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拭えない 消えない
油断すると、あいつはすぐさま
心の隙間に忍び込む。
「あっちに行ってよ!」
追い払っても
飼い犬のようにすり寄ってくる。
それは、未来への漠然とした不安。
芥川龍之介が自ら命を断った理由も
ぼんやりとした不安が原因だったとか。
私は溜め息をつく。
拭っても、拭っても消えない不安。
Tシャツに過ってつけてしまった口紅を
何度も擦って拭おうとしても、なかなか取れずに
擦っているうちに
かえって汚れが広がっていくのと似ている。
誰かが言っていた。
現代は、平和で何不自由なく生活できる。
そのせいか、余白ができてしまい
生きる意味や人生の目的を考えすぎて
過去を憂えたり、未来に不安を感じる、と。
それは、今が満たされている証拠かもしれない。
衣食住に事欠く状況だと
今日を生きるのが精一杯で
未来のことまで考える余裕はないだろう。
私は、あらゆるものに感謝しないといけない。
それでも、油断している合間に
不安が、そろりそろりと近づいてくる。
あぁ……。
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