作家と恋をするということは。
古今東西、どんな人とでも恋愛関係になれるとするならば、私は絶対「開高健」がいい。
氏の書く文章の醸し出す得も言われぬ雰囲気と、ウィットに富んだ内容、ユーモアのセンス、すべてが好きだ。
しゃべり方も好きだ。唯一無二なハイトーンボイスも好きだ。
見た目も好きだ。
なによりも、氏の小説を初めて読んだときの、痺れるような感覚が忘れられない。言葉のひとつひとつが、雨粒のように私の中に浸み込んでいくようで。読み進めていくうちに、もう、彼は私の血液になった。
ああ、もう一生引きはがすこと