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【ニュース】花丘ちぐさ先生オンライン研修会のご案内
5月18日(土曜日)の9:00~12:00に、小社『レジリエンスを育む』『わが国におけるポリヴェーガル理論の臨床応用』でおなじみの花丘ちぐさ先生が、オンライン研修会に登壇されます。
下山晴彦先生主宰の「臨床心理iNEXT」が定期的に行われているオンライン研修会の中で、「注目新刊本『編者』オンライン研修会」として『わが国におけるポリヴェーガル理論の臨床応用』編者の花丘先生が招かれる形です。
【寄稿】他の人の働いている様子が覗き見できる本|小林 陵
単著を出版するというのは、もう何冊も出されている先生方にとっては慣れたことかもしれませんが、そうではない私のような身に取ってみれば、日常生活が大騒ぎです。両親が神棚に飾ろうとか言ったり、嫁いでいる姉からは五冊買ったよと連絡が来たり(姉はそうでもしないと誰も買わないと思ったのかも)。新聞に書評を載せていただいたときには、待ちきれない親父が早朝からコンビニに新聞を買いに行って、こんな時間じゃ朝刊なん
もっとみる【好評御礼特別公開/「第一章」チラ見】『医療現場で働くやとわれ心理士のお仕事入門』|小林 陵
第一章 心理検査を取ったり、心理療法もしたり病院の朝は早い
総合病院には病棟もあるので、病院自体は二四時間ずっと誰かが働いています。でも、真夜中に心理検査をやったり、早朝にデイケアをやったりはしないので、多くの場合、心理士の仕事は日中になります。もっとも病院によって夜勤のお手伝いをしている心理士さんもいらっしゃるのですが。私の病院は八時に正面玄関の自動ドアが開かれます。どういうわけか八時前にな
【座談会】「良い職場とは」~『職場でのカウンセリング』執筆者座談会
財津康司(以下、財津) 本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。本の題名にある「職場でのカウンセリング」は、職場改善に寄与するものであって欲しいと思っています。そこで「この本に書かれていることは、実際の職場改善にどのように寄与できるのか」という観点から、執筆者に現状の職場の問題点や改善策等についてお聞きしたいと思います。その内容をヒントに、心理職の先生方が社員とのカウンセリングを工
もっとみる【寄稿】『職場でのカウンセリング~心理職のための手引き』の著者の1人である弁護士が職場のメンタルヘルスについて考えてみた話|五十嵐沙織
本書の編者である財津先生のnoteでも言及されていましたが、私も、本書を、社員のメンタルヘルス対策を担うスタートアップの経営者等に是非とも読んでいただきたいと思っています。
メンタルヘルス対策の重要性とは
私は、これまで、複数のスタートアップにて、企業内弁護士や監査役として、会社のメンタルヘルスへの対応を見てきました。
その経験上、メンタルヘルスの問題は人事や労務等の各部署に任せられ、コ
落穂ひろい|神田橋條治
神田橋條治先生の「心身養生」シリーズ最新作『心身養生,もっと工夫を』が好評です。これをもってシリーズはひとまず完結となりましたが,著者の連想は泉のように湧き続けます。note読者に特別に紹介してまいります。
「心身養生のコツ」シリーズは、「もっと工夫を」で完了しました。折々に目次を眺めて下さると、ご自分の「いま」の状況に適した養生法に出会われましょう。
加齢のせいで、発想の質も量も貧しくなっ
【寄稿】三上謙一|アタッチメント=「愛着障害」?――「愛着障害」概念をめぐる混乱についての一考察
アタッチメント=「愛着障害」?――「愛着障害」概念をめぐる混乱についての一考察「愛着障害」概念の流行
最近、日本では発達障害に続いて「愛着障害」という概念が専門家のみならず一般の人たちの間にも流行していますが、その概念的理解は混乱していることが指摘されています(平島・2017;村上・2021)。
一般に「愛着障害」 という言葉が知られるようになったきっかけは、精神科医である岡田尊司氏の著
【「はじめに」公開/本文チラ見】『心理職は検査中に何を考えているのか?』|浜内彩乃・星野修一
はじめに 心理職として働くにあたって、「心理検査に精通していること」が求められることは少なくありません。
心理検査に精通するために、まず実施マニュアルを参考にして、検査用紙や検査道具を使って、自分で実施してみたり、同業者同士でロールプレイを行って練習し、実施方法を定着させます。さらに、実施マニュアルやさまざまな書籍を読んで、スコアリングや解釈について理解を深め、それでも不安な場合には、研修会に
【寄稿】人を診るか疾患を診るか。妥協するか迎合するか。|池田健
最初に自己紹介。筆者は一介の臨床医である。一応専門は精神科医(心療内科医)である。
ただし諸事情により、現時点で診ている患者さんの年齢ギャップは常時、100才以上(例:最少年齢の方が7才。最高齢の方、110才など)になっている。
諸事情というのは、後述する小阪先生との出会いにより身体科の治療の必要性を痛感し、臨床内科専門医、腹部救急認定医、糖尿病療養指導医などを取得した。
結果として、主た
【「本書について」公開】花丘ちぐさ|『わが国におけるポリヴェーガル理論の臨床応用』
本書について ポージェス博士によって1994年に提唱されたポリヴェーガル理論は、海外からトラウマ学の講師を招いてのトレーニングなどを通して、徐々に日本も紹介され知られるようになっていった。ポージェス博士の著書、『The Pocket Guide to the Polyvagal Theory』(Norton Publisher)の和訳が、2018年に『ポリヴェーガル理論入門――心に変革を起こす「安
もっとみる【序文公開】エドワード・R・ワトキンス|『うつ病の反すう焦点化認知行動療法』
序 文
本書は、反すうや心配を繰り返す難治性の症例に対し、治療効果を高めたいと考える治療者・援助者のために書かれたものである。本書の内容は、研修生から認知療法のスーパーヴァイザーまで、あらゆるレベルの治療者・援助者にとって役立つものになるよう心がけた。
過去20 年に及ぶ研究・臨床実践から、反すうと反復的な否定的思考が、うつ病・不安症の発症・維持につながる重要な認知的メカニズムであることが
【全文公開!】大野裕|『リカバリーを目指す認知療法;重篤なメンタルヘルス状態からの再起』「まえがき」
「まずスタッフの認知に働きかける」
2019 年秋、Beck Institute Excellence Summit の前夜、娘のJudith Beck や本書の著者のPaul Grant やEllen Inverso を交えて「リカバリーを目指す認知療法」(以下、CT-R)について個人的に話しているときにDr. Beck はそう話していた。
重篤な精神疾患のために20 年、30 年と長期
【寄稿】高瀬由嗣|メドゥーサの謎〜現象の記述における主観と客観〜
メドゥーサの謎〜現象の記述における主観と客観〜 学生の頃の話であるが、ギリシア神話に登場するこの怪物の話がやけに気になり、私はその世にも恐ろしい面相やら、それを見て石になる場面やらを心の中で反芻したことがある。いろいろと想像をめぐらすうちに、そんな事はあるわけがないとふと思い至った。もちろん神話なのだから、現実にはありえないような事が起ころうが何の問題もない。問題はそこではなく、メドゥーサの顔を見
もっとみる【論文・エッセイ】金生由紀子|発達障害をめぐる変化を振り返る――『成人の発達障害の評価と診断』の刊行に寄せて
発達障害をめぐる変化を振り返る――『成人の発達障害の評価と診断』の刊行に寄せて
春になるといつのまにか街中に色があふれるようになります。地下鉄の駅に、濃いオレンジ色の髪の毛とぱっちりした目が印象的なセサミストリートのキャラクターのポスターが貼ってあり、この季節にぴったりと思ったら、ジュリアでした。ご存じの方も多いと思いますが、多様性のある世界を反映して数年前にセサミストリートに加わった自閉症の