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ブラックタイガー

会社の先輩が突然卵アレルギーを発症したそうだ。
数日前に菓子パンを食べて腕から股関節にかけて蕁麻疹が出て、翌日ツナサンドを食べた後には何ともなかったのに卵サンドを食べたら再び同じような蕁麻疹が出たという。

食物アレルギーは突然発症するもの、と自分も身をもって体験しているからよく分かる。自分は甲殻類アレルギーだからだ。
元々甲殻類が大好きでエビフライ、海老チリ、生きた蟹を茹でたものや、かに玉まで何でも食べていた。天ぷらを食べる時も一番最初に食べるのはもちろん海老。

しかし、所謂"第二次性徴期"を迎える頃から体に変調が見られるようになった。
蟹を食べると唇や口の周りが真っ赤に腫れ上がるようになり、さらに海老を食べると上顎や喉が赤黒く腫れるようになった。
痙攣や失神を引き起こすような重大な症状が出るわけではないけれど、発症すると完治するまで時間がかかるため甲殻類は一切食べられなくなった。

甲殻類アレルギー体質になって困ることはいくつもあるけれど、特に歳を重ねてから困ることが一つある。それは結婚式での食事。
招待状を受け取って出席の返信をすると同時に新郎もしくは新婦にアレルギーについての連絡を入れるところから始まり、当日も式場のスタッフさんから何度もアレルギーについて聞かれて申し訳ない気持ちになる。
一度、とある披露宴で同じテーブルにいる参列者(全員初対面)がみんなオマール海老のソテーみたいなものを食べている中、代替メニューとして出てきたのは"ちらし寿司"だった。
その時に自分へ向けられた驚愕というか不可思議な見知らぬ人々の表情は今でも忘れられない。

食物アレルギーをいくつも発症している知人の様子を目の当たりにしたこともあるので、自分の甲殻類アレルギーはそれに比べるとそこまででもないのかもしれない。
けれど、一生付き合っていくものなのでこれから先もずっと他人が食べるエビフライを恨めしそうに眺める人生である。

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