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この世の果て(短編小説 8)
《《 今までのあらすじ →3回目の幽体離脱をした真希は、海岸にひっそりと設置されていた電話ボックスで鳴り響く電話のベルに引き寄せられる。試しに電話に出てみると、津波に流され行方不明になった恋人、裕二の声が聞こえた…… 》》
《 最終回 》
あの世とこの世の狭間。
それは、水平線の彼方にある。
以前、何かの本で読んだ記憶がある。
神秘的な作り話ね、と思ったが、あながち嘘ではないかも
この世の果て(短編小説 7)
《《 今までのあらすじ →幽体離脱をした真希は、観光船の沈没事故で亡くなった女性の亡霊と知り合い、一時の友情を育んだ。その後、亡き両親や愛犬と、束の間の再会を果たした。そして、これで最後にしようと、3回目の幽体離脱をした 》》
真希は祈った。心を込めて。
女性と、沈没事故で亡くなった死者と行方不明者達の魂に向けて。
海に散った、尊い命。もっと生きたかった命。
強制的に人生が終了させられ、無念だっ
この世の果て(短編小説 6)
《《 あらすじ → 真希は2度目の幽体離脱に成功した。海峡で例の女性を探していると、亡き愛犬の鳴き声が聞こえた。鳴き声に導かれるように移動したその場所は、かつて両親が住んでいた借家だった。人が住む気配を感じ、様子を伺っていると、引き戸を開けて亡き母が現われた 》》
何もないがらんどうの部屋の中で、次第に悲しみが押し寄せてくる。
昨夜の光景は幻覚か、または霊界に迷い込んだか
どちらかの可能性がある
青の世界(詩)
野原に寝そべり
空を見上げた
視界の全てが青色に覆われる
宇宙との境界線はどの辺りだろう
次第に空と私との距離が曖昧になる
空が私に迫ってくる
距離がどんどん近くなる
あっ、と思うや否や
空が私の上に落下した
青の粒子に包まれ
私は意識だけの存在となる
この世の果て(短編小説 5)
《《 今までのあらすじ →幽体離脱に成功した真希は、海峡で観光船の沈没事故で亡くなった女性の亡霊と出会う。翌日も会う約束をしたが、女性の亡霊は現われなかった。
ふと、亡き愛犬の鳴き声が聞こえてきた。鳴き声に誘われるように上空を移動すると、かつて亡き両親が住んでいた借家に辿り着いた 》》
「母さん……」
嬉しそうに微笑む母を見て、真希は考える。
(この状況を、どう解釈したらいいのかしら?
一
会いたくて (詩)
あなたさえいてくれたら
あなたさえ、生きていてくれたなら
1日に何度もそう思う
だから、
あなたがかつて住んでいた街を通り過ぎると
不意にあなたが現われるような錯覚に陥る
でも、そんなことある訳ないよね
肉体を脱ぎ捨てたあなたに
会う方法があったら知りたい
たった一度でもいいから
この世の果て(短編小説 4)
《 今までのあらすじ→ 幽体離脱に成功した真希は、北へと向かった。海峡を通り過ぎようとした時、2年前に観光船の沈没事故で亡くなった女性の
亡霊と出会った。女性の話しを聞き、真希はしばらく傍にいた。明日また来ることを約束し、真希は一旦帰宅する 》
(上手く肉体に戻れるだろうか?)
自宅アパートの上空に戻ってきた真希は、少し不安になる。
(大丈夫、落ち着いて)
ゆっくりと屋根をすり抜け、自分の部
時には…… (詩)
自分の機嫌は自分で取る
自分で自分の面倒を見ないとね
それでも、まだ心が干からびて
カサカサしてるなら
誰かに頼りたくなる
それは、あなた
時には、乾いた心
潤してほしいわ
あなたからの愛を
充電できたらいいのに……
流浪の身 (詩)
私は人生の主人公
私の人生を生きるだけ
誰かの人生を生きることはできない
誰かに私の人生を変わってほしくても
いったい誰が変わってくれるというのだろう
この世界のどこかに
私の人生を背負って生きてくれる人
いますか?
いないわよ
私の代わりは
どこにもいない
私は唯一無二の存在
この世の果て(短編小説3 )
【 あらすじ→ 幽体離脱に成功した真希は、北へ北へと向かった。海峡を通り過ぎようとすると、泣き崩れる女性がいるのに気づいた。真希は気になり話しかけてみる。ここで数年前に船の事故で亡くなった女性の亡霊だった】
女性の話しは、こうだった、
2年前、この辺りを航行していた観光船が原因不明の事故で沈没した。女性は一人で乗船していた。何らかのトラブルで海水が流れ込み、制御不能になった観光船は、徐々に沈ん
諦念 (詩)
悲しみが消える場所があるとしたら
それはキミの腕の中
だけどキミを失った今
そんな場所は、もうどこにもない
世界中どこに行ったって
悲しみが溢れている
切ないね
もう笑うことも忘れてしまった
生まれてきた理由も
生まれた時点で忘れてしまった
そろそろ1人で生きていく覚悟を
決める時がやってきたようだね
この世の果て(短編小説 2)
【あらすじ→ 幽体離脱の動画をフォロワーさんに教えてもらった真希は興味を持った。少し怖いが、自分も試してみることにした。1回目は失敗したが、再度挑戦し、成功した】
空中で四肢を伸ばし、泳ぐような格好で前進してみる。
夜風が心地良い。
(そうだ、北海道に行ってみたいわ)
最後に北海道に旅行してから、もう10年以上経つ。
函館の夜景が見たくなった。
鳥になった気分で夜空を突き進む。眼下には通り過