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この世の果て(短編小説 2)
【あらすじ→ 幽体離脱の動画をフォロワーさんに教えてもらった真希は興味を持った。少し怖いが、自分も試してみることにした。1回目は失敗したが、再度挑戦し、成功した】
空中で四肢を伸ばし、泳ぐような格好で前進してみる。
夜風が心地良い。
(そうだ、北海道に行ってみたいわ)
最後に北海道に旅行してから、もう10年以上経つ。
函館の夜景が見たくなった。
鳥になった気分で夜空を突き進む。眼下には通り過
ささやかな望み (詩)
ひたすら追いかけたり
もっと追いかけられたいとか
そんなのは、もういい
振り向くとキミがいる
それが当たり前になるといいのに
でも、障害が2人を阻む
もう頑張れない
ささやかな幸せさえ
私を避けていく
1人でも生きれる強さが欲しい
今、キミは誰の腕の中にいるの?
帰り道 (詩)
あなたと別れた後の
一人ぼっちの帰り道
満たされない想いと
次はいつ会えるか分からない不安と寂しさが
ごちゃ混ぜになる
あなたは寂しくないのかな
一人ぼっちの帰り道が耐えられなくて
もう会うのをやめようか?
なんて、無理よね
だって、もうこんなにも会いたくなってる
もう一度 (詩)
もし、あの夜が2人の最後だったのなら
もう一度、あの日に戻りたい
あなたの顔を忘れないよう
瞳に焼き付けるわ
あなたの声を忘れたくないから
愛してるって、何度でも言って
あなたの温もり忘れたくないから
一晩中、私を抱きしめていて
あなたの腕の中で溶けてしまうくらいに
だから、もう一度
あの夜を……
この世の果て(短編小説 1)
決行の時がやってきた。
真希は思いきり息を吸う。そして、ゆっくりと吐き出す。
深呼吸しても興奮は冷めない。
が、そそくさとベットに入った。
スマホを手に取り、例の動画を表示する。
幽体離脱を誘導する音楽が、約8時間流れるのだ。
SNSのフォロワーさんが、幽体離脱できるという音楽を聴いてみたが、離脱はできなかったと呟いていたのを見て、興味を持ったのだ。
どんな動画なのか尋ねたら、この動画だよと教え
訪問者 (詩)
優しい、いい人のふりをして
誰かが私の前に現われたって
やがて偽りの愛だと分かるのは
時間の問題ね
いずれ、去って行くのよね
だけど
ちゃんと心のドアを叩いてくれたのは
あなたが最初で最後
唯一無二の訪問者
そう、ずっとこの日を待ってたの
愛なんて (詩)
無償の愛なんて
私には到底無理
ほんのちょっぴりでも
愛を返してほしいわ
報われなくてもいいなんて
いったい誰が言った?
私はこれっぽっちも思ってない
愛を与えれば、愛は返ってくる?
やってみたわ
でも、返ってこない
もうなす術はないわ
愛に見放されたわ……
透明人間 (詩)
もし、透明人間になれたなら
お金が無くたって
すぐにでも新幹線に乗って
あなたに会いに行くわ
距離が遠くたって平気
姿が見えないから
自由に乗れて便利ね
会いたくなったら
すぐ行けるもんね
でも、1つ問題があるわね
あなたの元に到着しても
私の姿が見えないから
存在をどうやって証明しようか?
生まれた理由 (詩)
生まれる前から定められている
キミと巡り逢う時が
生まれ落ちた時、キミと出逢う日が
既に遺伝子に刻印されていた
どんなに遠くても
どれだけ時間がかかっても
予告通り定められた時へと
2人は引き寄せられる
キミと抱き合えた瞬間
言いようのない懐かしさを感じ
やっと生まれてきた理由を知る
半分こ (詩)
あなたの悲しみ
半分、私に分けて
そしたら悲しみが流れたぶん
楽になれる
嬉しいことがあった日も
私に伝えて
あなたの喜びを分かち合いたい
あなたの悲しみを吸いとって
喜びも享受したい
あなたの喜びも悲しみも半分こ、ね
いつも、あなたに寄り添いたい
恋なんか (詩)
恋はジェットコースターよね
上がったり下がったり、せわしない
今日、幸せに包まれたとしても
明日には気分は急降下
あなたの言葉や仕草に翻弄されてる
心の平安からは、遠ざかる一方
だったら
ジェットコースターから降りればいいだけの話し
でもね、降りたくても降りられないの
あなたがいる限り
流転 (詩)
何度、流転したって
キミを探す
ほら、聞こえる
キミの声が
地平線の彼方から
私の名を呼ぶキミの声が聞こえる
どれだけ離れていても私には聞こえる
何度でもキミと恋に堕ちるわ
傷ついたって構わない
定められた時に向かって
2人は導かれる
めくるめく日々を
キミと抱き合いながら
何度でも……