上演しているということだ。 宝塚歌劇の男役が演じる「男性」は完全な幻想で、創りものである。 今まではそこまでそのことを意識せ

          ”創りもの””幻想”が構築する世界                ~宝塚歌劇の男役について~

          ”生まれつき”の不自由さに対抗する夢の世界 ~宝塚男役と歌舞伎女方について~

          親や性別、生まれる場所、名前、容姿…。挙げればキリが無い。 私たちは生まれた時点で、自分の全く意図しないところで、望んでいないのにも関わらず決められたものをたくさん持っている。 そして、それが原因となって引き起こされる苦しみや葛藤に悩まされては、自分が望んで決めたわけじゃないのに…、と、その理不尽さに涙が出そうになる。 幼い頃から私は常にそう思っていた。望んだおぼえは全くないのに、私はなんでこの名前で、この性別で、この親で…、とひたすら思っていた。望んでもいないのに決められて

          ”生まれつき”の不自由さに対抗する夢の世界 ~宝塚男役と歌舞伎女方について~

          映画「窓際のトットちゃん」を観て、   結局親ガチャ?と思ってしまった話

          三連休の中日の日曜日、前々から観に行くと予定していた映画「窓際のトットちゃん」を観に行った。 小林宗作先生の子どもへの愛情に溢れた学園、トモエ学園。 公立小学校で問題児として扱われたトットちゃんが、そんな学園でのびのびと成長していくという物語。 ベストセラー小説としても有名な作品のアニメ映画版である。 公立小学校で上手く周りと馴染めないトットちゃん、そんなトットちゃんに悩みながらも優しく見守る両親、そしてそんなトットちゃんを深い愛情で包み込み、「きみは本当はいい子なんだよ」

          映画「窓際のトットちゃん」を観て、   結局親ガチャ?と思ってしまった話

          蟻の巣観察キット、そして私の処世術 蟻の気持ちを考えた文学部学生の夏休み

          世間の一般的な夏休みが終わろうとしていた9月、スーパーで自由研究用の蟻の巣観察キットが売れ残っていた。 どうやら、透明な容器のなかにジェルを入れ、蟻を入れ、巣を作らせて、その様子を観察していくというもののようだ。 大学1年生の夏休み、横たわる漠然とした時間をどう有意義に処理するのか血迷っていた私は、初心に還るといって知育菓子に片っ端から手を出してみたり、「おかあさんといっしょ」のうーたんぬいぐるみを何の不満をぶつけているのかの如く振り回して遊んだり、1日中宝塚歌劇に耽ったり、

          蟻の巣観察キット、そして私の処世術 蟻の気持ちを考えた文学部学生の夏休み

          ”女の敵は女”の世界になった理由 女性どうしの人間関係が難しいのはなぜか?

          女性どうしの人間関係は複雑、だと思われがちである。 もちろん、男性どうしだって人間関係がないわけではないが、女性どうしの人間関係は特に陰湿だったり、怖い、とされることが多い。 ”男の友情はハムより薄い”とか、”男の敵は男”という言葉をあまり聞かないのに対して、”女の友情はハムより薄い”とか、”女の敵は女”、という言葉をよく聞くことは、女性どうしの人間関係が孕む、特有の難しさを示す。 その特有の難しさゆえ、女性たちの間で何か問題が起こって表沙汰になった場合、「女の世界は怖い」

          ”女の敵は女”の世界になった理由 女性どうしの人間関係が難しいのはなぜか?

          ”大人になる”という言葉が意味するもの~思春期すっ飛ばして福岡に出戻ったら、知っているようで知らない場所、知っているようで知らない友人に囲まれた話~

          私は幼いころ、「はやく大人になりたい」と思っていた。 とりわけ小学生のころは、その願望が顕著だった。 同じような通学路を通って、中学校に通っている中学生の姿を見て、 別に制服が可愛いわけでもなく、小学校へ着ていく私服を選ぶのが面倒だったわけでもないのに、ひたすら羨ましいと思っていた。 近所の本屋に行って学習参考書スペースを覗けば、 たくさん並べられてあるチャート式、数学、物理、などという言葉をひたすら凝視した。 そして、先ほどの中学生に対してと同じ要領で、高校生に対して

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