マーガレット・アトウッド『昏き目の暗殺者』鴻巣友季子訳、早川書房
この長編小説を読むのは実は2回め。初読はかなり前のことだったのだけど、読むにつれてだんだん思い出してきた。ある一族の歴史が年老いた主人公アイリスを語り手として語られるが、彼女の現在の様子(いつものようにアトウッドは知的な老女を描くのが本当にうまい)や彼女が振り返る過去の話が交互に出る。当時の新聞の記事が挿入される。さらにはところどころにローラの死後に発表されるハードボイルド風のフィクション『昏き目の暗殺者』が入り、そのフィクション中に男が思いつくままに様々な物語を語る。そんな