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#コラム

「ONLY PLACE WE CAN CRY」銀色夏生

「ONLY PLACE WE CAN CRY」銀色夏生

「ひとつのこらず君を
  悲しませないものを
  君の世界のすべてにすればいい
  そして君は途方に暮れる」

「ONLY PLACE WE CAN CRY」銀色夏生

モノクロームの写真と銀色夏生さんの言葉の旋律が、自分の中に隠してきた淋しさとシンクロして、ため息ばかりついていたグレーの感情を琥珀色に染めてゆく「ONLY PLACE WE CAN CRY」

もう戻ることができない場所
もう出会

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美術展覧会 県展2024

美術展覧会 県展2024

先日、第65回青森県美術展覧会を見てきました。
プロの画家やカメラマンではなく、一般の方の作品ですが、見応えたっぷりでした。
最近は、3年連続で見に行ってますね。
個人的に気に入った作品を紹介します。

     水彩画 グランプリ
        (日盛り)  

      (審査員の講評)
技術がすごいと思います。しかし、その技術は絵を作るために必然的に出てきたもので、上手さを主張するような

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お母さん (日記)

お母さん (日記)

遠い昔、母が語った言葉が、ふと蘇る。
当時、私は小学生だった。
その話しを聞いた時、何だか切なくて胸が苦しくなったのを覚えている。

当時、母はどこかで聞いてきた話しを語り始めた。
話しの内容は、こうだ。
ある所に、母親を亡くした少女がいた。
就寝時には、毎回母親の着物を胸に抱きながら、眠りに就いた、と。

私は話しを聞きながら想像した。
少女は、まだまだ母親が恋しい年頃だろう。
母親の残り香は、

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「大河の一滴」 五木寛之

「大河の一滴」 五木寛之

「人はみな大河の一滴」ふたたびそこからはじめるしかないと思うのだ。」

「大河の一滴」 五木寛之

五木寛之さんは、この本の中で

「人はみな大河の一滴」
であると語っています。

人は生まれながらにして、「生老病死」という重い枷をはめられて生まれてきます。

故に

五木さんが最近、本気で思うようになったと記している空想の物語があるといいます。

それが、人間は「大河の一滴」であるというストーリ

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決意 (詩)

決意 (詩)

ありきたりな言葉だけど
潮どき、かもね
この恋、そろそろ終わりにするわ
一時の幸せより、未来の幸せを望んでるの
だから、私を探さないでね

私より大事な人
大事なものがあること
分かってるわ
それでも構わない
そう思ってた

だけどこれ以上あがいても、もう前には進めない
あなたを独り占めにできない
ここから去っていくしかないみたい

大丈夫よ
寂しさには慣れてるから
私には1人が似合う

だから

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1ミリも太ることがダメな理由

1ミリも太ることがダメな理由

まさか、この私が人前でダンスを踊ることになるとは、想像することすらできなかった。

5年前、ベリーダンスのお試し体験講座に行こうか
どうしようか、ちょっと悩んだ。
元々、スポーツは全て苦手。ダンスと名のつくものも全て経験ゼロ。

(こんな私がダンスなんて踊れるんだろうか?
でも、やってみないと分からない。自分に合わなかったら、もうやらなければいいんだし。
あっ、そうだ。ベリーダンスは皆、女性だけ?

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ENDEAVOUR PROJECT 詩的履歴書

ENDEAVOUR PROJECT 詩的履歴書

「詩人」でありたいのであれば、つべこべ言わずに「詩集」の一冊でも編まねばならない。

「詩人」とはなにか、といった話をしていけば、「詩集」なんか出さなくてもいいのだという話になるのかもしれませんが、それではなにも前に進まない。

どんな理由があろうと「詩集」をつくりあげるというのがいまの僕の目標です。

※この記事はプロフィール記事としてアップします。

詩を書きはじめたのはいまから10年以上もま

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夜の図書館 (掌編小説)

夜の図書館 (掌編小説)

#オールカテゴリ部門

もし、本に意識というものがあったとしたら?
午後7時、出入り口の施錠を終えた職員達が、
次々と出て行く。
その後、責任者の職員が館内の最終チェックを終えて出て行くと、図書館は無人状態となる。
時折、幹線道路を通り過ぎる車の音が聞こえるくらいで、館内はしんとした静けさに満ちている。

不意にどこからか、ぼそぼそと話し声が聞こえてきた。
「連日、猛暑なのに毎日ぎゅうぎゅう詰めに

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雪中に果つ 4 (小説)

雪中に果つ 4 (小説)

#オールカテゴリ部門

(やっと見つけたわ)

真紀は、ジリジリと裕二に近づいて行った。

(まるで、獲物に近寄る猛獣みたいだわ)

自嘲気味に、そう思った。
真紀の姿を見た裕二は雪の上にうつ伏せになったまま、あからさまに驚きを露わにした。
まるで、幽霊でも見たかのような表情だ。事実、幽霊だと思ったのかもしれない。真紀はとっくに死んだ、と思っていたのだろうから。

「真紀、生きてたのか?」
「残念

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雪中に果つ 3(小説)

雪中に果つ 3(小説)

#オールカテゴリ部門

酷く寒気がした。
体の芯が冷え切っているようだ。
そして、何だかムカムカする。気持ち悪い。
理由は分からない。
すると、今度は頭部に鈍い痛みを感じた。
この具合の悪さは何が原因なのか?
寒さに耐えきれず目蓋を開けようとするが、意思に反してなかなか開けない。
でも体が、本能が、覚醒を促している。
そして重い目蓋を、やっとの思いで開けた。
視界は、真っ白だった。
顔に、何やら冷

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雪中に果つ 2(小説)

雪中に果つ 2(小説)

#オールカテゴリ部門

昨夜から降り続いた雪のせいで、道路の除雪が追いついていないようだ。
裕二は慎重に運転しているが、所々道路がでこぼこになっているため、何度かハンドルを取られそうになった。
その度に、真紀はハッとする。雪道で車が制御不能となり、ガードレールや木に激突して命を失うのは
避けたい。そんな死に方は嫌だ。理想の死とかけ離れている。

やがて、前方に通行止めのフェンスが見えてきた。
ここ

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