マガジンのカバー画像

月刊『抽象的な歩き方』

113
様々なフリー切符や長旅に出た記録の置き場。
運営しているクリエイター

#保存車

ACT.103『兄弟を探して』

ACT.103『兄弟を探して』

戻り道

 再び、小淵沢小学校から小淵沢駅への道を戻っていく。
 山々と高原の清涼感を感じてやってきたあの険しい坂を、次は再び上りになるヶ所もあれば下りになるヶ所もある…と、山々の高低差。そしてうねりの激しい道を移動していく。
 折角「蒸気機関車を探しに」と頂いたマップであったが、強く吹き付ける風の中で壊れてしまっては使い物にならない。
 残念ではあるが、ここは端末の地図アプリの表示に従って移動し

もっとみる
ACT.96『雨中進軍?』

ACT.96『雨中進軍?』

現状を踏まえて〜気楽な幕鑑賞〜

 雨の影響は、相当大きいのだという事は富士に近づく中でなんとなく予想がついてきた。
 しかし、そうした中で富士方面を富士宮までの交通は確保されているらしい。取り敢えず、身延線に乗車していこう。
 到着した時、富士で折り返して甲府に向かう予定であった列車は『富士宮行き』となり、とにかくまずは『進める段階』まで列車を走らせようといった感覚を受けた。
 こちらもそこに倣

もっとみる
ACT.90『追いかけの人』

ACT.90『追いかけの人』

小さな鉄道

 苫小牧駅に向かって駅に向かう中心、大通りを歩いていると何やら公園に蒸気機関車が居るのを発見した。近くには看板も設置されている。
『王子製紙 軽便鉄道』
と記されていた。そういえば近くに工場があったっけか。昨夜深夜に運転所付近を歩いていた際にも、製紙工場らしき建築物や煙突の立ち並ぶ姿を見たような記憶が残っている。
 最初、この機関車と客車に関しては何気なくの撮影で記録に打ち込んだが、

もっとみる
ACT.84『非業乗り越えて』

ACT.84『非業乗り越えて』

もう1つの看板

 道の駅あびらD51ステーションで昼下がりの時間を過ごしている。
 札幌から石勝線へ直通する特急/おおぞら…にて再び旅の序盤に訪問した安平町は追分に戻った。
 先ほど、この場所では自分が見ておきたかった保存車であるキハ183系、キハ183-214を観察し撮影に没頭した。だが、この場所にはもう1つの保存車が居るのである。その保存車は、かつての安平町の主役であり、この追分の大地を鉄道

もっとみる
ACT.83『新たなヒーロー』

ACT.83『新たなヒーロー』

道東の星と共に

 昼下がりの札幌駅。
 土曜日の夏季。8月をもう少しで迎えようとする中の札幌は北の大地といえど暑く、自分の中では滞在時間で慣れているとはいえ、車両を見てようやく自分が北海道に滞在していると気付かされる。
 ディーゼルサウンドを掻き鳴らし、高架駅に滑り込んできたのはキハ261系1000番台。
 現在の道南方面と札幌を結ぶ特急/スーパー北斗。そして今回乗車する石勝線で道東と札幌を結節

もっとみる
ACT.75『かつての本線』

ACT.75『かつての本線』

夏空の下を

 列車は北見を発ち、留辺蘂に停車した。そしてまず、列車の転換点となる遠軽まで走り抜けていく。そしてその前に立ちはだかるのは常紋峠という厳しい難所だ。
 この峠を貫いて掘られたトンネルには犠牲者が多く発生し、工事関係者の犠牲を弔う慰霊碑も設置されているのだとか…
 北海道の鉄道を待ち受ける難所に立ち向かい、乗車中のキハ283系は遅延の原因と化した温度上昇の線路を踏み締め走っていく。

もっとみる
ACT.66『宗谷滞在〜豊富編②・稚内編〜』

ACT.66『宗谷滞在〜豊富編②・稚内編〜』

木造の番人の姿に

 豊富の駅前には、平成2年まで北見で活躍し戦前の木造客車以来の日々を駆け抜けてきた救援車・オエ61-67が保存されている。
 保存…なのかどうかは訪問してみて自分の目で確認し、意識としての問題になってくるのだろうが何かこの客車の主張は薄いように思われた。
 既に前回記事の方でも残しているのだが、この客車の年代。経過した日々は想像以上に車体へのダメージを与えている。ボロボロになっ

もっとみる
ACT.65『宗谷滞在〜音威子府編(後編)・豊富編①〜』

ACT.65『宗谷滞在〜音威子府編(後編)・豊富編①〜』

感銘

 音威子府で、普通列車に乗車し宿で共に宿泊していた老人の女性と話に落ち合う。
 かなりの高齢の方で、関東方面から来たのだと言っていた。最終的には宗谷岬を久しぶりに(この話に関しては30年か40年ぶりと言っていたような)目指すとの事であった。
 話は上手く弾み、この列車では音威子府から先のすぐ近くの駅。筬島まで乗車して文化センターの方に訪問するのだという。幾つになっても元気発剌、そして自分の

もっとみる
ACT.63『宗谷滞在〜名寄編〜』

ACT.63『宗谷滞在〜名寄編〜』

電化の象徴を手にして

 旭川を発って、現在の自分は名寄へと向かっている。ここからは宗谷本線をひたすら北へ向かい、最後には稚内に到達する事を。そしてそこから宗谷岬に達する事を目標に動き始めた。
 現在、乗車中なのは快速なよろ号。車両は気動車でH100形車両によって運転されている。快速なよろ号は時間帯を分散させて運転されており、乗車した15時台の他には18時台。20時台に旭川から名寄に向かう快速なよ

もっとみる
ACT.57『苗穂まわり』

ACT.57『苗穂まわり』

尽きない魅力と

 再び、苗穂工場の話から再開だ。
 前回は苗穂工場の開発した強烈なマシンの数々の紹介として、青函トンネル新幹線転換を目前に開発された『トレイン・オン・トレイン』と鉄道道路両用のバススタイルの乗り物・DMVについて紹介した。
 そして今回は少し、苗穂工場の保存車(少し見える範囲)と苗穂運転所付近を歩いて見かけた車両の撮影をしていこうと思う。
 苗穂工場に関して再紹介すると、苗穂工場

もっとみる
ACT.54『さよならを仰いで』

ACT.54『さよならを仰いで』

雨天進軍

 岩見沢のファミリーマートで500円近いビニール傘を購入し、少し大きな出費と被弾を経験し後悔と雨に打たれつつも駅に向かって歩く。
「靴下は脱ぐしかないな…」
雨の中、濡れた靴下の感覚が気持ち悪くてスグに脱いだ。雨に濡れる事。そして自分は外出時に本を必ず携帯しているほどの本好きで『本が濡れるのも嫌』なのだが、この『靴下が濡れている感触で靴を履いている』のが何よりも嫌なのである。速攻で脱い

もっとみる
ACT.53『あの感情へ、一歩…3』

ACT.53『あの感情へ、一歩…3』

住所

 岩見沢から北海道の保存蒸気機関車を見つめていく旅を開始し、まずは駅を拠点に移動開始していく事になる。この岩見沢からバスに乗車すると、もう1つの鉄道テーマパークのような場所、『三笠鉄道村』にも向かう事が出来る。保存車両は今回の旅路で訪問した小樽と同じくして国鉄系の車両。そして北海道の鉄道史に貢献した車両の保存展示を多く扱っており更にはホンモノの蒸気機関車の運転体験まで可能な施設だ。今回は『

もっとみる
ACT.42『小樽科学と交通の深淵に』

ACT.42『小樽科学と交通の深淵に』

機関車の繋ぐ絆

 …皆様。もうそろそろ、この話も終了と致します。本当に長引いてしまった事を先に一先ずお詫びさせて下しぃ。(まずはキミの纏める能力だろう)
 さて。小樽市総合博物館の館内をじっくり見ていると、館内を勇壮な汽車が走行している。この汽車の名は、『アイアンホース号』。北海道とアメリカの絆によって導入された蒸気機関車だ。
 この機関車は、アメリカのポーター社が製造した機関車である。生まれは

もっとみる
ACT.41『人口10万などは』

ACT.41『人口10万などは』

北の大地の鉄道始まりの場所に

 この小樽は、前記事でも記したように北海道最初の鉄道、幌内鉄道と深い縁を持つ場所でありアメリカからのお雇い外国人、クロフォードの尽力が大きく貢献された場所である。
 そして、そんな場所だからこそ…と鉄道の歴史や鉄道の保存にも熱心だ。この場所にはED75-501の準鉄道記念物指定車両以外にも、鉄道の歴史に大きくその足跡を残した他、鉄道の歴史や車両をじっくりと学んでいく

もっとみる