マガジンのカバー画像

出版

82
運営しているクリエイター

#本好き

「メタバースの答え合わせ」に最適な一冊

「メタバースの答え合わせ」に最適な一冊

メタバース関連の本を何冊か読んでますが、今のところ、一番しっかりとした分析がなされている本だと感じたのが、
加藤直人さんの
『メタバース さよならアトムの時代』 (集英社)
です。

メタバースによってもたらされる未来に可能性を感じさせつつも、
過度に舞い上がりも、貶めもせず、
徹頭徹尾、常温を貫く姿勢がとても信頼できます。

私としては「ほぼ想定通り」な内容でしたので、
自身のメタバース考察の「

もっとみる
アート、芸術を知るためのオススメ本 7冊と、+1

アート、芸術を知るためのオススメ本 7冊と、+1

今年は芸術への理解を深めたいと思い、さまざまな芸術関連本を読み漁っています。
中でもオススメの本をいくつか紹介していきます。

ビジネスパーソンに特にオススメなのは、こちら。
新書という体裁もあり、ビジネス書として読んでも、とても面白いです。

自分の関わる業界と重ね合わせて読めるところが多々あると思います。

私の場合、
第五章 「科学」を武器に職人ギルドを征した王立アカデミー
を、昨今の漫画業

もっとみる
書店はなぜ儲からないのか? 〜「リピーター不在」ビジネスからの脱却

書店はなぜ儲からないのか? 〜「リピーター不在」ビジネスからの脱却

書店は、色々と試行錯誤しているのに、
そもそも儲からないのはなぜなのか?

そんな質問を友人から投げかけられました。

非常に興味深いテーマです。

さまざまな理由が浮かぶと思いますが、
私の答えは明確です。

商品にリピーターが存在しないから、
です。

(注:この記事は書店、出版のビジネス構造を分析するために書いています。
「書店は儲かるからやっているのではない。出版社の人間がそんなこともわか

もっとみる
【テーマ別おすすめ本】 アメリカのアニメ業界を学べる8冊

【テーマ別おすすめ本】 アメリカのアニメ業界を学べる8冊

コンテンツビジネスを考えていくうえで、「王者」アメリカのアニメ業界を知ることは欠かせません。

近年何が起こっているのか、どこに向かおうとしてるのか、ということはもちろん、
これまでの歴史も把握しておくことも肝心だと考えています。

そんな時に大いに役立つ、おすすめの本を紹介していきます。

■昨今のディズニーの動向が一冊で把握できるまずお薦めなのは、
2020年2月にウォルト・ディズニー・カンパ

もっとみる
特に印象に残ってる【漫画】:読書メモ2020年5月 事情を知らない無能な新婚旅行

特に印象に残ってる【漫画】:読書メモ2020年5月 事情を知らない無能な新婚旅行

漫画はどれも面白い。
ということで、今月も「特に」印象に残っているものをピックアップしていきます。

傑作。

設定を読めば内容も構成も想像でき、
正直、あまり期待してなかったのですが、
人物の描き方も、展開も見事です。

全国の小学校の図書室に設置すべき作品です!

宝島社の「このマンガがすごい!」に選ばれるだけのことはあります。

でも、私が読んだのはまだ一巻。
この先、どう展開していくのか気

もっとみる
amazonと差別化できる「唯一の強み」が全く活かされてないのはなぜなんだろう

amazonと差別化できる「唯一の強み」が全く活かされてないのはなぜなんだろう

出版取次の大手・トーハンの運営する本の通販サイト「e-hon」。

自分が応援したい書店「My書店」を登録することができ、
自宅に直送してもらっても、その書店の売上となる仕組みがあります。

すばらしいです。

が、

そんな仕組みが「e-hon」にあることを、
書店の休業が続くこの事態の中で初めて知りました…

編集者でありながら、お恥ずかしい限り。

■amazonと差別化できる「唯一にして、

もっとみる
好著『遅いインターネット』 魅力的な嘘を「信じたい」人たちを図解する

好著『遅いインターネット』 魅力的な嘘を「信じたい」人たちを図解する

アメリカ大統領・トランプを支持する人たちの心情とは、一体どういうものなのか、ずっと理解できずにいました。

もちろん、「保守的なブルーカラー層」「ラストベルト」「職を奪われた白人層」など、一般的に言われていることは把握しています。
理屈としてはもちろん分かる、でも何かしっくりこない…
そんな小骨が引っかかっているような状態が続いていました。

この本を読んだことで、ようやく腑に落ちました。

宇野

もっとみる
「混迷の2020年代カルチャー」を見通すための必読書『2010s』

「混迷の2020年代カルチャー」を見通すための必読書『2010s』

予想だにしないスタートとなった2020年代。

いつ、どのようにして収束するのか、まだ全く先が見えてきませんが、
ある程度落ち着いた後にも、私たちの生活に大きな影響を及ぼし続けることはまず間違いないでしょう。

社会、政治、経済はもちろんのこと、
映画、音楽、文学、漫画、アート等々、多くのカルチャーにも多大なる変革をもたらす可能性はかなり高いと考えられます。

暗い気分が湧いてきがちな日々だからこ

もっとみる
行き詰まりのビジネスモデルを変えるために:『アニメプロデューサーになろう!』

行き詰まりのビジネスモデルを変えるために:『アニメプロデューサーになろう!』

『けものフレンズ』などで知られるヤオヨロズ株式会社の福原慶匡さんが記した本『アニメプロデューサーになろう! アニメ「製作(ビジネス)」の仕組み 』(星海社新書)は、
1冊で一気に学べる「アニメ製作の教科書」と銘打っているだけあり、
実践的な情報が網羅されている貴重な一冊です。

ただ、前半に熱い言葉が並んでいるわりに、
「現在の問題だらけの構造を、どう変えていくのか」が
ほぼ触れられないまま終わっ

もっとみる
読書メモ2020年1月~2月:クールジャパンやキャッシュレスや社内起業など

読書メモ2020年1月~2月:クールジャパンやキャッシュレスや社内起業など

今年始めの二ヶ月に読んだ本から、いくつか挙げていきます。

海外ではジャーナリスト出身の投資家がよく見られる
179

なぜ日本ではあまり見られないのか、が気になります。
そのあたりの詳しい分析も読みたかったです。

本書に出てきた「にしなかバレー」「五反田バレー」が気になります。このウェブ記事が参考になります。

でも、下記にすごく納得。

CVCは自社の事業との相乗効果を重視するため採算は度外

もっとみる
「コンテンツが生きている状態」を作ろう:必読の一冊『オタク経済圏創世記』

「コンテンツが生きている状態」を作ろう:必読の一冊『オタク経済圏創世記』

今まさに、こういうことを求めていたんだ!

そんな本にタイミング良く出会えると、本当に嬉しくなります。

ウェブ記事 「ゲーム・アニメ産業が海外展開で必要なものとは」…ブシロード中山氏と文化人類学者三原氏が語る日系コンテンツの未来 がとても示唆に富む内容だったので、ここに登場する
ブシロード執行役員の中山淳雄さんの著書『オタク経済圏創世記 GAFAの次は2.5次元コミュニティが世界の主役になる件』

もっとみる
編集者の「初期衝動」を文学フリマで取り戻そう 〜編集者の「小売」体験〜

編集者の「初期衝動」を文学フリマで取り戻そう 〜編集者の「小売」体験〜

2019年11月24日(日) に初めて出展してみた「文学フリマ」の魅力について、前の記事(「出版業界のこの先」を議論する前に、「文学フリマ」に出展してみよう)でまとめてみました。

しかし! 

そんな客観的な分析はさておき、ぜひ書いておきたいこと、それは…

僕にとって「文学フリマ」は、編集者の初期衝動を思い出させてくれる機会でもあった、ということです。

■生粋の「本作り大好き」な記憶が蘇る

もっとみる
「出版業界のこの先」を議論する前に、「文学フリマ」に出展してみよう

「出版業界のこの先」を議論する前に、「文学フリマ」に出展してみよう

2019年11月24日(日) に東京流通センターで開催された
「第二十九回 文学フリマ東京」にブース出展して、大学時代に描いた絵本などを冊子にして頒布してみました。

飾り付けからして準備不足は明白で、さっぱり売れませんでしたが、今回の目的は「同人誌即売会に自らブースを出展して、自分が作った冊子を並べてみる」だったので、収穫はあり余るほどでした。

そして、強く思いました。

出版業界の人たちこそ

もっとみる
本屋は「テーマパーク」になる:出版不況でも児童書だけは伸びてる理由

本屋は「テーマパーク」になる:出版不況でも児童書だけは伸びてる理由

減少が続く出版物売上の中で、2006年と2018年を比べ、唯一プラスの値を示しているのが、児童書ジャンルです。

その要因を考えていく先には、
これから本屋がどうあるべきか
出版物がどうあるべきか
のヒントが詰まっているように感じます。

■唯一、売上が伸びている児童書の市場2006年に約900億円の売上だったのに対し、2018年は約1,010億円です。

出版物の総売上が2018年は約1兆5

もっとみる