藤本和子『砂漠の教室―イスラエル通信』河出書房新社
ブローティガンやトニ・モリスンの名訳で知られる藤本和子がイスラエルに滞在したときのエッセイ。読む前から重い本だろうとある程度は予想していた。またイスラエルが狂気のような勢いでガザ侵略をつづけているいま、イスラエルについての本を読んでどう感じるのだろうという懸念も少しあった。
この本は大きく3つのパートに分かれる。最初の部分「砂漠の教室」は藤本がヘブライ語を学ぶためにイスラエルにある学校に短期で留学したときの体験記だ。粗末なホテルに滞在しながら、昼間はそこで開かれる教室に参加