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低用量ピルを使って生理を変えた話

理不尽だと思っていた。
将来産むかどうかも分からない子どものために、自分の身体が月に1回も体調不良を引き起こすことが。
それは大事な試験や模試の時でも、人生を左右する高校受験や大学受験の時でもお構いなしにやってくる。
鎮痛剤を飲んでも効かず、貧血気味になり、気分は不愉快なままである。
しかもタブー視されていることだから、普通の頭痛や腹痛と同じように痛みを訴えることは難しい。
生理?そんなの知りませんよ!という顔をして、いつも通りに振る舞う。
しかし、もう限界が来た。もう耐えられない。
「将来産む子どものために、必要なことだから仕方ない」
周りの人たちからそう言われても、私は全く納得できなかった。
将来産む子ども?は?産むかどうかなんて分からないのに、なんでそんな”架空の”子どものためにこんな思いを強いられなくちゃいけないの?
女性に生まれた以上は耐えるしかない、仕方ない…。という言葉で自分の中で済まされればそれほど楽なことはなかったが、私は到底そのような言葉では納得できない人間だった。
生理が来ること自体は身体の構造上仕方ないとしても、それに振り回されることが仕方ないわけないじゃないか。
適切な処置を受けて、これ以上振り回されたりなんてしたくない。
そう思い立った私は、低用量ピルと呼ばれる薬を服用することにした。
婦人科に行き、シートをもらって服用を始めた。
今回の記事は、私が低用量ピルを用いて生理を変えた話(経験談、体験記)である。
生理に関する症状が酷くて悩まされている人、少しでもピルのことを知りたい人、周りの人が飲んでいるのでどんなものか知りたい人…。
男女関わらず、少しでもピルについて理解を深めたい、知りたい…と思う人の助けになれば幸いである。

私の体質について

まず、低用量ピル(私が服用しているのはフリウェル配合錠LD 「モチダ」である)を服用している私の体質について説明しておく。
低用量ピルには副作用が多く存在する。例として、悪心・嘔吐、めまい、ふらつき、頭痛・偏頭痛、にきびなどが挙げられる。
幸いなことに私の場合、このような副作用は見られなかった。
ただ、服用して2か月ほどしか経っていないため、時々不正出血がみられる。(婦人科の先生に相談したところ、服用してすぐなので不正出血はよくあることだという。ただし、痛みが伴ったり大量出血の場合にはもう一度診察を受けに来るように言われた)
さて、ここからは本題である私の体質について書いていく。
身長体重は20歳女性のだいたい平均値。
病気はあまりしたことがなく、インフルエンザやコロナには1回も罹患したことがない。(母親曰く、菌の方があなたから逃げているだけ)
最後に病気にかかったのは今から9年前。小学5年生の時の自然教室直後、胃腸炎になってしまった。嘔吐などはなかったが、激しい腹痛。病院から渡された薬を飲み、3日間くらい寝ていたら治った。
お酒には強い方?…らしい。
(あまり経験値がないので分からない…アルコールパッチテストをしたものの、肌は無反応。行きつけのダンスホールに併設されたバーでお酒を飲んだところ、ママさんから強いね!と言われた。ちなみに私の大好きな宝塚のトップスターさんが、写真集表紙を撮影したバーである。そこで初酒を飲んだ。一生の思い出である。)
先天性の多汗症で、手足に大量の汗をかく。中学3年の春に手術を受け、右手だけは汗をかかなくなった。
(代償性発汗のリスクを踏まえ、片手のみの手術を行った。全身麻酔を行ったうえで手術を受けている。)
まとめると、身長体重は20歳女性の平均値、病気はあまりしない、酒には(多分)強い。が、先天性の多汗症持ち、という体質である。
次からはそんな体質の私が、低用量ピルを得るために婦人科に向かった日のことについて書く。

春休みの初日から婦人科へ

低用量ピルの服用には副作用が少なからずあると聞いていたため、ピルの服用開始は春休み期間中にしようと前々から決めていた。
そうすれば、副作用で寝込んだり動けなくなったとしても、大学生活にそこまで影響を及ぼさないと考えたからである。
初めて婦人科に行くのはかなり緊張したが、そこまで他の科の病院と変わらない。先生も優しくて、私の目を見てきちんと話を聞いてくれた。
エコー検査が終わって子宮に異常がないことを確認した後、低用量ピルが病院から私に処方された。
次の生理が始まった1日目から服用し、そのシートにある錠剤を全て飲み終わったら休薬期間に入ってください、とのことだった。
渡された黄緑色のシートに入った小さな錠剤が、私の生理を変えてくれるかもしれないという大きな期待を寄せた。
私の生理はかなりの不規則なものだったので、前月の生理が始まった日から2週間以上遅れて生理が始まった。
不規則過ぎて、色んな場面で振り回され続けてきたのも事実である。
どんなに荷物を減らしたくても、常に生理用品を持っておかなければいけなかった。
高校時代に、女子トイレに生理用品が置かれ始めたのは本当に有難かった。
それもあって大学に入ってからは自分が参加しているボランティア活動を通して、生理用品を女子トイレに設置する取り組みをしている。
いつもは生理が始まったら地獄のようなメンタルだが、その時はやっと低用量ピルの服用を始められると思い、ほっと一安心した。
鎮痛剤の効かない、腹のよじれるような痛みに耐え、貧血必至の大量出血にも耐えつつ、低用量ピルを服用していった。
先ほどに書いたような副作用は見られなかったものの、生理が終わった後も不正出血が10日間ほど続いた。
不正出血に伴う痛みは無かったものの、ずっと出血が続くのできつかった。
10日間を過ぎると出血は収まり、その後も休薬期間に入るまできちんと錠剤を飲んでいった。

低用量ピルの休薬期間とは

私が飲んでいる低用量ピルは、21日間錠剤を服用したらその後の7日間は錠剤の服用をやめる(休薬期間に入る)ことになっている。
その休薬期間に生理が来る、という仕組みになっているのだ。
私の場合はピルを服用し始めてからというものの、休薬期間に必ず生理が来るようになった。以前はあまりにも不規則過ぎたために振り回されまくっていたものの、(模試の直前に生理が予定より1週間早く来た時には涙目になった)ピルを飲み始めてからは休薬期間に生理が来る。服用を始めたばかりなので時々不正出血が見られるが、その点については今後きちんと様子を見る必要がある。しかしながら、前もって生理が来る期間を確実に知れるのは本当に助かる。
次からはピルを服用して初めての休薬期間について書いていこうと思う。

初めての休薬期間

10歳の頃に近所のファミマに抜け駆けてはじめてのおつかいをした私は、19歳の2月に低用量ピル服用に伴うはじめての休薬期間を迎えた。
小さい頃の「はじめて」はなんだかとても可愛くて子どもらしいものばかりだが、19歳の「はじめて」となると中々真剣な経験だと思ったものである。
そんなことはさておき、休薬期間を迎えた私はいつになく緊張していた。
本当にこの休薬期間に生理はやってくるのだろうか。出血はどれくらいだろうか。痛みはどれくらいあるのだろうか…。
そんな不安に苛まれるうち、本当に生理はやってきた。休薬期間に生理が来るとは聞いていたものの、本当にちゃんと来たので「薬ってすごい!」と大感動してしまった。
出血量はかなり減り、いつもなら7日間続くのに3日~4日程度で出血は収まった。しかし、出血量と期間が変わったものの、生理痛はまだあった。
出血する量こそ少ないものの、子宮が血液を外に出そうとするのは変わらないためか、あの腹のよじれるような痛みは残されたままだった。
ダメもとで鎮痛剤を飲んでみたら、これもピルのおかげなのか鎮痛剤が効いたためにやり過ごすことができている。
あと2か月ほどピルを服用してみても同じ状態だったら、先生に相談してみようと思っている。
とはいえ、出血量がかなり減ったことで貧血になることは無くなったし、出血期間が短縮されたのでお風呂の浴槽に浸かれることも多くなった。
(出血をしていることを考え、私の場合は生理中にお風呂の浴槽に入ることを衛生的な観点から控えている。)
まだまだ服用し始めたばかりなので、突然不正出血をしたり、生理痛がまだ残されていることについては様子を見なければならない。
(のちに追加の記事を投稿するので、そちらに経過を書いていこうと思う)
だが、出血量が減ったことによって貧血になることは無くなったうえ、生理中でも大学の90分授業に心置きなく集中することができる。
期間が短くなったのでお風呂の浴槽に浸かれることも多くなったうえ、生理用ナプキンを扱う手間も減る。
(そのかわり、毎月婦人科に行ってピルをもらわなければいけないが)
ピルを飲むことによって、ここまで自分の生理が変わるとは思っていなかった。
もっと早く、定期試験や模試、受験で忙しかった中高生の頃に知っておきたかった…と何度も思った。しかし、周りで低用量ピルの話を聞いたことがまったく無かったために、それを服用しようなんて考えたこともなかった。
ただひたすら、耐えて耐えて、しのいでいくしかないのだと思い込んだ。
でも、つらいものはつらいのである。
「女性は我慢強いから耐えられる。女性は痛みに強いから。」
「生理なんて口に出しちゃだめ。はしたない。」
そんな言葉を吐く人がいた。そんなわけあるか。
高校時代にふざけて、仲間内の誕生日のプレゼント交換で生理用ナプキンを誕生日の男子にプレゼントする男子たちがいた。
若気の至り?そんな言葉で許されると思うなよ。
男子だから仕方ない?成長期だからそんなもの?そんな単純な論拠で許されると思うなよ。
なんの根拠もないくせに、自分の母親に生理が無ければ自分自身が生まれてくることもなかったくせに、私を含めた生理に苦しむ女性たちが味わう苦痛や理不尽をもみ消そうとするな。そして、からかいの対象にするな。
しかし、激しい感情を今更ぶつけて生まれる憎しみからは何も生まれない。
物事の根本的な解決は導かれない。
どうかどうか、少しでもいいから生理やその他の関連症状に苦しむ誰かのための助けや知識になればいいと思い、私は今この記事を書いている。
生理や関連症状を知る機会が無さすぎたために、いつの間にか、生理をからかいの対象にし始めた人たちに、少しでも理解を深めてもらえればいいとも思って私は今この記事を書いている。

低用量ピルを毎月飲んでいくための費用

低用量ピルを服用するのであれば、毎月1シート分(21錠)を飲みきったら婦人科へ行って新しいシートを貰わなければならない。
私が服用している低用量ピル『フリウェル配合錠LD 「モチダ」』は毎月の1シート分(21錠)で約1000円である。
それに加えて休薬期間の出血のためのナプキン代が、月に約700円ほどかかる。
合わせて毎月1700円ほどが、低用量ピルを飲んでいくうえでかかっている、ということになる。
これは安いと捉えるか高いと捉えるかは人それぞれだ。しかしながら、この毎月の1700円が私がきちんと人間として生活していくために絶対に必要な1700円であること…。それは絶対に変わらないれっきとした事実である。

低用量ピル認可に44年もかかった日本

日本で低用量ピルが認可されるまでにかかった年月は、44年である。
それに対して、男性向けのバイアグラが認可されるまでにかかった年月は…、なんと半年である。
女性のための低用量ピルの認可に44年、男性のためのバイアグラの認可に半年。この年月の差はいったい何を示しているのだろうか…。
私が低用量ピルを飲み、このような記事を書いている以上、思考放棄せずにきちんと考えていかなければならない事柄である。
(後日、これも記事に出来たらいいなと思っている)

生理について言わない自由、言う自由

私は生理がタブー化され、無いもののように扱われては苦痛が透明化された現在の雰囲気が嫌いである。変えたいと思っている。
だからこそ自分でこんな記事を書いて、生理やその他の関連症状に苦しむ人たちの救いになればいいな…と思っている。
もしくは、あまりにもタブー化され過ぎているので生理のことについて全く知る機会の無かった人たちが、理解を少しでも深めてくれるきっかけになればいいな…とも思っている。
もちろん女性それぞれで生理の程度や、関連症状の程度は異なるので私の記事を読んでもすべてを知ることが出来る…という訳ではないかもしれないが、少し生理について考えてみる、正しい知識を得てみるきっかけになっていれば…と思う。
しかし、生理について言う自由を求めているからと言って、誰かの言わない自由を侵害したい訳ではない。
生理について言いたくない人がいるなら、それはそれでその人のことを尊重すべきであり、言いたい人がいるなら、堂々と言えて訴えることができるようにすべきだ、と私は考えている。
ただ、今はあまりにも生理について言う自由が無さすぎる…と感じている。
今あるのは生理について言わない自由なのではなく、生理について言えない雰囲気なのである。
「生理について言わない自由」と「生理について言う自由」は表裏一体である。
どちらかだけが単独で成立するのではなく、「生理について言う自由」があれば「言わない自由」があり、「生理について言わない自由」があれば「言う自由」があるのだ。

低用量ピルについて質問があるなら

ここまで低用量ピルについて私の経験談を書いてきた。しかし、先程も書いたようにあくまでも私の体質で低用量ピルを服用した経験談であり、服用したら全ての人が私と全く同じような経過を辿るわけではない。
ある人は不正出血を1回も引き起こさないかもしれないし、ある人は血栓症を発症してしまうかもしれない。
しかし、生理や関連症状があまりにも辛いから服用してみたいと思っているけど、中々周りに服用している人が居ない…、リアルな話を聞ける人が居ない…どうすれば…。という人がもし居るのであれば、私で良ければピルについて質問に答えたいと思う。
この記事のコメント欄やTwitterのDM、InstagramのDM、LINEでもいいので、もし質問してみたいことがあるなら出来る限りの範囲で答えていこうと思う。
※ただし、明らかにふざけ目的のものは無視させて頂く。








































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