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#海外文学のススメ

おすすめの作品や作家、注目している国や地域を教えてください!

人気の記事一覧

♡今日のひと言♡フョードル・ドストエフスキー(改訂)

お時間ございましたら、ぜひ、こちら(ドストエフスキー早わかり)をご一読下さい ⇓⇓⇓ フョードル・ドストエフスキー(1821-1881~ロシア・小説家、思想家) 19世紀後半のロシアを代表する文豪の一人。代表作に『罪と罰』『白痴』『カラマーゾフの兄弟』など。キリスト教の立場から、人間存在の根本問題を追究した重厚な名作群を残した。

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カート・ヴォネガットに届いた、ある少年からの手紙(頭木弘樹さまの記事を中心に)

『絶望名人カフカの人生論』(新潮文庫)をはじめとする、多くの著書で知られる「文学紹介者」頭木弘樹さんによる記事の紹介です。 ある日、作家カート・ヴォネガットの愛読者である14才の少年から一通の手紙が送られて来ました。そこに書かれていた上掲の言葉に、ヴォネガットは大きな感銘を受けたと言われています。 以下は、このエピソードをはじめとした、頭木さんの「愛」にまつわる記事です。自分は目から鱗が落ちました。 5分で通読できますので、この名文をぜひ。 ―――――――――――――

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♡今日のひと言♡マルセル・プルースト

マルセル・プルースト(1871- 1922~フランス・小説家) 19世紀末から第一次世界大戦勃発までの頃の、パリが繁栄した華やかな時代をパノラマ的に描いた大作「失われた時を求めて」(1913~1927)で有名。「意識の流れ」の手法により、同作品は当時の「前衛」である「モダニズム文学」の代表作として、後世の文学に大きな影響を与えた。

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中世フランス、冬の終わりの恋物語「オーカッサンとニコレット」~作者不詳(改訂)

恋の歌人たち、宮廷詩人「トルバドゥール」 1000年に及ぶ「暗黒時代」とも呼ばれた中世ヨーロッパですが、その終盤には徐々にルネサンスの曙光がさしてきます。 12世紀ごろになると、南フランスで「宮廷文学」が流行しました。 それは、宮廷に雇用された騎士の中で、才能のある者が詩をつくり、王侯貴族の前で披露したものでした。 彼らは「トルバドゥール」(宮廷詩人)と呼ばれていました。 騎士道精神にのっとり、女性を高貴な存在として崇め、その人にとこしえの愛を捧げる・・・彼らはそのよ

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♡今日のひと言♡ヘルマン・ヘッセ

ヘルマン・ヘッセ(1877- 1962 ドイツ・小説家、詩人) 様々な職に就きながら著述活動を行い、穏やかな人間の生き方を描いた作品を数多く残した。代表作は他に「車輪の下」(1906)「デミアン」(1919) 「シッダールタ」(1922)「荒野のおおかみ」(1927)など。1946年にノーベル文学賞を受賞。

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力と欲望を味わう -バルザックの小説の面白さ

【水曜日は文学の日】 今は2024年、21世紀の前半。ということは、私のように、20世紀生まれの人間がそれなりに生きているということです。 世紀で区切ることはできても、実際のところは、それをまたがって生きる人間がいるわけで、そこですっぱりと時代が変わるわけではない。実のところ、20世紀後半に生まれた人間は、19世紀の影響もまた残っていると思っています。 バルザックは、そんな19世紀のある種の特徴を、広範に捉えることができた小説家です。 そして

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思考を届けるために -J・S・ミルの自伝の面白さ

【水曜日は文学の日】 自伝というのは、面白いジャンルだと思います。 当然ながら自分の全生涯の全行動を書くわけにはいかない。あらゆる伝記と同様、取捨選択が必要になる。 その選択をする人間が自分自身の場合、他人が書く伝記とはまた違った選択があり、興味深い記述になる場合があります。私の好きな哲学者の一人、J・S・ミルの自伝は、そんなサンプルの一つです。 ジョン・スチュアート・ミルは、1806年、ロンドン生まれ。父親ジェイムズは、『英領インド史』等を書いた著

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『ライ麦畑でつかまえて』(The Catcher in the Rye)J.D.サリンジャー ~ここは、「勝ち負け」を決めるための場所なんかじゃない!                                      

今回は、昨今では村上春樹氏の翻訳でも知られる、「ライ麦畑でつかまえて(キャッチャー・イン・ザ・ライ)」(1951)を取り上げます。 すでに多くの評論や解釈が行なわれてきた作品なので、ここでは特に個人的に印象に残った人物や場面などを挙げ、感想は末尾で少し述べるにとどめておきます。 尚、記事内の日本語訳の一部は、野崎孝氏版(白水Uブックス)をベースに少し調整を加えさせていただいております。 クリスマス前夜、ある少年の孤独な三日間 まず、作品の概要をまとめておきます。 主

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言葉の大洋でたゆたう -名作小説『白鯨』の魅力

【※いつもの水曜日の文学に関する投稿の、振替です】 名作小説と言われて読んではみたものの、何が面白いのか分からずに、途中でやめてしまった、もしくは我慢して最後まで読んだけど、やっぱり退屈でわからなかった、という経験は多くの人があると思います(私も結構あります)。 アメリカのハーマン・メルヴィルの小説『白鯨(モービィ・ディック)』は、おそらく、プルーストの『失われた時を求めて』と並ぶそんな「挫折する小説」の一つでしょう。 私はこの作品を偏愛していますが、

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ソクラテス~プラトンの入口『ソクラテスの弁明』他(改訂)

①「西洋哲学の祖」ソクラテス 時は紀元前400年頃の古代ギリシャに遡ります。 この時代の哲学は、プロタゴラスに代表される「相対主義」が主流でした。 「世の中に絶対的なことなどないのだ」「価値観は人それぞれであり、状況次第で変わるものなのだ」という考え方です。 それはある面において柔軟な考え方であると言えます。 しかし一方で、何でも「時と場合による」で済ませてしまっては「高い理想(イデア→後述)や真理を求める」という姿勢が欠落してしまうという一面があります。 民主主義

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少年の心を忘れずにいたい大人たちへ◇『ロス、きみを送る旅』

 性別にかかわらず、未成年だったころの感覚をずっと大切にしたいと思っている、という意味でいえば、わたし自身が「少年の心を忘れずにいたい大人」といえます。  そんなわたしと似た思いを抱いている人たちへ、ご紹介したい本に出合いました。  キース・グレイ『ロス、きみを送る旅』  親友のロスが事故で死に、自殺の疑いもかかるなか、やり場のない気持ちを抱えたブレイクとケニーとシムは遺灰を持ち出して旅に出ます。ロスが生前、行きたいと話していた「ロス」という名の町を訪ねて。イングランドの

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夏の一コマ④【読書】

子どもたちと一緒に寝てしまい、 目が覚めると、まだ日付が変わる前だったので、 もう今日は読み切るぞ、と、そこから一気に怒涛のラストまで。 筒井康隆の解説読み終わったら 3:00a.m. そこから寝‥‥られる訳がなく、 今に至ります。 とりあえず、夏休みの宿題が一つ終わりました。

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愛する存在を書くために -バルトによるミシュレの美しさ

【水曜日は文学の日】 誰かについて書く時、どうやって書けばいいか、悩むことがあります。 表面的なその人生の事件や、業績について説明することは必要なことです。しかし、それだけでは、その人全てを書けるとは到底思えない。 実はこういう性格の人で、周りにはこう思われていた、という説明も勿論よいことです。しかし、それだけでは、何かが抜け落ちている気がする。 何というか、その人が生きていた「核」のようなものがあって、それを掴むことこそが、最も大切なことのように思え

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穏やかに輝く日々の結晶 -名作小説『晩夏』の魅力

【水曜日は文学の日】 小説には様々な楽しみ方があるのが、その魅力の一つでしょう。 オーストリアの小説家シュティフターの長篇小説『晩夏』の素晴らしさは、ある意味退屈でありながら、読むうちに作品が段々と熱を帯びて、不思議な感動を覚えるところにあります。 アーダルベルト・シュティフターは、1805年、現在のチェコ領のオーバープラーン生まれ。麻の商売をも手掛ける農家で農業の手伝いをしながら育ちます。ウィーン大学で法学を学ぶも、家庭教師をしながら、画家として

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神秘をかたどる -小説『フランケンシュタイン』を巡る随想

【水曜日は文学の日】 人類の創作の中には、元の作品世界を超えて、ある種の人類共通の象徴になった存在があります。神話の中から現実のイコンになったような存在。 「フランケンシュタイン」は、そんなイコンの中でも、かなり数奇な広まり方をした例でしょう。 イギリスの作家メアリー・シェリーの創作した小説『フランケンシュタイン』から出てきた怪物は、ポピュラー・カルチャーの中に深く浸透しています。 メアリー・シェリーは、1797年ロンドン生まれ。本名メアリー・ウルストン

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「サンテグジュペリ」という名の薔薇

【スキ御礼】「妻が「薔薇」だということは」 星の王子様ミュージアムが2023年3月末で閉館になっています。 訪れたのは2021年の6月。 そこには、サン=テグジュペリが好んだという赤いバラを集めたバラ園がありました。その中に「サンテグジュペリ」と名付けられた薔薇がありました。 薔薇のほかにも写真を少し撮っていたので、あわせてお名残に公開します。 バラの「サンテグジュペリ」は、フランスのブランド、デルバール社の品種。 デルバールはフランス中部オーベルニュ地方の小さな町、マリ

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永遠の今~『シッダールタ』ヘルマン・ヘッセ(改訂)

ヘッセは、詩と小説によって知られる20世紀前半のドイツ文学を代表する作家です。 「シッダールタ」(1922)は、あるインドの求道者が悟りの境地に達するまでの体験を描いた作品です。 ヘルマン・ヘッセ(1877- 1962 ドイツ・小説家、詩人) 様々な職に就きながら著述活動を行い、穏やかな人間の生き方を描いた作品を数多く残した。代表作は他に「車輪の下」(1906)「デミアン」(1919) 「シッダールタ」(1922)「荒野のおおかみ」(1927)など。1946年にノーベル

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ほのかな光の中の青春 -小説『感情教育』の魅力

【水曜日は文学の日】 私たちは生きているうちに、様々な歴史的事件に遭遇します。 しかし、それが事件かどうかは、渦中に居る時は分からない。何かの変化はその内部にいるとなかなか分からないものです。 フランスの小説家フロベールの『感情教育』は、そんな歴史の「感触」を味合わせてくれる名作小説です。 ギュスターヴ・フロベールは、1821年、フランスのルーアン生まれ。裕福な外科医の息子です。 最初は法学を学びつつ小説を書いていたものの、病気のため、ルーアン郊外に隠遁。父

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デカダンス文学の入口~引きこもり小説『さかしま』 J.K.ユイスマンス(改訂)

デカダンスとは「退廃」「衰退」を意味するフランス語です。 19世紀半ばを過ぎると、ヨーロッパ文学はロマン派に対抗した写実主義、自然主義が主流となりました。 科学・技術・産業、さらにはジャーナリズムの発展により、社会問題や事実・現実をありのままに描写することが要求されたのです。 しかし、そのさらなる反動として、19世紀末に向けて主にフランスで起きたのがデカダンス芸術でした。 その特徴は、伝統的な規範や道徳に背を向け、病的な趣味を重んじ、退廃的で人為的な美を追求する傾

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♡今日のひと言♡ジョン・アーヴィング

ジョン・アーヴィング(1942- アメリカ・小説家) 現代アメリカ文学を代表する作家です。 1965年より大学の創作科でカート・ヴォネガットに師事、フィクションの可能性を継承し拡大させました。 1968年に「熊を放つ」でデビュー。その後、「ガープの世界」(1978)が世界的ベストセラーになりました。 映画化された「サイダーハウス・ルール」(1985)では自ら脚本を手がけ、アカデミー賞最優秀脚色賞を受賞。 その他「ホテル・ニューハンプシャー」(1981)「オウエンのた

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【ネタバレなし】「三体」がおもしろいと感じる人の傾向3選

『三体』、文庫本になったの?妹とのメッセージのやりとりで知りました。 『三体』がね。文庫本になっているんですね。 トーク内の画像を拡大します。 祝 文庫本! 「文庫本になったタイミングで、安くなったことだし。」 「Netflixで話題らしいし」 と、いろんな理由で『三体』に手を伸ばす人がいるのでしょうか。 そうなのであれば、 『三体』が気になっているけど、 決め手に欠けていて、読みとどまっている迷い人 へ向けて記事を書きます。 以下、原作本について話します。

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ウィリアム・モリスの小説、読んだことある?|絵画と文学

ウィリアム・モリスの手がけたデザインが一大ブームとなって久しい。最近、100円ショップにまで《いちご泥棒》をあしらったグッズが登場していておどろいた。 モリスといえばあのテキスタイルが真っ先に思い浮かぶ方も多いと思うが、今回取り上げるのはモリスの作家としての顔である。 ウィリアム・モリスってどんな人なの? モリスはたしかに芸術家であるが、実業家、作家などなど二足の草鞋どころではない状態で多忙な日々を送っていたのであった。 彼は「アーツ・アンド・クラフツ運動」を唱え、優

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フランス文学まずはここから!初めてでも読みやすいおすすめ作品5選

パリオリンピックが始まりましたね🏆 これを機にフランス熱が高まる方もいるのではないかな〜と思ったので、フランス文学を初めて手に取る方にもおすすめの読みやすい作品を5作紹介したいと思います!いずれも大好きな作品なので、ぜひぜひ読んでみてください~! ①悲しみよ、こんにちは/フランソワーズ・サガン 15歳の夏に読んで本当に衝撃を受けた一冊。 少女の危うさと繊細さをここまで描けるのはサガンしかいません。  作品全体に漂う気怠い空気感がリアルに感じられるのは絶対に夏、この時期に読

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「母の日」に、ジョージ・エリオット『サイラス・マーナー』(改訂)

ディケンズと並び称される、19世紀イギリス文学を代表する女流作家です。 彼女の代表作のひとつ「サイラス・マーナー」は、「大人のためのおとぎ話」として海外では広く読まれている作品です。 「他人への愛」や「因果応報」をテーマとしたシンプルな内容ですが、端役にいたるまでの緻密な人物描写・心理描写が感情移入を促します。 読後感がこの上なく素晴らしい物語です。 女性が愚かであるということを 私は否定しませんが 全能の神は 男性につりあうように 女性を作られたのです

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妻が「薔薇」だということは

【スキ御礼】歳時記を旅する50〔薔薇〕前*ことごとく刺す意あらはに薔薇の棘 童話『星の王子さま』で、王子様がいたという星は、家ほどの大きさだった。そこにある一本のバラは、妻のコンスエロ・ド・サン=テグジュペリがモデルになっているという。 ということは、話の中の「家ほどの大きさの星」とは、作者にとって妻のいる家庭が「星のような家」だったということなのだろう。 二人の現実の家庭が一つの星のようだった、ということはコンスエロの言葉にも見て取れる。 著者アントワーヌ・ド・サン=

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しなやかな私の言葉 -ホイットマンの詩の魅力

【水曜日は文学の日】 詩には東洋、西洋を問わず、韻律や形式の複雑な規則があります。でも、その規則を破って自分独自の世界を築き上げた人もいます。 アメリカの詩人、ホイットマンは、そんな独特な世界観の詩人の一人です。 ウォルト・ホイットマンは1918年、ニューヨーク州ロングアイランド生まれ。父親は大工で、十代の頃から新聞社で働き、ジャーナリストとして活動。19歳で自分の新聞を創刊したりしています。 その後、教職や出版社を転々とし、1855年、36歳の時に、詩集『草

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ディーリア・オーエンズ『ザリガニの鳴くところ』友廣純訳、早川書房

1950年代のアメリカ、ノース・カロライナ。大西洋側の湿地が多い地域が舞台だ。親兄弟に見捨てられ、粗末な家でたったひとりで生きる少女の話。と聞いていたので、さぞ暗くて重い話なのだろうと構えていた。でも読み始めると、とても面白くてスイスイ読んでしまった。(アメリカでベストセラーになる本だから読みにくいわけはないのだ。) そんな過酷な環境で育ったということは、きっと読み書きも満足にできない、半分野性の少女なのだろうと想像していたが、途中で近所の少年に読み書きを教えてもらい、つい

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一語の宇宙 | 黙示録 | apocalypse | 闇の奥

apocalypseは小文字で書くと「世の終末、大災害」という意味。 「the Apocalypse」と大文字で書くと、新約聖書の「ヨハネの黙示録」のことを指す。 アメリカ映画の「Apocalypse Now」(地獄の黙示録)という映画は、ベトナム戦争のことを描いた映画だか、ジョゼフ・コンラッド作「闇の奥」を下敷きにしている。 コンラッド「闇の奥」は、アフリカを舞台とした小説なので、「地獄の黙示録」は、舞台をベトナムに移した翻案だと言える。 #地獄の黙示録 #闇の奥

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決して手が届くことのない「美」~ウラジミール・ナボコフ 『夢に生きる人』(改訂)

ナボコフは、19世紀末に帝政ロシアで生まれました。 しかし、革命後の1919年にイギリスへ亡命、ベルリンやパリへの移住を経て1940にアメリカに帰化しました。 「ロリータ」(1955)であまりにも有名ですが、他の長編・短編・詩ともに多くの作品を残しています。 また、レールモントフの「現代の英雄」の英訳や「不思議の国のアリス」のロシア語訳など、翻訳の分野でも功績を残しています。 チョウの研究者としても知られ、4000もの標本を欧米の博物館に残しています。 小説は難解な作品

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燃える言葉の力 -ドストエフスキーを巡る随想

【水曜日は文学の日】 『罪と罰』、『カラマーゾフの兄弟』のドストエフスキーは、文学史上に聳え立つ巨峰であり、今でも様々な意味でアクチュアルな作家の一人でしょう。 間違いなく人類の文学史上、トップテンに入ってくる作家であり、好きとか嫌いとかを通り越して、普遍的な重要性を持った作家でもある。 過去から現在に至るまで、あまりにも色々な角度から語られているため、とても短い紙幅では、全てを語り切れませんが、今日はこの作家について、思うことをつらねたいと思います。

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書籍レビュー『アルジャーノンに花束を』ダニエル・キイス(1966)時の流れによって変化する自分

※2500字以上の記事です。  お時間のある時に  お付き合いいただけると嬉しいです。 幼児並みの知能だった チャーリイが生まれ変わる以前から気になっていて、 ずっと読みたいと思っていました。 映像化もされていますが、 そちらの方は 一度も観たことがありません。 そんな状態で 手に取った作品でしたが、 ストーリーもさることながら、 その表現手法にも 感心させられる作品でした。 主人公のチャーリイ・ゴードンは、 32歳、パン屋で働いています。 彼は知的障がい者で、

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私のおすすめ韓国文学

noteをはじめて1ヶ月ちょっとが経ちました。 はじめてよかったな、と。 やっぱり自分が書いたものを誰かに読んでもらえていると思うと、うれしい気持ちになります。 ありがとうございます。 今回は、みなさんに私からおすすめの本をご紹介したいと思います。 いままで韓国文学に触れる機会がなかった方でも、これをきっかけに読んでいただけると、とてもうれしいです。 (なんかこういう誰かに向けた文章書くのとても苦手みたいです。。恥ずかしいです…… はじめます!) ①チェ・ウニョン『わ

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こぼれた愛を繋ぎ合わせる -名作小説『ペドロ・パラモ』の魅力

【水曜日は文学の日】 ディズニー/ピクサー映画の『リメンバー・ミー』を観た時、メキシコの、死者と生者が同居している描写に、どこか懐かしさを覚えました。 それは、同じメキシコの小説家、ファン・ルルフォの小説『ペドロ・パラモ』に、長年親しんでいたからでした。 その小説の、死と生、お祭り騒ぎと突発的な暴力が常に隣にあるような世界は『リメンバー・ミー』の奥底にあるように感じます。 そして、それだけでなく、痛切な愛に満ちたこの『ペドロ・パラモ』は、私の人生でも

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同世代にお薦めのオースター本「ブルックリン・フォリーズ」

 この4月末に逝去したアメリカの作家ポール・オースターについての記事です。  note 内にも多くの追悼記事が投稿され、改めて、ファンの多い作家さんなんだと感じました。  自分自身としても大好きな作家さんなんで、ちょっとタイミングは逃してますが、私なりのお薦め本を紹介して追悼としたいと思います。 +  +  +  +  +  +  以前の記事にも書いたんですが、ポール・オースターを読むようになったきっかけは、村上春樹さん→翻訳家:柴田元幸さん→オースターみたいな流れです

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星の王子さま(図書係の思い出)

小学5年の2学期に入ってすぐ、班替えがあって島田さんと同じ班になった。男子2人、女子3人の班で、班長は私だった。 学活のとき、どの班がなんの係活動をするのかを決めることになった。 まず班ごとに話し合いが行われ、私は班員に「お楽しみ係がええんじゃないん」とすすめた。お楽しみ係とは、お楽しみ会を企画・運営する係で、男子のあいだで人気があった。 「読書の秋じゃけ、図書係にしようや」 さっそく島田さんが立ちはだかった。図書係の仕事といえば、学級文庫の整理くらいだ。 「いやじゃ

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『プロット・アゲンスト・アメリカ』 現代の映し鏡のような小説

 フィリップ・ロスの『プロット・アゲンスト・アメリカ』は、1940年のアメリカ大統領選挙で、ルーズベルトではなくリンドバーグが大統領に選ばれる世界を描く歴史改変小説です。  リンドバーグは、大西洋横断飛行に世界で初めて成功したパイロット。アメリカだけでなく、世界中で大人気だったそうです。ただ、ナチスの高官たちと親しく、ユダヤ人嫌いを公言していたので、第二次世界大戦前後を舞台とする小説では、イギリスのエドワード八世前国王(離婚歴のある女性と結婚したために、王位を弟のジョージ6

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♡今日のひと言♡カート・ヴォネガット

カート・ヴォネガット(1922-2007~アメリカ・小説家) 「プレイヤー・ピアノ」(1952)や「タイタンの妖女」(1959)などの作品でSF作家として出発。第2次世界大戦中にドイツ軍捕虜となった経験をもとにした「スローターハウス5」(1969)が世界的に人気を博し、ジョージ・ロイ・ヒル監督によって映画化もされた。淡々とした語り口と、辛辣ながら温かみのあるユーモアを身上とする。本邦では村上春樹に大きな影響を与えたとされる。 人は何かのふりをすると そのものになってしまう

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言葉の炎がゆらめく -ウィリアム・ブレイクの詩と絵画の魅惑

文学作品と絵画、両方のジャンルを高いレベルでこなせた芸術家はそう多くありません。ウィリアム・ブレイクは、そんな数少ない、詩人・画家です。 そして、彼の中で、この二つは緊密に結びついています。どちらかが余技ではない。ある意味、どのジャンルにも属さない、稀な芸術となっています。 ウィリアム・ブレイクは、1757年、イギリスのロンドン生まれ。幼い頃から絵画の才能を発揮し、版画家の元で学んで銅版画の技法を身に付けます。 幼い頃から幻視体験のある子だったらしく、父親が弟

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犬好き&猫好きに…ミーガン・リクス『戦火の三匹 ロンドン大脱出』

 ときは1939年。  ドイツ軍がポーランドへ侵攻し、イギリスがドイツに宣戦布告。 「また戦争が始まる…」とざわつくロンドンで、ある一家が自宅の庭に防空壕を掘っている場面から物語は始まります。  一家の家族は、人間だけではありません。  ジャックラッセル犬のバスター。  ボーダーコリー犬のローズ。  トラ猫のタイガー。  一家に愛され、大切にされていた3匹は、戦争にほんろうされ、思わぬ旅に出ることに――。  ミーガン・リクス『戦火の三匹 ロンドン大脱出』は、そんな3匹の旅を

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カポーティ『ティファニーで朝食を』村上春樹訳、新潮文庫

どんなさびれた町のどんな小さい本屋にも、必ず棚にありそうな『ティファニーで朝食を』。もちろんそんなに人気があるのはオードリー・ヘップバーン主演の映画のせいでしょう。わたしは映画はだいぶ昔に見たけれど小説はまだだった。今回ちょっと事情があって読むことになりました。映画の内容は冒頭に変な日本人が出ること以外はもう覚えていなかったから好都合。村上は、ホリーのイメージが固定されるから表紙にはヘップバーンの映画の写真を使わないでほしいと希望したらしい。たしかにヘップバーンではホリーを演

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♡今日のひと言♡ミゲル・デ・セルバンテス

私たちが第一に 戦わねばならない厄介な敵は 私たちの内部にあります 流れに逆らおうとしても それは無駄なことで 流れに身を任せていれば、誰でも 港にたどり着くことが出来るのです ミゲル・デ・セルバンテス(1547-1616~スペイン・小説家、劇作家) 世界中で愛されている彼の名作「ドン・キホーテ」(1605)は、中世騎士物語の「パロディ」として、近代の娯楽小説に道を開きました。騎士道に憧れ、その理想へひたすら進むドン・キホーテと、現実主義者の従士サンチョのコンビが、風刺と

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【読了記録】 『貧しき人びと』(ドストエフスキー) 感想

前回トルストイの『アンナ・カレーニナ』を読んだのだが、実はその間ずっと僕の心の中にドストエフスキーの成分を欲する気持ちが湧き出ていた。 トルストイがあまりにも素晴らしく偉大な文豪であることは、わざわざ僕が言うことでもないだろう。しかし敢えてトルストイ作品に足りないものを、僭越ながら僕に述べさせてもらうなら、『濃厚で香ばしい人物』の作中での活躍である。 そうだ。トルストイの作品には、自分の思想や理念を十ページぐらい優に改行なしで、滔々と述べ続けるような、あのドストエフスキー

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幻想を報告せよ -公務員カフカの冒険

【水曜日は文学の日】 ある朝、普通のサラリーマンが毒虫になってしまう小説『変身』で名高い小説家フランツ・カフカは、本当に不思議な「ありよう」の作家です。 個人的に興味深い作品は何個かあれど、なぜここまで研究者から読者まで、惹きつけてやまないのか、ちょっと驚くようなところがあります。 私が今興味があるのは、彼の「生き方」と「書き方」です。 それは、一見新奇なようでいて、実は、文学史のある種の伝統に即しています。だからこそ、彼の作品がここまで受け入れられて

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心のなかに、自分だけの地図を…ハーグレイブ『地図と星座の少女』

 人は、失う悲しみを引き受けて、成長していく。  キラン・ミルウッド・ハーグレイブ『地図と星座の少女』を読んで、そんなことを思いました。  舞台は、ジョヤ島という架空の島。  もともとは美しくて平和だったはずのジョヤ島に、あるとき総督たちが来訪してから、不穏な陰が落ち始めます。  地図職人の娘である主人公のまわりでも、不可解な出来事が連続し、ついに少女は禁断の森へと旅立つことに。  頼れるものは、知恵と勇気と友情だけ――。  タイトルや表紙の印象から、ふわっとしたほのぼの

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♡今日のひと言♡ヘルマン・ヘッセ

ヘルマン・ヘッセ(1877- 1962~ドイツ・小説家、詩人) 様々な職に就きながら著述活動を行い、穏やかな人間の生き方を描いた作品を数多く残した。代表作は「車輪の下」(1906)「デミアン」(1919)「シッダールタ」(1922)「荒野のおおかみ」(1927)など。1946年にノーベル文学賞を受賞。 https://www.amazon.co.jp/dp/4102001115/

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ジョニ・ミッチェル『サークル・ゲーム』と映画「いちご白書」(改訂)

ジョニ・ミッチェル(1943- カナダ・音楽家) ニューヨークに出て、「サークル・ゲーム」(1967)や「Both Sides Now(青春の光と影)」(1968)、「ウッドストック」(1970)などでシンガーソングライターとしての地位を確立した。メッセージ色の強い歌詞と透明感あるヴォーカルで根強い人気を持つ。 この「サークル・ゲーム」は、日本でもよく知られている、1960年代の学生闘争を描いた映画「いちご白書」The Strawberry Statement(1970)の

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言葉の森をさまよう -小説『森のバルコニー』の美しさ

【水曜日は文学の日】 小説というのは、現実の体験から、現実を超えた何かを味合わせてくれるゆえに美しい。そんな風に思っている人は多いと思います。 フランスの小説家、ジュリアン・グラックの1958年の小説『森のバルコニー』は、そんな美しさを持つ小説の一つであり、私の偏愛する作品の一つです。 ジュリアン・グラックは1910年、フランスのロワール川近くのロワール県生まれ。ナントで歴史の教師をしながら、小説『アルゴールの城にて』を出版。これが、ブルトンに絶賛され、彼の

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ヘルマン・ヘッセ 『クヌルプ』 読書感想文 INFJの自己受容

くぬるぷさんの記事を読んで、クヌルプを初めて読みました。 内容は書かないけど、ああ、私、クヌルプだ。って思うシーンがあって。友とずっとは一緒にいられないクヌルプ。残された友からの視点。切なくてちょっと目頭が熱くなって、でもそうだよね、そんな人だっているんだよね。自己受容の話だと私は思った。INFJさんは読んでみてほしい。読後感が美しい。 読んだあと、ジャーナリングのノートに書き付けている私の言葉。 クヌルプ。美しさは、儚さを内包している。美しさのピークと、それがいつまで

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推し活翻訳15冊目。Pablo Neruda Book of Questions Selections、勝手に邦題「ねえ どうして?」

原題:Pablo Neruda Book of Questions Selections/Libro de las Preguntas Selecciones 絵:Paloma Valdivia 英訳:Sara Lissa Paulson 勝手に邦題:ねえ どうして? 概要と感想: 青が うまれたとき よろこびに さけんだのはだれ?   きえねす ぐりたろん で あれぐりあ   くわんど なしお える ころら あずーる? のりすてられた じてんしゃは どう

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♡今日のひと言♡ヘンリー・ヴァン・ダイク

ヘンリー・ヴァン・ダイク(1852-1933~アメリカ・作家、教育者、牧師)父のあとを継ぎ、聖職者の道を進みながら、詩や小説を書いた。代表的な小説は「もう一人の博士」(1896)「The First Christmas Tree」(1897)など。1910年にニューヨークの長老派教会で行われたマーク・トウェインの葬儀は、ヴァン・ダイクが司祭を務めた。また、詩「Time is」も有名で、ダイアナ妃の葬儀で読まれた。 あなたは死ぬ時に 自分が世界のほんの 一部であったことに気づ

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