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索引という起爆装置

索引という起爆装置

七月社 西村 篤

さくいん【索引】 書物の中の字句や事項を一定の順序に配列して、その所在をたやすく探し出すための目録。インデックス。「人名―」「事項―」(『広辞苑』第七版)

大部の専門書の編集作業。著者と編集者の間での何往復ものゲラのやりとりが終わり、やっと本文が校了、もうクタクタ、ゲラなんて見たくない……、というところから始まるのが、索引づくりです。見たくないゲラをもう一度、じゃなくて何度も

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[AWT]04アートウィーク東京(11/7-10)来年への覚書として

[AWT]04アートウィーク東京(11/7-10)来年への覚書として

 アートウィーク東京(11/7-10)。存分に愉しんだ。

 今回はまとめとして、気づきやこうすればよかったという反省点を記して、来年への覚書としたい。

アートウィーク東京(AWT)とは

 まず、イベントの概要から。

 「買える展覧会」、映像作品プログラム「AWT VIDEO」などのAWT独自の企画……今回はバスの時間が気になってしまって、メイン会場らしき大倉集古館は、外から見るだけとなった

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ハードボイルド書店員日記【212】

ハードボイルド書店員日記【212】

朝礼が変わった。

入荷のない休配の土曜、日曜そして祝日は、従業員がオススメの本を紹介することになった。持ち時間は5分で質疑応答も可。異動してきた正社員のアイデアである。ビブリオバトルの経験者らしい。

「あれ、どう思います?」
平日の午前中。年末年始に備え、カウンターでひたすらカバーを折る。隣に入った雑誌担当に声を掛けられた。
「あれ?」
「朝礼の」
「ああ」
彼は次の土曜の担当である。
「べつ

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秋の神保町。増える積ン読。今や、金策なし。

秋の神保町。増える積ン読。今や、金策なし。

秋の読書週間は10月27日から。それに合わせるように、その前日から開催された神保町ブックフェスティバル。昨年、一昨年と同様にわたしは今年も“世界一の本の街”神田神保町に足をはこんだ。

今年はある明確な目的があって午前10時の開始時間にあわせて行った。その10時よりも早いタイミングであっても、すずらん通りはすでに黒山の人集り。

毎年のことながら、これだけ本好きさんたちがいるのだから日本の出版業界

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山口晃氏の田中一村鑑賞術(NHK・日曜美術館)紹介と公募展落選の理由を考えてみた

山口晃氏の田中一村鑑賞術(NHK・日曜美術館)紹介と公募展落選の理由を考えてみた

(長文になります)

はじめに 先日放映されたNHKの日曜美術館の番組、「奄美への道標(みちしるべ) 画家・田中一村」では、何人かのゲストが出ていました。
 中でも画家の山口晃氏が出演していたのを見て、番組中彼の発言に注目しました。

 私は常々美術の専門家(研究者や美術評論家など)と違って画家の赤瀬川原平氏や山口晃氏の絵画に関する発言は、実作者ならではの見方が多く、大いに納得できると思っていまし

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美術館仲間

美術館仲間

美術館巡りが好きという方は、一人で観に行く方が好きか、友人と行く方が好きかで分かれるのだろうか。
そう問いかけておきながら身も蓋もないが、私はどちらも好きである。一人だと気楽だし、家族や友人と行けば、意見の交換ができて楽しい。
複数人で行く時でもパターンがあると思っており、それは最初から最後までずっと一緒のパターン、展示室の中では自由行動で出た所で集合パターン、なんとなく一緒にはいつつも各々好きな

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ハロウィンやったことない人がハロウィンを考える

ハロウィンやったことない人がハロウィンを考える

10月31日というと、もう10月も終わりか!という気持ちしか抱いていなかったが、即座にハロウィンを思い浮かべる人もいるのではないだろうか。それくらいハロウィンはすっかり市民権を得た気がする。
因みに、私は街で血みどろな人を見かけて「あ、今日はハロウィンか」と思い出した。

ハロウィンは比較的最近、日本の季節の風物詩の一部となった気がするが、それまでにもクリスマスやバレンタインと、すっかり日本化した

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予算なくても「魅力ある展示」、気づき生むアイデア・工夫を探る――ふじのくに地球環境史ミュージアム/江戸東京博物館/東洋文庫(文化観光のコツ その②)

予算なくても「魅力ある展示」、気づき生むアイデア・工夫を探る――ふじのくに地球環境史ミュージアム/江戸東京博物館/東洋文庫(文化観光のコツ その②)

 「目指したい理想の展示はあるが、予算が……」
 どんな規模の博物館・美術館でも、展示や解説に満足のいく予算を投じられるケースはあまり多くはないでしょう。予算が限られる中で、わかりやすく効果的な展示・解説が求められます。今回は大きなコストをかけずにアイデアと工夫で来館者を魅了してきた、オリジナリティにあふれる展示の実例をご紹介します。

元校舎、つくえ・いす・教室を効果的に利活用 廃校となった高校

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【展覧会レポ】横浜市民ギャラリーあざみ野「SHIMURAbros 雲をつかんで虹を見た」

【展覧会レポ】横浜市民ギャラリーあざみ野「SHIMURAbros 雲をつかんで虹を見た」

【約3,900文字、写真約40枚】
横浜市民ギャラリーあざみ野で「SHIMURAbros 雲をつかんで虹を見た」を鑑賞しました。その感想を書きます。

▶︎結論すごく「現代アートっぽい」作品が無料で見られるため、とてもお得な展覧会です。いつもの横浜市民ギャラリーあざみ野と雰囲気も違い新鮮です。作品の見た目がシンプルに美しいことに加え、普段の生活とは違った物の見方に気付くことができるかも。あざみ野の

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【美術展2024#72】総合展示@国立歴史民俗博物館

【美術展2024#72】総合展示@国立歴史民俗博物館

千葉市美術館「Nerhol展」、DIC川村記念美術館「西川勝人展」に続いて千葉巡り3館目。

大阪の国立民族学博物館と名前が似ているが大阪は「民族」で、こちらは「民俗」。

以前から気になっていたが実は今回初めて訪れた博物館。
ちょうど千葉巡りの巡路上にあったので軽い気持ちで立ち寄ってみたが、展示内容が凄すぎた。
ガッツリ見たら1日ではとても回り切ることができないくらいのボリューム。

様々な史料

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学芸大学駅とストーリーズ

学芸大学駅とストーリーズ

この街とも、気づけば長い付き合いになりました。若き日、大失恋した夫が1人暮らしをしていたのが、ここ学芸大学駅。徒歩17分、環七沿いの5階まで階段で上がる、エアコンもなくカーテンもない部屋は、直射日光であり得ない暑さに。窓を開ければ車の騒音で何も聞こえない、電話するのも大変だった。
数少ない同期、同じ頃に会社を辞めた仲間で、あの頃は若さだけ。先行きも見えない、本当に何もなかったなぁ。

当時の夫は、

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【美術展2024#70】Nerhol 水平線を捲る@千葉市美術館

【美術展2024#70】Nerhol 水平線を捲る@千葉市美術館

会期:2024年9月6日(金)〜11月4日(月)

千葉方面にちょっとした用事があり、都合がついたので気になっていた千葉の美術館・博物館をいくつか回ってみた。

まずは千葉市美術館。

千葉への用事が無かったとしても訪れたであろうNerhol展。
現物を初めてみたのは「VOCA展2020」だったか。

VOCA展2020、VOCA賞はNerhol(田

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山下公園・青の螺旋階段(神奈川県横浜市)

山下公園・青の螺旋階段(神奈川県横浜市)

横浜の山下公園にある青の螺旋階段。

公園内の歩道橋につながる階段で、その名のとおり、青いぐるぐるーーが楽しめます。

ファンタジーな香り!!

山下公園・青の螺旋階段|住所住所:神奈川県横浜市中区山下町16