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新樹の言葉と音楽。〜ヒガシノメーコさんのソロ作品のこと〜

新樹の言葉と音楽。〜ヒガシノメーコさんのソロ作品のこと〜

今"シンガーソングライター"として音楽活動をしている人は一体何人いるのだろうか。
自らの声と楽器だけで弾き語りライヴを行っているシンガーソングライターの多くは伴奏楽器としてピアノ、若しくはギターを用いている。が、それ以外の楽器を用いてライヴを行うアーティストさんも少なくはない。例えばたった一度だけ目の当たりにしたヒガシノメーコさんの弾き語りライヴはピアノでもギターでもなく、いつものエレキベースを弾

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答えはある それぞれに。りぼんの新譜を聴いて思ったこと

答えはある それぞれに。りぼんの新譜を聴いて思ったこと



東京都東村山市のスリーピースバンド"りぼん"が新作「音が鳴りましたよ」をリリースした。コロナ禍のなか、特殊な制作過程を経て作り出されたこの作品はこのバンドが持つ無限の可能性をたっぷりと味わえる充実した1枚に仕上がっている。

"りぼん"とは
せいや(ベース・ヴォーカル)
イッキ(ギター・ヴォーカル)
ホクト(ドラム・ヴォーカル)

によって構成されているバンドである。

この「音が鳴りましたよ

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秋のみちのくひとり旅➀

秋のみちのくひとり旅➀

2018年もあと2ヶ月ほど。今年は春と夏に大きなイベントを共催という形で無事にやり遂げた。が、しばらくそれらにかかり切りになっていたので、秋はひとり旅に出ることにした。
目的はtoddleのライヴを見に行くということ。つまりおっかけ遠征ツアーだ。

今回目指す場所は仙台。これで何度目の訪問になるだろうか。自分が主催しているイベントの特別編を開催するくらいに仙台は大好きな街なので何度訪れても良い。

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訛り問題

訛り問題

「言葉のイントネーションがおかしいよね」

そう言われるときがたまにある。
自分では普通に話しているはずなのに、時折「この人、なまってる?」と思われているらしい。

自分は宮崎県宮崎市佐土原町で生まれた。
でも育ったのは長野県であり、愛知県であり、東京都だ。
父親が転勤族だったので、小学生の頃までは2、3年ごとに引っ越しするのが常だった。 思えば学校で言葉を覚える大切な時期に名古屋弁バリバリの場所

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笑顔

笑顔

ふと思い立ってiPhoneで撮り貯めた写真の整理をしてみた。
ここ数年ライヴハウス通いを続けて来たことで他人と一緒に写真を撮る機会が多く、iPhoneにはふたりで、もしくは何人かで一緒に撮った写真がたくさん記録されていた。

それらの写真を見ていて気づいたことがひとつ。
写真に写る自分は全て同じ表情をしているということ。
大きく破顔する訳でもなく、かと言って無表情な訳でもなく、ただ同じような微笑み

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真夏の恐怖

真夏の恐怖

これはその昔、某私鉄沿線近くに住んでいた頃の話。

毎朝会社に行くために8時39分発の電車に乗っていた。けれど、朝の混雑があるので少し早めに家を出て駅のホームのいちばん前に並ぶというのが毎日の流れだった。
ある時、毎日のように40代後半くらいの度のキツいメガネをかけた小柄でふっくらしたおばちゃんが自分の隣に立っていることに気づいた。
すでに列は2列になっているのに、その列とは関係なく自分の隣に並ん

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ブラックタイガー

ブラックタイガー

会社の先輩が突然卵アレルギーを発症したそうだ。
数日前に菓子パンを食べて腕から股関節にかけて蕁麻疹が出て、翌日ツナサンドを食べた後には何ともなかったのに卵サンドを食べたら再び同じような蕁麻疹が出たという。

食物アレルギーは突然発症するもの、と自分も身をもって体験しているからよく分かる。自分は甲殻類アレルギーだからだ。
元々甲殻類が大好きでエビフライ、海老チリ、生きた蟹を茹でたものや、かに玉まで何

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問と解

問と解

先日、自分が開催しているライヴイベントを手伝ってくれているデザイナーさんとの打ち合わせの際に"イベントが長く続くためにはどうするべきか?"についての話になった。

「このイベントってもはやあなただけのものじゃないと思うんですよ」という言葉をきっかけに色々考える。
5回も開催する機会を得ながら、自分のことを"イベンター"と思ったことはこれまで一度もなかった。イベンターとは何百・何千・何万レベルでお客

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自転車に乗って

自転車に乗って

先日、目の前で自転車同士の衝突事故を見かけた。
幸いどちらにも怪我はなく、特に揉め事になることもなく終わったので、偶然出くわした自分まで何故だかホッとひと安心した。
その後、帰り道を急ぎながらふと自転車にまつわる思い出をあれこれ思い出した。

小学校の頃、仲良しの友人3〜4人で徒党を組んで出来る限り遠くを目指す、そんななんともおバカなことを毎週末のようにやっていた。
米軍基地など色んなところに行っ

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あなたの心に明かりを灯すために。

あなたの心に明かりを灯すために。

5月に自分が主催しているイベントを仙台で開催することになり、その開催告知の為の準備に追われる日々をしばらく過ごした。
今回は仙台出身のアーティストさんとの共催なので、様々な決め事を独断で決めることは出来ない。もどかしさを感じる時がある反面、一緒に作っている喜びを感じることが出来て楽しい。

改めて仙台という街について思い出してみる。
初めて訪れたのはもう6年も前のことになる。初めて訪れた時の夕暮れ

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もしもアイツを殴っていたとしたら。

もしもアイツを殴っていたとしたら。

先日、大学の卒業式に出席する夢を見た。
これまでの人生に現れた人々に良く似た人影が沢山現れては消えていく、そんな不可思議な夢だった。

実際の大学の卒業式には出席していない。出席することを拒んだからだ。もう10年前の話になる。

自分は教育学部に籍を置いていた。だが、教育法や教育裁判についての勉学をしていたので、所謂"教職課程"の講義は受けなかった。そのせいで教育学部にいる学生とは殆ど講義

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偶然の日。

偶然の日。

春のような空色の日。フラリとレコードを買いに都内へ向かう。
いつも行く馴染みのお店に行くと、何処かで見た顔が真顔でCD棚を凝視している。スイセイノボアズのパーカーを着たその人は高校生の友人だった。

「よっ!」

ふと声をかけてみると「何でここに…!?」と言われる。当たり前だ。
で、そのまま狭い店内を一緒に巡ることに。
GSから最新のインディーズ作品まで幅広く聞いている彼とは年齢を越えて色

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夜のお供

夜のお供

自宅でも旅行先でも、眠る時には耳栓をする。

始まりは今から10年くらい前。きっかけはとある女優さんのエッセイを読んだことだ。
そこには撮影で地方滞在中、マネージャーがドアをいくら叩いても電話を鳴らしても起きなくて一悶着あったと書いてあった。元々眠りが浅く寝つきもあまり良くない人間なので試しにやってみて以来、自分も耳栓なしでは眠れなくなってしまった。
(一度旅行先で耳栓を買い忘れた時があって、その

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うれしい予感

うれしい予感

個人的にとても大好きな女優、たなか沙織さんが出演する舞台「シンクロ少女」を見に行きました。
恋愛に興味のない自分にも"恋愛って一体なんだろう?"って改めて考えさせられる、味わい深い作品でした。

そんな劇中で印象に残った台詞がひとつ。

「好きな人には笑顔でいてほしい」

実生活でも何度か耳にした言葉だけど、その言葉を聞くたびに"自分は笑顔でいられないから、そう思う人には愛されないのだ

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