大学院に行きたい娘、少子化憂う母
大学院進学の話をしていた時、母親が突然こんなことを言った。
「大学院進学をする女の子が増えると、少子化が進むわねぇ…でも、院に進学したいと思う女の子たちの翼を折る訳にはいかないし、少子化問題って難しいのねぇ」
今まで大学院進学については、「失敗して1年間何者でも無くなること」「学費とひとり暮らしのお金で、親に迷惑をかけてしまうこと」の主に2つを心配していて、それ以外について考えたことはあまり無かった。
しかし、母親から突如こんなことを言われて、私はかなり困惑した。
「大学院に行く女の子が増えると、少子化が進む。」
もちろんいつも応援してくれる母に私を責める気など全く無かったのだろうが、私としてはかなり心にズシンと来た言葉だった。
なぜ心にズシンと来たのか。それは、母の言うことに全てでは無いが頷ける所があるから、である。
大学院に大学卒業後すぐに進学し、修士課程2年のみを修了して卒業した場合、社会人となるのが25歳になる年だ。
修士課程修了後、博士課程にも続けて2年通って修了して卒業した場合、社会人となるのが27歳になる年だ。
つまり母が言いたいのは、大学院に進学すると女の子が結婚するのも遅くなり、子どもを産むことが難しくなる、ということらしい。
私の母は、この題名通り少子化を憂えている。
普段あまり社会問題などに関心を持たない私の母が、なぜこんなにも少子化に関心を示しているのか。聞くと、将来の年金のことがかなり心配らしい。なるほど…と再び納得した私は、更に女性に生まれたうえ、大学院進学を希望していることに罪悪感を覚えた。
しかし同時に少子化問題という、本来は国がどうにかする問題のせいで私が、または私のように大学院進学を希望する他の女の子たちが、罪悪感を覚え、自分が持つ可能性の翼に嫌悪感を覚える必要がどこにあるんだろうか…とも思った。
そもそもよく考えれば、少子化少子化という割には、妊娠や出産に対する女性の負担に国はきちんと目を向けてきただろうか。
妊娠や出産に対する女性の負担、というのはその時ばかりの話ではない。
思春期の小学校高学年〜中学生の頃に初経を迎えれば、毎月毎月生理が来る。もちろん全ての女性が同じような症状を訴える訳では無いが、ある人はPMS(月経前症候群)が酷かったり、生理痛が酷くて起き上がれない人だって居る。PMSや起き上がれない程の生理痛がある訳ではなくても、鎮痛剤を飲まないといつも通り過ごすことは出来ず、模試や入試などを受け時にも生理が被れば万全の体調で迎えられない…という経験をしたことのある人は、多いのではないのだろうか。私もその1人である。
それなのに、これだけの負担がこちらには掛かっているのに、国は保健体育できちんと女性の生理について詳しく教えてきただろうか。生理痛やPMS等について、男女同じの教室でちゃんと教えてきただろうか。
20歳の私の記憶では、私が保健体育で初めて生理について学んだ2014年頃に、そんなに詳しく教えられていた記憶は無い。生理が起こる仕組みくらいは教えてもらったが、毎月貧血が起こる程出血し、薬を飲まないとダメなレベルまでの生理痛が起き、生理前にはイライラするなんて、全く知らなかった。だから、初めて生理が来た時は驚いた。
「こっちは女性の身体に生まれてきただけなのに、毎月こんなに痛いんですか?」と。
こんなにも子どもを産むための女性の負担について無頓着で、目を向けてこなかった国、なんなら女性が妊娠出産のせいで学業でマイナスされることもある国(東京医科大のことは記憶に新しい)のために、子どもを産むなんてまっぴらごめんだ!と私のような弄れ者は思ってしまう。
いや、私は弄れ者だろうか。こう思ってしまうのは、そこまでおかしいことじゃないのでは…?と私は思う。今まで散々負担を無視されてきたくせに、少子化が問題なのでキャリアや学歴を諦めて子ども産みます…!
そんなこと思える人は、いるんだろうか。
少なくとも、私は絶対に思えない。
寛大な心を持って生きて行きたい、とは思うが自分のキャリアや学歴を犠牲にすることが「寛大」だとは思えない。もしそれを「寛大」と思う人がいるのなら(たまにそんな感じの政治家を見かけるが)、「寛大」の意味を自分の中で考え直すことをオススメする。
私は大学2年の夏休みから大学院への勉強を本格化させるつもりである。
専門にしたいのは近代を中心とした社会学、テキスト等を買い集めて勉強を始めないといけない。
自分の行く道、大好きな宝塚がくれた自分の持っている可能性の翼を、自分の「女性」という属性ゆえに折らせることが絶対にないように、頑張っていこうと思う。
Amazonの中古図書でかなりテキストが安く売ってある。
次のバイトのお給料日が来たら、すぐ頼もう。
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