母の旅路に 寄り添う
「私、ここに泊まる、母さんの傍で寝るわ」
死に装束に身を包んだ母を、しんみりと見下ろす。
「えっ、俺はホテルに泊まるよ」
夫は、たじろぎ私の顔色を伺っている。
「いいわよ、かえって母さんと二人きりの方がいいわ、母さんには寂しい思いさせたから、最後は2人きりでいたいの」
夫は安堵の色を浮かべる。自分もここに泊まることを強要されるとでも思ったのだろう。
「そうか、いくらお義母さんとはいえ、死んだ人と同じ部屋で寝るのは、ちょっとね」
ここは、葬儀社の遺体安置室。
約十二畳程の和室