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#恋愛小説が好き

恋愛小説への愛や、好きな作品・作家を語ってください!

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あすみ小学校ビレッジ ⒈なんでも屋さん 創作大賞2024応募作品 恋愛小説 全22話 目次

あらすじ 廃校跡地にできた、複合施設「あすみ小学校ビレッジ」 市職員の川久保泉は、御用聞きのような仕事をこなす。 機転が利くとの評判だが、自信のなさからがんばりすぎる傾向にある。 フィルムオフィス元代表の敏腕上司・千種。集団になじめない悩みを持つ小学生・善。団体の長を引き受けまくる、地元愛強めのオサム。70代で夢をかなえた駄菓子屋店主・瑠美。 個性豊かな面々が、あすみを盛り上げるため奮闘する。 滞在型プロジェクトの参加者・塩屋龍次。 ジオラマ作家として成功しているが、飾

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便利屋花業 ⒎スターゲイザー/星を観る者 連載恋愛小説

今年の天体観測DAYは、とにかく凍えた。 臨時の設営スタッフとして屋外で作業するもんだから、手袋をしていても指がかじかむ。もはや耐寒レースだ。 時間になり、参加者がうっとりと星空にひたっているなか、まどかはものすごい空腹に襲われる。 「くっつきすぎですが」 「この際、目をつぶれ」 「どの際なんすか」 「どっから飛んでくるか、わかんないじゃん」 初参加の綾の付き添いをとはりきって来たはものの、よく考えたらキャンプ場なんて山奥。つまり、ヤツらがうじゃうじゃいる根城である。 冬場

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便利屋花業 ⒏緊急要請 連載恋愛小説

とある真夜中、まどかは声にならない叫び声を上げた。 とるものもとりあえず、緊急救助を要請する。 「陸が放置して…半殺しで、ムリ。しぬ」 陸からすれば、まどかは大きいナリして、いつまでたっても狩りの腕が上がらない困った仔猫ちゃんらしい。 仕留めかたを伝授しようと、ポトリと土産を置いていく。 処理が滞りなく済んだことを確かめてから、まどかはキッチンをのぞいてみた。 「あー、半殺しってそういうこと?たしかにピクピクしてた」 「わーやめて。鳥肌」 陸が飼い猫であること。 イケメンに

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便利屋花業 ⒈庭のメンテナンス 連載恋愛小説 目次 全15話 リンク有 再掲

酔いにまかせて関係を持ってしまった経験は何度かあれど、今度ばかりは相手がまずい。 「まどかさん、聞いてる?」 やたらと話しかけてくるが、こっちはそれどころじゃない。 「酒を完全に抜いてから、オレとすること。わかった?」 これっきりにするつもりはないという意思表示らしい。 首を横に振ったと受け取られたのか、両手で頭を固定される。 これが腹が立つくらいに上手いキスで、まどかは思わず頭突きを食らわしてしまった。 「この隠れドSが!」 本上綾がきょとんと振り返った。 普段こき使っ

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真夏の恋事件|掌編小説 シロクマ文芸部

夏は夜に事件が起こる。 まして、今宵は夏祭り。なにがあろうとおかしくはない。 息苦しいほど重く湿った夜なのに、私のまわりだけ氷河期に突入。 親友と好きな人が手をつないで前を歩いていた。カランコロンと下駄の音が耳鳴りみたいに響く。 人の気持ちを聞き出しておいて、自分の恋バナは出し渋っていた彼女。 友達ですらなかったのかもしれない。 こうなったら、食べすぎで死んでやる。 などと激しい気性でもないけれど、目につくものは片っ端から買いまくった。数人と合流する予定なんか、どうだって

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便利屋花業 ⒒戦友との語らい 連載恋愛小説

沢口は、なんでもお見通しだ。 「仕事関係で男作るの、珍しいな」 「沢口くん以外にさとられないように、もう必死」 「あれをかわすのは至難の業だろ。ベタ惚れ」 愉快そうな横顔に、まどかは八つ当たりする。 「ちょっとくらい、阻止してくれてもよかったじゃん」 嫉妬に狂って逆効果だと、安定の冷静沈着っぷり。戦友みたいな存在だから、話しているとまったりリラックスする。 園芸にたずさわる者として致命的な虫ギライを、徹底して排除することでサポートしてくれた沢口には、頭が上がらない。全幅の

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【毎週ショートショートnote】海のピ

 点Pは動くことにした。  恋心が加速して、止まらなくなったのだ。  点Pは点Qを追いかけた。  ある時は秒速30m、ある時は時速300㎞で!  しかし何度告白しても、点Qの答えはいつもNOだった。  ある日、点Pは教科書を抜け出して海にいった。  せまい教科書内で、失恋しつづけることに耐えられなくなったのだ。  海は広い。  点Pは海に飛び込んだ。  そこは素敵な世界だった。  魚が泳ぎ、サンゴが手を振る。  最高の気分だった。  だけど。  何をしても何を

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便利屋花業 ⒓ファーストコンタクト 連載恋愛小説

たいていの場合、庭の完成図は頭の中でできあがっているが、依頼人に伝えるためには、なんらかの形にする必要がある。 「何者なんですか」 「そっちこそだれ」 聞き慣れない声が耳もとでした。集中していたのを邪魔され気が立っていたまどかは、相手を間近でにらみつける。 そいつはうろたえたように、身を引いた。勝手にのぞき込んでおいて、失礼な。 「すみません。秋葉覚と言います。画面が見えたんで、つい」 ガーデンデザインは、真横、立体、平面図と3パターンこしらえる。 フリーハンドで植物を描

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短編 | はつこい

「智宏さん、なにしてるの?」 「あぁ、小学生の頃の日記が出てきてね。」 「あら、懐かしいわね。もしかして、私もあなたの日記の中に登場してるのかしら」 「いや、千賀子のことはどうかなぁ。書いてあるかなぁ。」  私は今、古い日記帳を読んでいる。増えてしまった本の整理をしているとき、小学生の頃、毎日書いていた日記帳をたまたま見つけたのだ。  昭和59年11月✕日。小学2年生のときの日付だ。この日は、私にとって、大きな転機になった日のはずだ。しかし、その日の日記に限って、日

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便利屋花業 ⒉草原の逢瀬 連載恋愛小説

流れる景色を見るともなく見ていて、まどかは飛び起きた。 すぐにミニバンを停めさせ、スマホをひっつかむ。 小菊の群生や樹々の生い茂りかた。風が抜ける絶妙な間隔。 なんてことのない空き地に広がる、最高に刺激的な一角に我を忘れる。 しゃがみ込んで激写していると、秋葉もそばにやってきた。 「インスピレーション?」 「うん。こういう自然に溶け込む庭、作りたいなあって。みんなが生き生きしてる感じ」 猫のしっぽみたいなエノコロ草をつつく。 「雑草扱いされるけど、これも大好き。かわいくな

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便利屋花業 ⒊サクラの仕事、其の一 連載恋愛小説

ヒールは痛いし、ドレスは寒い。 所長のねじ込み案件に関わると、ロクな目に遭わない。 レンタル代ふっかけてやる、とまどかがブツブツ言っていると、目の前に影が落ちた。 「だれかと思った。化けましたね、まどかさん」 「そっちは変わらないな」 理系の秋葉がちょっといいスーツを身にまとうと、まんま大学院生だ。 なにかの学会で論文でも発表しそうな佇まい。 「逆の意味にとっておきます」 なぜにほほえんでいるのか。感じワル。 「で?」 打ち合わせもせず、ボケッと突っ立っているので、イラッ

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便利屋修行1年生 ⒈致命的な欠陥 目次 リンク有 連載恋愛小説 全25話 完結済み

新しい職場は、一風変わっている。 綾が所長室に足を踏み入れると、先客がひとりいた。 ウチの主力には決定的な欠陥がある、との事前情報が頭をよぎる。 この人のことだと、ひとめでわかった。 「ほかにいないんすか。秋葉とか」 面倒そうに目を細め、彼はスマホを操作中。 「ちょうど出払ってんのよー。頼むわ」 こちらに目もくれず、綾の頭上あたりで会話が展開される。 試しに自己紹介をはさんでみたが、おもしろいくらい完全にスルーされた。 所長がほらね、とばかりに苦笑する。 優秀な人ほど気難

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便利屋花業 ⒑色気の秘訣 連載恋愛小説

猫動画の見すぎで、今日は全身がだるい。 急ぎの仕事は入っていなかったが、まどかは気まぐれに事務所に顔を出した。 「まどかさん。いいところに」 いそいそと綾が寄ってきて、メモを取り出す。 どうしたら、色気は出せるのか。 あくびの涙をぬぐっていたまどかは、目をぱちぱちさせた。 「……人選ミスだろ?」 廃人まがいとけだるさを、はきちがえているようだ。 「なんかいい匂いするのは、香水ですか?」 あまりにもまっすぐな目をしていることから、からかわれているわけでは ないらしい。やれ血

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便利屋花業 ⒌心の荷物 連載恋愛小説

次に目を開けたときには、ベッドに寝かしつけられていた。 どなられている夢が真に迫っていて、まどかは無意識にあたりを確認した。 落ち着こうと、何度もつばを飲み込む。 「役立たずは死ねって」 ベッドの端に腰かけ、彼は長ったらしい話を聞いてくれる。 「いったん下ろそう」 「え…」 「心の荷物」 どうしようもないことは、どうにかしようとしなくてもいい。 悪意から離れて正解だと、秋葉はまどかにタオルを手渡す。 顔が涙でぐしょぐしょだったことに、まどかはそこで気づいた。 情緒不安定すぎ

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便利屋花業 ⒐桜の味 連載恋愛小説

「頼むから自覚して」 「えーと…飲む?あ、車か」 黙ってコーヒーを飲む秋葉の空気感に耐えられなくて、まどかは話題を絞り出す。 桜味とはなんぞや、という長年の疑問が解決したことを思い出した。 桜の葉や花びらは無臭だが、塩漬けにして細胞が壊れると、匂いが解き放たれる。あの繊細そうな花びらを容赦なくもみ込んだり発酵させたりしないと、香りは強く立たない。 「匂いを味だと感じるって、人間の脳ってフシギだなーって」 淡い色味の甘じょっぱさ。なんか桜餅の口になってきた。 「まどかさん」

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あすみ小学校ビレッジ ⒛お菓子な送別会 連載恋愛小説

「え~夏祭り2024を成功裏に終えることができた。みなの尽力に感謝する——と、村長がおおせです」 オサムに振られたスミくんは、とりあえずシッポを振ってみせた。 「短いあいだでしたが、たいへんお世話になりました。またすぐ会える気がします。湿っぽくならず、きょうは楽しみましょう!」 打ち上げは、龍次の送別会も兼ねていた。 「曲者たちをまとめ上げるのに骨を折った、いづみやさんに拍手~!」 「曲者ってりゅうちゃんのこと~?」 善は大人顔負けの合いの手を入れたあと「骨折してないよね…

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あすみ小学校ビレッジ ⒕こころの居場所 連載恋愛小説

「もう泉イズムになってるんじゃ?」 「あすみ給食室」の名物は、コッペパンサンド。 敷地内にある畑で野菜を収穫し、客が自分好みのサンドイッチをこしらえる。自分でつくるので食べ残すこともなく、食育にもなる。 もとは家庭科室だったので「調理実習サンド」と呼ばれている。 「あ~、りゅうちゃん親父ギャグ~」 善がレタスをちぎりながらツッコむ。 「これで晴れて、身も心もオヤジ化まっしぐら~」 「ハカセ、毒舌に磨きがかかってますな…」 もともと本の虫だった善だが「森下寺子屋」で学ぶよう

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あすみ小学校ビレッジ ⒔千の種をまく 連載恋愛小説

干し草の香ばしい匂いが中庭を包む。 処理しやすいよう、刈った草をひろげて乾かしているからだ。 めずらしく難しい顔をしている龍次に、なにか問題でもあるのかと泉はたずねた。 「あー、うん。ハイジになれるほどの量じゃないなあって」 干し草の山にすっぽり埋もれて眠る、アルプスの女の子。 「ふざけてんのかって、よく言われる」 残念そうに見やる横顔に、泉は笑ってしまった。 明日海市の公式サイトや市報で告知はしたが、地元の新聞に取り上げてもらったのは大きかった。 連載特集を組んでくれ、

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思い出を形に変えて

懐かしい思い出は忘れたくない。 そんな思い出は大抵青春の思い出。 だから、その思い出をどうしたら忘れないかと思ったときに、自分の作品に当てはめればいいかなと思うんです。 わたしは、大阪に旅行したときに、著書の「有名人との恋愛」で書いた忘れられない人に似たホストに捕まったことがあります(笑) どうせならその話を書きつつ、その先の展開はフィクションとして書いてもおもしろいのかなと思って短編コンテストに出してみました。 期限ぎりぎりなので、誰か読んでくれる人はいるのだろう

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あすみ小学校ビレッジ ⒊おおきな子どもとちいさな先生 連載恋愛小説

校舎でお泊まりする「小学校ホテル」は、大好評だ。 プールを改修した大浴場、教室っぽさを残した客室。 ビレッジには給食風メニューが食べられる食堂もあり、徹底してノスタルジーを刺激する。 夏に屋上ビアガーデンが登場するのは、千種のアイデアだ。 学校で飲酒するという背徳感と解放感が、オトナを引きつけてやまない。 駄菓子屋は「あすみ小学校ビレッジ」で1、2を争う人気店。 三橋瑠美は70代。ちいさい頃からの「お店やさんになる夢」を第二の人生でかなえ、毎日うきうきと店番している。 彼

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