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記事一覧

この世の果て(短編小説 6)

この世の果て(短編小説 6)

《《 あらすじ → 真希は2度目の幽体離脱に成功した。海峡で例の女性を探していると、亡き愛犬の鳴き声が聞こえた。鳴き声に導かれるように移動したその場所は、かつて両親が住んでいた借家だった。人が住む気配を感じ、様子を伺っていると、引き戸を開けて亡き母が現われた 》》

何もないがらんどうの部屋の中で、次第に悲しみが押し寄せてくる。
昨夜の光景は幻覚か、または霊界に迷い込んだか
どちらかの可能性がある

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この世の果て(短編小説 5)

この世の果て(短編小説 5)

《《 今までのあらすじ →幽体離脱に成功した真希は、海峡で観光船の沈没事故で亡くなった女性の亡霊と出会う。翌日も会う約束をしたが、女性の亡霊は現われなかった。
ふと、亡き愛犬の鳴き声が聞こえてきた。鳴き声に誘われるように上空を移動すると、かつて亡き両親が住んでいた借家に辿り着いた 》》

「母さん……」

嬉しそうに微笑む母を見て、真希は考える。

(この状況を、どう解釈したらいいのかしら? 

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この世の果て(短編小説 4)

この世の果て(短編小説 4)

《 今までのあらすじ→ 幽体離脱に成功した真希は、北へと向かった。海峡を通り過ぎようとした時、2年前に観光船の沈没事故で亡くなった女性の
亡霊と出会った。女性の話しを聞き、真希はしばらく傍にいた。明日また来ることを約束し、真希は一旦帰宅する 》

(上手く肉体に戻れるだろうか?)
自宅アパートの上空に戻ってきた真希は、少し不安になる。

(大丈夫、落ち着いて)

ゆっくりと屋根をすり抜け、自分の部

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この世の果て(短編小説3 )

この世の果て(短編小説3 )

【 あらすじ→ 幽体離脱に成功した真希は、北へ北へと向かった。海峡を通り過ぎようとすると、泣き崩れる女性がいるのに気づいた。真希は気になり話しかけてみる。ここで数年前に船の事故で亡くなった女性の亡霊だった】

女性の話しは、こうだった、

2年前、この辺りを航行していた観光船が原因不明の事故で沈没した。女性は一人で乗船していた。何らかのトラブルで海水が流れ込み、制御不能になった観光船は、徐々に沈ん

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この世の果て(短編小説 2)

この世の果て(短編小説 2)

【あらすじ→ 幽体離脱の動画をフォロワーさんに教えてもらった真希は興味を持った。少し怖いが、自分も試してみることにした。1回目は失敗したが、再度挑戦し、成功した】

空中で四肢を伸ばし、泳ぐような格好で前進してみる。
夜風が心地良い。

(そうだ、北海道に行ってみたいわ)

最後に北海道に旅行してから、もう10年以上経つ。
函館の夜景が見たくなった。
鳥になった気分で夜空を突き進む。眼下には通り過

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この世の果て(短編小説 1)

この世の果て(短編小説 1)

決行の時がやってきた。
真希は思いきり息を吸う。そして、ゆっくりと吐き出す。
深呼吸しても興奮は冷めない。
が、そそくさとベットに入った。

スマホを手に取り、例の動画を表示する。
幽体離脱を誘導する音楽が、約8時間流れるのだ。
SNSのフォロワーさんが、幽体離脱できるという音楽を聴いてみたが、離脱はできなかったと呟いていたのを見て、興味を持ったのだ。
どんな動画なのか尋ねたら、この動画だよと教え

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愛した人 (短編小説 6 )

愛した人 (短編小説 6 )

【 あらすじ → 5年前に亡くなった恋人、隼人がかつて住んでいた住居を美紀が訪れると、隼人そっくりの住人がいた。イヤ、隼人本人に見えた。それとも幽霊なのか? 隼人と一晩を過ごし、お互いの愛を確かめあった。が、翌日ドライブに出かけた海辺で、さよならと言い残したまま、隼人は消えてしまった……】

        《 最終回 》
何だか寒気がした。
美紀は身震いすると同時に目覚めた。
ぼんやりとした意識

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愛した人 (短編小説 5 )

愛した人 (短編小説 5 )

【 あらすじ→ 5年前に亡くなった恋人、隼人がかつて住んでいた住居を訪れると、隼人そっくりの住人がいた。イヤ、隼人本人にしか見えない。亡くなったのは、何かの間違いだったのか? それとも隼人の幽霊なのか?
その後、2人はお互いの愛を確かめ合った。美紀が未来に希望を持ち始めた矢先……。 】

「天気もいいし、海でも見に行こうか」
隼人の提案に、美紀は二つ返事で同意した。

海岸線に沿って、隼人は車を走

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愛した人 (短編小説 4 )

愛した人 (短編小説 4 )

【 あらすじ → 5年前に亡くなった恋人、隼人がかつて住んでいた住居を美紀が訪れると、隼人そっくりの住人がいた。イヤ、隼人本人に見えた。
夢なのか、現実なのか判然としない中で、その後2人は…… 】

隼人は美紀を抱きかかえ、優しく押し倒した。

「もう会えないのかと思ってた。来てくれて嬉しいよ」

「私も、嬉しい……」

愛しさが込み上げてくる。
今まで隼人が夢に何度も現われ、目覚める度に泣いてい

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愛した人(短編小説 3 )

愛した人(短編小説 3 )

(あらすじ → 5年前に亡くなった恋人、隼人が
かつて住んでいた住居を、美紀が訪ねると……。
そこには、隼人そっくりの住人がいた。
イヤ、そっくりというより、隼人本人? に
見えたのだが……)

長い抱擁の後、美紀を抱き締めていた手を緩めると
隼人は言った。
「本当に久しぶりだね」

「うん、そうね……」

(だって、あれからもう5年よ……)

2人はひとまず、ソファーに並んで腰かけた。
ベージュ

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愛した人(短編小説 2)

愛した人(短編小説 2)

(あらすじ→ 5年前に亡くなった恋人、隼人を美紀は未だに忘れられない。かつて隼人が住んでいた住居が空き家になってるのか、既に新しい住人がいるのか、ずっと気になっていた。好奇心を抑えきれず、訪れてみると……。)

心臓がはち切れそうだった。
鼓動が激しさを増して、息苦しい。
予想外の出来事に何だか怖くなり、逃げ出したいと思いながらも、体が固まってしまって動けない。
最早、隼人以外の何者にも見えない男

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愛した人 (短編小説 1)

愛した人 (短編小説 1)

その家の門の前に立つと、妙な違和感があった。
空き家にしてはそう古びた雰囲気がしない。
よく見ると、出窓にかかるレースのカーテンは真新しい白さだ。僅かに開いた窓から吹き込む風を受けて、軽やかに揺れている。

(新しい住人が住んでるのだろうか?)

その家は平屋建てで、玄関は引き戸だ。
グレーの壁は、さほど色褪せてはいない。
ふと、家屋に隣接するガレージに目を向ける。
シャッターが空いていた。中を覗

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イヴの涙 (短編小説 2)

イヴの涙 (短編小説 2)

どれくらい時間が経ったのか、我に返り辺りを見回す。
いったいどこから溢れてくるのか、イルミネーションを見物する人々で、相変わらず通りは混み合っている。
しばらく地べたに座り込んでいたことに、美里は羞恥心を覚えた。まだ、痺れが残る腰をさすりながら
ゆっくりと立ち上がる。
そして、イルミネーションとカップルから目を逸らし、駅の方角へと歩き出した。

アパートに帰宅すると、すぐさまヒーターの前に座り込み

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イヴの涙 (短編小説 1)

イヴの涙 (短編小説 1)

今、けやき並木が一斉に光を放った
ハッとして、立ち止まる。
イルミネーションの点灯の瞬間は、さながら魔法のようだ。
すっかり落葉したけやきが黄金色の発光体と化し、美里は一時目を奪われた。

イルミネーションを見上げている周囲の人々の顔が、黄金色に染まっている。
皆、一様に幸せそうな表情に見えた。
だけど、美里は憂鬱だった。
勤務先が、けやき並木のある通りの近くだから
帰宅する時は、どうしてもここを

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