[創作]アメリアの4

[創作]アメリアの4

 パーティをなんとか抜け出したシャーリーは、屋敷に入ると散歩することにした。先程までシャーリーを着飾ってくれていたメイド達はそれぞれの仕事に戻っている。シャーリーを見ると挨拶をしてくれるのでそのまま挨拶をして歩いていた。  そして、道に迷う。それでも何となくこちらかなと思う方に歩みを進めると、扉をようやく見つけることができた。廊下が長すぎなのが問題な気もするが、気にしてはダメだとシャーリーは言い聞かせる。  この区画は特に人がいるわけではない。倉庫かなにかで鍵が閉まっていたら

サムワンサム

サムワンサム

someone(サムワン) 誰か。 あるいは大事な人。 皆がサムをサムボーイ(おてんば)と呼ぶ。トムボーイとサムを掛けた語呂合わせの愛称だ。 落ち着きがないと父は嘆き、困ったものねと母は苦笑する。 仕方ない、じっとしてるのは苦手だ。 探検がサムの生き甲斐なのだ。 今日も今日とて朝飯前の腹ごなしにだだっ広いトウモロコシ畑を走っていたら、目印の案山子男の所にきた。サムとおそろいの麻袋を被ってる。 「おはよ、ジョニー」 麻袋で覆面をした案山子に元気よく挨拶し、背後に回り込んで地

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[創作]アメリアの3

[創作]アメリアの3

 高級車に乗ったまま屋敷に繋がる門をくぐると整えられた庭、奥に広がる自然が広がっている。  車を下りてパーティか以上になっている敷地の庭の一角に案内される。小川に小舟が浮いていたり、とにかく自然を感じる。その小川のほとりでは気さくなパーティが行われていた。  シャーリーを見るや否や口々に噂話に花を咲かせる。シャーリーはあまりいい気をしないながらも舞台で培った知らんぷりしてるけど笑顔です、を発揮して何とか気にせずにいた。そこに現れるのは以前楽屋にもいらしてくださった、自分にも

「金木犀に秋を感じる程の情緒で生きていきたい」

「金木犀に秋を感じる程の情緒で生きていきたい」

 待ち合わせる店までは電車だと却って遠回りなようで、見慣れぬ道をGoogle MAPで確かめながら歩いていく。すれ違いざま、犬は英語で躾けられ、ベビーカーの少年は坊っちゃんカットで笑っている。数年経てば整えられた襟のシャツと膝小僧の出るパンツを履いて近くの私立学校に通うのであろう。一様に塀が高く年季を感じる家々を横目に、高級住宅街と名高いのも頷けるなとひとりごちてみる。金木犀の匂いと銀杏の臭いが混ざり合う道。台風一過の夏日でも秋は逃げたりしないのだ。  知らない街では目に映

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『楽しむが勝ち、らしい』

『楽しむが勝ち、らしい』

 一緒にやる! と意気込んだものの、ついていくのが精一杯で、先に行かれて速度を上げて追いついて、ゆっくりになってまた離れていってを繰り返していた。そういえばメイ、長距離やってたんだっけ……  うちだけ、一曲終わった時のへばり具合がひどい。みんなどうってこともない顔をしてるのに、うちはバケモノから逃げ回ったんかってくらいゼーゼーと肩で息をする。ファンのみんなからは「体力がなくて可愛い❤️」とか言われてるけど、うちにとってはみっともない姿を曝け出しているだけ。 「ろっぷ、そんな

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高評価=よい作品だと、ずっと思ってたけど・・・
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高評価=よい作品だと、ずっと思ってたけど・・・

みなさま、こんにちは!! タイトルのとおり、わたくし、評価をたくさんされている作品が「よい作品」なのだとずっと思ってました。小説にしろ、漫画にしろ、イラストにしろ・・・いろんな作品すべてにおいて、そう思ってた。 けど、今日、すんごいよい作品に出会ったのですが、「いいね」の数はそんなに多くなくて・・・「え?なんで?」ってなって、人それぞれが感じる「よい作品」というものは、違うのだなぁと。 そんな当たり前のことに、今日ふっと気づいたのですよ。 それは二次創作の小説だったので

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【創作小説】まわれ!今川やきくん!番外編バカンスの巻(10)

【創作小説】まわれ!今川やきくん!番外編バカンスの巻(10)

ハワイのビーチ沿いにある おみやげ屋さん。 一時は 波にさらわれ フニャフニャになってしまった今川やきくん。 ハリケーンポップコーンさんに 助けてもらい、浜辺で 探してくれていた ふりかけさん達と共に おみやげ屋さんにやって来た。 うっすらと 朝陽が射す店内の棚には、王道マカデミアナッツチョコレートさん達やビーフジャーキーさん達、もちろん ハリケーンポップコーンさんとふりかけさん達も 朝陽に照らされて、ピッカピカに並んでる。 「カーーーーーーーーーーッ!みんな眩しいく

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R_B < Part 5 (epilogue) >

R_B < Part 5 (epilogue) >

[綺麗ね……]  誰かの声がした。  首を巡らせるが、何も視界には映らない。 [これほど鮮やかな色は、確かに珍しいですね] [そうなんですか?先生……]  いつ果てるとも知れぬ落下のスピードが緩み、ふわりと抱かれる感覚でそれは終わった。  自分がとても小さい存在に感じられる。 [……統クンよね?芥]  懐かしい声。どこで聞いたのだろう……。 [ああ。これは彼からのメッセージだよ]  続いて脳裡に響いたのは、穏やかな、確信に満ちた一言。 [統は、無事に戻れた

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R_B < Part 5 (7/7) >

R_B < Part 5 (7/7) >

 時間ギリギリまで調整を繰り返し、統は漸くディスプレイを完成させた。 「……これは素晴らしい!お聞きしていたよりも遥かに良い出来です。これなら大人も子どもも楽しめますね!」  早速やって来た露草は、実物を一目見るなり賞賛の声をあげる。 「ありがとうございます。完璧には出来なかったけど……」 「いえ、十分過ぎる程の出来栄えです。小手先だけの技術で、こんなに整ったものは作れないですからね。それは私でも分かります。  紫紺も驚くに違いありません。正直なところ、薄鈍さんには次

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【長編小説】魂の在処 ⑥

【長編小説】魂の在処 ⑥

☆主人公・葵とその義兄・薫の、前世を交えての兄弟愛のお話です。はじめから読みたいという方は、こちらからどうぞ。 ☆ちょうどよいタイミングで切りたかったので、今回すこし長いです(;'∀')                                               ※     乙女纏が一人暮らししているその家は、葵たちが通う月影高校から徒歩二分ほどの場所にあった。薫はてっきり、事故の日に塀を乗り越えてきたあの民家がそうなのだと思っていた。そこよりも、路地を

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