sakana

BL小説です。””宗教二世で洗脳されている主人公と、性的な児童虐待を受けた同級生が恋に…

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BL小説です。””宗教二世で洗脳されている主人公と、性的な児童虐待を受けた同級生が恋に落ちる””というあらすじです。洗脳の実態や解放、PTSDからの回復、もがきながらも二人が一生懸命生きていく物語です。あんまり重くならないように。でも宗教二世の実態は表現します。

最近の記事

箱庭の僕ら 7話

以前の記事はこちらから 「は?!結婚する?!」 あまりに突飛な話に俺は度肝を抜かれた。 こんなに驚いたことは初めてだったけど、努めて冷静に落ち着き払った態度で笑いながら俺は言った。 「また、美智は冗談が好きだなぁ」 そうしたら、驚いたことに美智は、 「善くん、覚えてない?わたしたち婚約してるんだよ。」 と、当たり前のような顔をしてニコって笑った。  はぁぁ〜?俺がいつお前と婚約したんだよ、てか俺らまだ高校生だぞ、将来勝手に決められてたまるかよ! 「それはないでしょ、この間1

    • 箱庭の僕ら 6話

      光がいなくなってから、俺の心はポッカリと穴が空いたようになって、新しく始まった高校生活も、なんだか惰性で過ごしていた。 俺は宗教二世だから、それでもやる事は多くて、日々の布教活動や学びの会なども頻繁に参加しなければならず、光のことを考えないで過ごす時間も増えた。 でも、1日の終わりのホッとする瞬間は、必ず光のことを思い出して、光からもらったノートを見て過ごした。 「光はどうしてるかな?寮生活は慣れたかな…」 なんて思いながら眠りにつく。時々、光と最後に会ったあの高台の公園

      • 箱庭の僕ら 5話

        過去記事こちらから 【善の話】 あっという間に卒業式の日になった。俺はこの日に向けて自分の気持ちを調整し、決意していた。今日で光と会うのは最後だ。 このままずっと光と接していれば、俺は絶対に光のことを好きになる。””同性愛””という最大の罪を背負う事になるんだ。それは出来ない。 今ならまだ引き返せる。光と物理的に離れれば、光と会うこともない、話すこともない、そうすればいつかはこの思いを忘れるだろう。 きちんと組織内でかわいい女の子を見つけて、結婚するんだ。そうすれば、俺は

        • 箱庭の僕ら 4話

          過去記事こちらから 別れは言わない 中学三年生の最後の半年間は、登下校はほとんど一緒だった。俺が何か用事があっても、昇降口で光は待っていたし、光も学校に残って何かをすることはほぼ無かったから。 この期間はなんとなく二人とも、貴重な時間であるとはわかっていたけれど、それを特に口に出すことは無く、お互いが好きなゲームの話や、お勧めの本、最近書いている絵のことなど、楽しい話ばかりをしていた。お互いもうすぐ来る別れを忘れているかのように。 受験が終わり、光は志望していた北海道

        箱庭の僕ら 7話

          箱庭の僕ら 3話

          前の記事はこちらから 善とヒカルの箱庭 【光の話】 「やめて!やめて!」小学校の4、5年の頃か、俺があいつにシャツを剥ぎ取られそうになっている時、家のインターフォンが鳴った。ピタッとあいつの動きが止まり、耳を澄ませる。もう一度チャイムが鳴った。 外から 「こんばんは、近所に住む水元と言います」 と子どもの声がした。あいつは戸惑った様子で俺を放すと、 「はい…」 と低く言って、玄関に行き扉を開けた。ドアの横には鏡があって、奥の部屋にいても扉越しに客人の顔が見える。そこ

          箱庭の僕ら 3話

          箱庭の僕ら 2話

          1話はこちらから 光の過去 俺と光が仲良くなってしばらくたった。俺らは同じ中学に進学した。俺が放課後「奉仕活動」の無い日は、いつもの高台の公園で話をした。 光が今作っているもの、注目しているものはすべて俺の好奇心を刺激した。自由に思いのままに作品をクリエイト出来る光のことを、俺はとても羨ましく思うと同時に尊敬していた。 もう「親友」と言ってもいいかもしれない。見た感じ控えめな光の内面が、とんでもなく熱いということは、俺しか知らないんじゃないか、なんてうれしく思っていた

          箱庭の僕ら 2話

          箱庭の僕ら 1話

          I find "Hikaru" 俺は、夕陽が沈むのが見える高台の街に住んでいた。都内からほど近いニュータウンで、キレイで便利で治安も良かった。坂を上るのは苦労したが、普段は高台の上で生活が完結していた。スーパーもコンビニも、学校もその高台にあったから。僕は結構この街が気に入っていた。 後に友人となる光は、近所に住んでいた同じ年の男の子だった。学校は同じだったけど一緒に遊んだ記憶はなく、前髪は目の下まで伸びていて、顔が良く見えない。いつもうつむいていて、影の薄い子だな、という

          箱庭の僕ら 1話