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罪も愛も顧みず春は逝く~「許さない」という愛~(『Fate FH』主題歌より)
8月15日、劇場版『Fate/stay night Heaven’s Feel(以下 HF)』の最終章が、ようやく公開された。
ようやく、である。
もともと春に公開予定だったところが、コロナ騒動で延期になり、桜もとうに散った真夏の炎天下、ようやくの上映だ。
しかし待った甲斐のある、凄まじい映画だった。
そして、主人公達みんなが「幸せ」になれる、いいストーリーだった。
もちろん、桜も含めて。
i suppose it's a bit too early for a gimlet
今の会社に募集した時の履歴書に、「趣味 バー巡り」と書いたらしくて、10年近く前のことなのにいまだにイジられている。
大学の研究職を辞めたばかりで少々自暴自棄だったから、ちょっと印象に残るようなことをと思って書いたらしいのだけれど、昔過ぎて正直記憶が曖昧だ。
実際問題いまでも「ちゃんとした」社会人がやれている自覚はまったくなくて、一番飲み歩いていた頃は会社にいる時間より酒場にいる時間が長いような1
「コジ・ファン・トゥッテ」
「Così fan tutte! (女はみんなこうするもんさ)」
有楽町のガード下のドイツ料理屋でビールを煽りながら、僕は苛立って呟いた。
久しぶりのヴァイツェンの甘ったるい香りが、渇ききった口腔にまとわりつき、息が詰まる心地がした。
立て続けに、それも別の相手からすっぽかされるのはあまり気持ちのいい話ではない。
まして直前まで乗り気な素振りを見せていたのだからなおさらだ。
もっとも平気な顔で別
Her voice is full of....
別れのハグを拒まれた時、フィリップ・マーロウの台詞が頭をよぎった。彼女を残して駅に降りる。振り返って見た電車の中の彼女は、下を向いていた。
8ヶ月。
彼女が僕の街を離れてから過ぎた時間。
それは短いようで長く、僕ら二人をひどくよそよそしい場所に連れてきてしまったのだな。
越えて来たばかりの多摩川、夜闇のせいで暗く淀んで見える懐かしい川を眺める駅のホームに、吹きつける冷たい風。
彦星と織姫は、天
神君「白兎」の行く年
いつの間にか、2023年が終わっていた。
季節外れの「小春日和」と冬本番の寒空が交互に来るせいか今一つけじめがつかないまま、正月休みすら終わろうとしている。
そういえば、去年は年男だった。
前回がちょうどドイツにいた頃で、日本で卯年を丸々過ごすのが24年振りだったのだけれど、意識していたのは1月の前半までで、それからは日々の忙しさに駆り立てられ、気が付いたら年の瀬まで追いやられていた。
大河ドラ
「神は死んだ」後の『キングダム・オブ・ヘブン』
19世紀の歴史家ブルックハルトに「玉座に位した最初の近代的人間」と称された神聖ローマ皇帝フリードリッヒ2世率いる第6次十字軍はかくして、大きな戦闘もなしに、外交交渉のみで聖都エルサレムのキリスト教徒側への奪還に成功する。
1229年2月11日。現代より約800年前、「暗黒の中世」と言われる時代の話だ。
2023年12月現在、未だに戦禍の絶えないパレスチナの現状を思うと、まさに「世界の脅威(stup
Alcohol is like love. The first kiss is magic, the second is intimate, the third is routine. After that…
新橋で飲んでいたのに、気が付いたら宇都宮の駅にいた。
23時43分。35歳最後の夜が終わろうとしていた。
慌ててタクシーに飛び乗った36歳の僕は、財布に残った領収書、35歳最後の夜遊びのツケを見て絶句する。
2軒目の途中までは覚えているが、3軒目のシガーバーはどうにも記憶にない。領収書の金額と時間からすると、よく頼むギムレットかドライマティーニを一杯と葉巻を一本注文して、一時間もしないで店を出たよ
ポートレイト・イン・ジャズ(マイルス・デイヴィスと村上春樹)
マイルス・デイヴィスの音楽について(「長年にわたってそのまわりに付着してしまっている」、「様々な記憶」(前掲書p7)も含め)書かれた最も素晴らしい文章のひとつは、このように始まる。
流石の村上春樹、イラストレイターの和田の言葉を借りれば、「楽曲解説ではなく、ジャズを聴く気分やジャズが持っている力をこんなに適格に文章にできる人を、ほかに知らない(前掲書p346)」
語り手の青年(村上自身の「ずいぶ
君はたとえそれがすごく小さなことでも/何かにこったり狂ったりしたことがあるかい
「歌舞伎町一番街」の門前、「此岸」と「彼岸」の狭間。
魑魅魍魎の往来を眺めながら僕は、終わりゆく酒と煙草を燻らせている。
アイルランドの黒ビール「ギネス」。
フランスの黒タバコ「ゴロワーズ」。
デンマークのフレーバーシャグ(手巻きタバコ)「キールロワイヤル」。
僕を魅了した嗜好品たちが、日本で終売になるという。
ギネスは正確にはリニューアルして再販するらしいけれど、噂では良くも悪くも「クセ」の
THE SEVENTH NIGHT~GACKTはすべての業を終え、休まれた~①
懐かしい夢を見た
あの頃は寄り添うように
溢れる孤独をみんなで分かち合って
大切なものが何かと
気づいたときには遅すぎて
過ぎ去った思い出はいつも眩しすぎて
-「君が追いかけた夢」Gackt.C
GACKTが活動休止をすると聞いた。
ショック、というにはあまりに緩慢で鈍重な、沈みこむような虚しさ。
「青春」の灯がまたひとつ消えてしまったという寒々しさ、とでも言おうか。
寒い時代だと思わんか