マガジンのカバー画像

お気に入り

109
運営しているクリエイター

#note初心者

文章はけっきょく、書き出し————魅力的なリード文のつくり方

文章はけっきょく、書き出し————魅力的なリード文のつくり方

この記事はこんな人のために書いています。

ぼくはこれまで、noteでたくさんの記事を書いてきました。
公開されている分だけでも、130記事あります。
本格的にnoteを始動したのは、今年(2024年)の1月なので、それから100記事近く書いています。
そのぼくが断言したいのは、文章はけっきょく、書き出しということです。
いい書き出しさえ書けてしまえば、あとはもう流れるように書けますし、それに呼応

もっとみる
宙ぶらりん [短編小説]

宙ぶらりん [短編小説]

激しく窓を叩く雨音。
部屋中がざわめく。
こんな嵐の夜は、自分は地球上に取り残された
唯一の人間のように思えてくる。
全人類が死に絶え、自分1人だけが生き残った
ような感覚。

孤独で不安な夜に、私は彼を想う。
心の中で問いかける。
生きてる?

それを、確かめる術はない。
ただ、問いかけることしかできない。

例えば、もし、呼吸もままならないほど
痛みに耐えきれないほどの病に伏してるとしたら

もっとみる
カッコウ

カッコウ

今年もまた、カッコウが鳴いてるよ。
カッコウ、カッコウ、って一生懸命鳴いてるよ。
母さん、聞こえる?

「カッコウは、カッコウって鳴くから、カッコウっていう名前なの?」
小学生だった私は、母に尋ねた。
「そうかもしれないね」
母は微笑んだ。

カッコウの鳴き声は、初夏の便り。
毎年、5月の中旬を過ぎると、実家の裏山で
美声を響かせる。

【カッコウ、カッコウ、カッコウ、
カッ! カッ! カッ! カ

もっとみる
かげろう

かげろう

私は、かげろう。

イヤ、偽物のかげろうだ。

生まれるや否や、時の渦に呑み込まれ

あたふたしながら、死へとまっしぐら。

つい、この間、成人式を終えたと思ったら

そろそろエンディングノートを準備しなければ

いけない年齢にまで達した。

本物のかげろうは私に比べ

ちゃんと(人生?)を全うしている。 

脱皮し、パートナーを見つけ 

産卵し、使命を全うし

やがて死に至る。

その間、たっ

もっとみる
拭えない 消えない

拭えない 消えない

油断すると、あいつはすぐさま

心の隙間に忍び込む。

「あっちに行ってよ!」

追い払っても

飼い犬のようにすり寄ってくる。

それは、未来への漠然とした不安。

芥川龍之介が自ら命を断った理由も

ぼんやりとした不安が原因だったとか。

私は溜め息をつく。

拭っても、拭っても消えない不安。

Tシャツに過ってつけてしまった口紅を

何度も擦って拭おうとしても、なかなか取れずに

擦っている

もっとみる
堕 ち る ❲短編小説❳

堕 ち る ❲短編小説❳

「この講座を受講した、きっかけは何ですか?」

彼の声は、彼にそっくりだった。
想像していた通りの声だ。
これほど、顔と声が一致した人物は初めてだ。

「小説を読んだり書いたりするのが好きで、
いろいろ参考になれば、と思ったので受講しました」
「そうなんですか。創作もしてるんですね。
今も、何か書いてるの?」
重ねて聞いてきた彼の声に、鼓動が高鳴る。
声の質が、あまりにも心地良いのだ。
真希は、ど

もっとみる
ウキウキ ドキドキ! 発表会

ウキウキ ドキドキ! 発表会

先日、22日はベリーダンスの発表会でした。
本当は、1月の予定でしたが、コロナ感染者
激増で結局今月まで伸びてしまいました😅

当日は、気温も高かったため、
リハーサルだけで汗かいちゃって、メイクも髪も崩れてしまいました~

前回のイベントは、1年4ヶ月前。
久しぶりだったせいか、やはり少し緊張しました。
が、ステージに上がると、ちゃんと踊らないと、って気合い入りました!

でも、途中振り付け間

もっとみる
命 尽きる前に

命 尽きる前に

まだ、その肉体を脱ぎ捨てないで

そこに、とどまっていて。

永遠に、目蓋を閉じてしまう前に

一瞬でいいから

その眼差しを私に向けて。

私を、見て。

「ねぇ、愛してる?」

喋ることが無理なら

あなたも私を愛してるなら

一度だけ、瞬きして。

それが、あなたの愛してるの合図だと

受け取るから。

彼は重い目蓋を引き上げ

少し眩しそうにしながら

瞳を、私に向けてくる。

そして、ゆ

もっとみる
去り行く者  残される者

去り行く者  残される者

乗っていた船が浸水し、まもなく沈没するであろうと察した夫から、妻の元に電話がかかってきた。
夫は言った。
「今まで、ありがとう」

これは、先日の新聞に乗っていた記事です。

知床半島沖で起きた遭難事故で沈みかかった観光船から、74歳の男性が妻に電話をかけた。その胸中を想像すると、胸が押しつぶされそうになる。
電話をかけた男性は、沈み行く船に恐怖を感じながら、もしかしたら今まさに、自分の人生が幕を

もっとみる
目が見えるのは当たり前?

目が見えるのは当たり前?

【一瞬でいいから、0,1秒でいいから、
夫、我が子、両親の顔が見たい。
死ぬまでに、一目でいいから見てみたい。】

ある動画で聞いた、生まれた時から全盲だった女性の言葉です。

一瞬でいいから、愛する人達の顔を見てみたい。
そんな女性の願いに、心が激しく揺さぶられました。

ずっと、色彩のない世界で暮らしてきた女性の
唯一の望みが、これから叶うことがあるだろうか?
今後、医学か進歩したら叶う可能性

もっとみる
忘れない 忘れたくない

忘れない 忘れたくない

未曾有の東日本大震災に対して、節目という言葉を用いるのはどうなんだろう。
節目だから、何か変化した、悲しみが癒えた、
というわけではないと思うのだが。

昨年、震災から10年が経ち、1つの節目を迎えました、と新聞やテレビで報道していた。
肉親を失った遺族や、家や仕事を失った被災者達がインタビューを受けていた。
皆、一様に同じことを言っていた。

10年経ったからといっても、気持ちは変わらない。

もっとみる
ノスタルジア

ノスタルジア

目覚めると、おもむろに地球の方角に目を向ける。
漆黒の闇に、ぽっかりと浮かぶ、
青や緑、白のマーブル模様の地球。
その美しさに、しばし見惚れる。
次第に、郷愁が湧き上がってくる。

彼女は地球で重大な犯罪に手を染めた。
極刑は免れたが、その代わり、月に飛ばされることとなった。
もちろん、地球には二度と帰れない。
それは、死を意味する。

唯一、宇宙服だけは纏う(まとう)ことを許された。
ただし、水

もっとみる
無力感に苛まれる

無力感に苛まれる

とてつもない不条理な事象を前にすると、何ともやりきれない気持ちになる。
世界中を震撼させた感染症のパンデミックや、隣国に攻撃をしかけている某国の暴挙に対して、不安や怒りを感じても、私自身何もできない。

感染症に対しては、ワクチンや経口薬を開発、製造することなどできないし、ひたすら自粛し自分が感染しないようにすることしかできない。

外国の戦争に関しては、ボランティア活動や、ジャーナリストになった

もっとみる
千の 祈り

千の 祈り

#創作大賞2022

不意に、地鳴りがした。
地震? と思うや否や部屋中が、ガタガタと音を立てて揺れ始めた。
どうせ、すぐ収まるだろう。
由依は楽観しようとした。だが、揺れは収まるどころか、次第に激しくなる。
由依は立っていられなくなり、その場にしゃがみ込む。テーブルの下に潜り込めばいいのだろうが、とっさの場合、体は言うことをきかない。
横揺れが激しくなってきた。天井が落ちてくるのではないかと心配

もっとみる