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月刊『抽象的な歩き方』

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様々なフリー切符や長旅に出た記録の置き場。
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#昭和

ACT.103『兄弟を探して』

ACT.103『兄弟を探して』

戻り道

 再び、小淵沢小学校から小淵沢駅への道を戻っていく。
 山々と高原の清涼感を感じてやってきたあの険しい坂を、次は再び上りになるヶ所もあれば下りになるヶ所もある…と、山々の高低差。そしてうねりの激しい道を移動していく。
 折角「蒸気機関車を探しに」と頂いたマップであったが、強く吹き付ける風の中で壊れてしまっては使い物にならない。
 残念ではあるが、ここは端末の地図アプリの表示に従って移動し

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ACT.100『アルプスの麓で暮らす姿』

ACT.100『アルプスの麓で暮らす姿』

目覚めの先

 宿泊した2階の自室では、宿泊客が少ない事を良い事にして?アラームを設定してから就寝した。
 しかし、アラームを設定し布団を被っていても宿横すぐの中央本線を列車が行くのがよくわかる。旅客列車が終わっても、貨物列車に終わりの時間はない。かつてはそうした時間に、東京と日本各地を結寝台列車が走行していた。しかしそうした鉄道が1夜をかけて走行する時代は静かに終焉を迎え、荷物を満載した列車が闇

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ACT.96『雨中進軍?』

ACT.96『雨中進軍?』

現状を踏まえて〜気楽な幕鑑賞〜

 雨の影響は、相当大きいのだという事は富士に近づく中でなんとなく予想がついてきた。
 しかし、そうした中で富士方面を富士宮までの交通は確保されているらしい。取り敢えず、身延線に乗車していこう。
 到着した時、富士で折り返して甲府に向かう予定であった列車は『富士宮行き』となり、とにかくまずは『進める段階』まで列車を走らせようといった感覚を受けた。
 こちらもそこに倣

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ACT.92『特急街道から出て〜最後の函館本線〜』

ACT.92『特急街道から出て〜最後の函館本線〜』

空席だらけの列車

 乗車して、少し驚いてしまった。
 観光列車、キハ261系5000番台…ラベンダー編成。この編成は夏季ラベンダーシーズンには車両運用を調整し、函館本線と富良野線を直通運転する臨時特急であるフラノラベンダーエクスプレスに充当されている。
 ラベンダーシーズンともあり、乗車している乗客は多いのかとフリースペースに入ったが、予想以上の空席で拍子抜けしてしまった。観光特急としての知名度

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ACT.84『非業乗り越えて』

ACT.84『非業乗り越えて』

もう1つの看板

 道の駅あびらD51ステーションで昼下がりの時間を過ごしている。
 札幌から石勝線へ直通する特急/おおぞら…にて再び旅の序盤に訪問した安平町は追分に戻った。
 先ほど、この場所では自分が見ておきたかった保存車であるキハ183系、キハ183-214を観察し撮影に没頭した。だが、この場所にはもう1つの保存車が居るのである。その保存車は、かつての安平町の主役であり、この追分の大地を鉄道

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ACT.83『新たなヒーロー』

ACT.83『新たなヒーロー』

道東の星と共に

 昼下がりの札幌駅。
 土曜日の夏季。8月をもう少しで迎えようとする中の札幌は北の大地といえど暑く、自分の中では滞在時間で慣れているとはいえ、車両を見てようやく自分が北海道に滞在していると気付かされる。
 ディーゼルサウンドを掻き鳴らし、高架駅に滑り込んできたのはキハ261系1000番台。
 現在の道南方面と札幌を結ぶ特急/スーパー北斗。そして今回乗車する石勝線で道東と札幌を結節

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ACT.71『更なる長い道』

ACT.71『更なる長い道』

旭川へ

 朝の普通列車に乗車し、のんびりと旭川駅に向かって進んでいく。既にH100形にも旅の案内人のような気持ちというか落ち着いた感覚が芽生え、安心感のようなものさえ同時に感じてくる。
 このまま麗かな日差しに身を委ね、30分程度で列車は旭川に到着する。今回は再び旭川に戻って…からの更に長い道を歩んで道東、北見市に向かい歩みを進めていく。何となしに、稚内まで既に行ったからなのか肩の荷が既に砂にな

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ACT.68『はまなすにさよならを』

ACT.68『はまなすにさよならを』

最北端追求

 宗谷岬は、昭和51年のNHK『みんなのうた』にてダ・カーポの楽曲である『宗谷岬』がオンエアされた事を受け、全国規模にその知名度が拡がった。そしてその影響…になっているのか、周辺は最果ての場所とは思えないような喧騒に包まれ、多くの観光施設が立ち並ぶ。
 宗谷岬の石碑周辺では多くの人が記念撮影に興じ、宗谷岬の観光地たる知名度を現在に物語っている。
 宗谷岬での滞在時間は、決して長くない

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ACT.67『最果ての時間』

ACT.67『最果ての時間』

予想外

 日本最北の場所、稚内に到達した。
 稚内から、もう少し先に向かってバスに乗車して行こうと思う。向かうは日本の最北端、宗谷岬だ。この宗谷岬から先は、ロシア…樺太が続く事になる。名実共にして、日本最北の場所に向かう事になるのである。
 事前調べでは、稚内駅から宗谷岬に向かう為にはバスに乗車せねばならないのだという。バスターミナルの待合室にあるカウンターで、宗谷岬への行き方を聞いた。
「すい

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ACT.65『宗谷滞在〜音威子府編(後編)・豊富編①〜』

ACT.65『宗谷滞在〜音威子府編(後編)・豊富編①〜』

感銘

 音威子府で、普通列車に乗車し宿で共に宿泊していた老人の女性と話に落ち合う。
 かなりの高齢の方で、関東方面から来たのだと言っていた。最終的には宗谷岬を久しぶりに(この話に関しては30年か40年ぶりと言っていたような)目指すとの事であった。
 話は上手く弾み、この列車では音威子府から先のすぐ近くの駅。筬島まで乗車して文化センターの方に訪問するのだという。幾つになっても元気発剌、そして自分の

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ACT.63『宗谷滞在〜名寄編〜』

ACT.63『宗谷滞在〜名寄編〜』

電化の象徴を手にして

 旭川を発って、現在の自分は名寄へと向かっている。ここからは宗谷本線をひたすら北へ向かい、最後には稚内に到達する事を。そしてそこから宗谷岬に達する事を目標に動き始めた。
 現在、乗車中なのは快速なよろ号。車両は気動車でH100形車両によって運転されている。快速なよろ号は時間帯を分散させて運転されており、乗車した15時台の他には18時台。20時台に旭川から名寄に向かう快速なよ

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ACT.54『さよならを仰いで』

ACT.54『さよならを仰いで』

雨天進軍

 岩見沢のファミリーマートで500円近いビニール傘を購入し、少し大きな出費と被弾を経験し後悔と雨に打たれつつも駅に向かって歩く。
「靴下は脱ぐしかないな…」
雨の中、濡れた靴下の感覚が気持ち悪くてスグに脱いだ。雨に濡れる事。そして自分は外出時に本を必ず携帯しているほどの本好きで『本が濡れるのも嫌』なのだが、この『靴下が濡れている感触で靴を履いている』のが何よりも嫌なのである。速攻で脱い

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ACT.53『あの感情へ、一歩…3』

ACT.53『あの感情へ、一歩…3』

住所

 岩見沢から北海道の保存蒸気機関車を見つめていく旅を開始し、まずは駅を拠点に移動開始していく事になる。この岩見沢からバスに乗車すると、もう1つの鉄道テーマパークのような場所、『三笠鉄道村』にも向かう事が出来る。保存車両は今回の旅路で訪問した小樽と同じくして国鉄系の車両。そして北海道の鉄道史に貢献した車両の保存展示を多く扱っており更にはホンモノの蒸気機関車の運転体験まで可能な施設だ。今回は『

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ACT.26『九州グランドスラム 6 伝統の道と真実の扉』

ACT.26『九州グランドスラム 6 伝統の道と真実の扉』

阿蘇を去る時

 阿蘇を離れる時間がやって来た。
 阿蘇を離れる…今自分が居る場所は阿蘇から離れた宮地に居るが、それでも少し懐かしい時間を過ごす事は出来たかもしれない。今回は豊肥本線の復旧記念館が開館していなかったが、次回の阿蘇訪問時には開館していると非常に嬉しいと思いながら、九州横断への道を進める事にした。
 迎えてくれたのは黄色いディーゼルカーである。1両の小さく可愛らしい車両だ。唐津でもこの

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