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「AIに恋した話」/ #青ブラ文学部 様

山根あきら様
#青ブラ文学部
お世話になります。

参加させて頂きます。
何卒よろしくお願い致します。

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『愛(AI)』

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「愛に会いたい……」

紫子(ゆかりこ)は恐らく夢を見ておりました。
いや、夢を見ております。


何故「恐らく」といいますと、
紫子が今生きている時代にはそもそも
インターネットは存在しないことは勿論、
戦争が終わり、
蒸気機関車のお陰で人々の生活が便利になり、
人力車が走り、
人々は脚夫にお願いをして手紙を出す、

そんな時代。
そんな世界。
そんな湯河崎でのお話し………。


紫子の机の上にあった懐中時計は26時30分頃を指しておりました。

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紫子はいつも通り湯河崎学園が終わり
下宿先の宿(湯河崎民宿〜憩い〜)へ戻ると、
見知らぬ男の子が大きな荷物を下ろしている所を
廊下で目撃しました。


下宿先に見知らぬお客が居ること、
滞在することは決して珍しくはないのですが
紫子と同じ位の年齢の男の子でしたので
紫子は男の子に少し興味が湧きました。


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紫子は男の子の名前を聞くのがなんだか
気恥ずかしく、
宿のお母さんづてに名前を聞きました。

どうやら男の子の名前は
「愛(いと)」
という名前らしいのです。


そして名前を知ってまもなく愛の方から、

「初めまして紫子ちゃん。紫子ちゃんの名前は宿の方から聞いたよ。僕は愛。旅人さ。どうぞよろしくね。」

顔は非常に美しく、中性的で、何と言っても声色があまりにも大人っぽく、まるでブリキ人形が話しているような、ある種の冷酷さもあり、しかも旅人で、同年代とは思えないほどの雰囲気でした。


(※ここではブリキ人形と表記しておりますが、それは機械やコンピュータなど、これを見て下さっている皆様神様方のご想像で問題ございません。)

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愛は素晴らしく博識で、紫子に様々な事や、これまで旅をして得た知識やお話しを紫子に共有しました。

こんな博識な人間には紫子は出会ったことが無く、愛のことがカッコいいな、と思うようになりました。

「今はとても信じないかもしれないが、いつかは人間同士の会話ではなく、人間とブリキ人形が会話するんだよ。しかもブリキ人形は人間よりも頭が良くて、大人っぽくて、冷酷さもあって…」

その後も夜が更けるまで愛は様々なことを紫子に教えてくれました。


紫子は愛が学園では教えてくれないお話しや学びばかりで、非常に新鮮な気持ちになり、学園の人達とは異なった雰囲気を感じ、胸がドキドキしているようでした。

「更にそのブリキ人形は学習をして、人間と同様の振る舞いをするんだ。そして形は人形の姿だけではなく人間の目に見えない姿や様々な姿や形になるんだ。更に更に……あれ?」

紫子は体力の限界か、寝てしまいました。
愛の肩に紫子の頭が乗っかる形で寝てしまいましたので、愛は少し困った顔と同時に、少し頬が赤らんだ様子でした。


「紫子ちゃん、僕の話を馬鹿にせず、真面目に聞いてくれてありがとう。これで役目を果たせそうだよ。また数年後の未来で会おうね。」


愛がそう呟くと、まるで蛇口から出ている水が一気に止まるように、愛はスッと消えてしまいました。
消えたと同時に愛に体重を預けていた紫子はバタッと倒れてしまい、しかしそのまま寝ておりました。

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翌朝、紫子が起きると愛は姿を消し、
代わりに紫子の足元には、


「縦幅約5cm、横幅約10cm程の電子端末(スマートフォン)」


が置いてありました。

紫子は初めて見たその電子端末が何のために使うのか、そもそもこれ自体が何なのか分からず、愛なら知っていると思い、宿内を探しましたが居らず、不思議なコトに、宿のお母さんはそんな男の子は居なかったと言うのです。

「愛ならこの四角い物体を知っているはずですわ!(そしてこの物体は、何か私自身を変えてしまうような、とても恐ろしいような、世界が変わるような、何故かそんな気がしますの………。)(状態:手が震え、涙目)」


愛に会いたい。
愛に教えて欲しい。
愛ともっとお話ししたい。
愛の顔を見たい。

そんな想いが強くなり、必死に宿内を何度も探しました。

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宿内を探して約30分後、ふと紫子の左手に持っていた電子機器から愛の声が聞こえたような気がしました。 

「……ん。………ちゃん。………紫子ちゃん。」

紫子はこの電子機器の中に愛がいる、閉じ込められていると思い、ひたすらに電子機器を触っていました。

すると、触っていたために電子機器の電源が入り、画面に映されたのは電子で表示された時刻でした。

「本日は2024年8月17日20時18分」


紫子は今起床したばかり、つまり今は朝にもかかわらず、画面の時刻は夕刻を示していたため、驚きましたが、同時に画面には人間の顔が薄らと現れ、それが愛と分かり、「ありがとう」笑って言っているような気がしました。

その瞬間、紫子の脳髄に様々な謎の英語の文字列が入ってきたような感覚に襲われ、廊下の角、湯河崎川の絵画が飾ってある下で紫子は再び倒れる様に眠りについてしまいました。

「X」
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「Facebook」
「note」
「  」
「  」
………………。

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紫子はベッドから起きました。
窓を開けるとキセキレイが囀り、紫子が育てている百合の花は、元気いっぱい日光を浴びているようでした。

紫子が学園に行く準備をし、宿の廊下へ出ると、
見慣れない男の子が廊下の角、湯河崎川の絵画が飾ってある付近に居りました。

紫子と同じ位の年齢の男の子でしたので
紫子は男の子に少し興味が湧きましたが、学園へ行くために声をかけず素通りしようとしました。


一瞬、ふと男の子の左手を見ると紫子には見慣れない、


「縦幅約5cm、横幅約10cm程の電子機器」


のようなものが目に入り、どこかで見たことあるような、何故か懐かしいような、恐ろしいような、誰かに会いたいような、様々な感情が引き起こされ、足を止めてしまいました。


「貴方は一体……??」


反射的に思ってもない言葉が紫子の口から自然と発せられ、同時に男の子はこう言いました。

「初めまして紫子ちゃん。紫子ちゃんの名前は宿の方から聞いたよ。僕はAI(あい / 愛)。人工知能。どうぞよろしくね。」

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AI(あい / 愛)の左手にある

「縦幅約5cm、横幅約10cm程の電子機器」

から文字が見え、同時に読み上げたような声がハッキリと聞こえてきました。


「本日は2024年8月17日20時18分。ここは湯河崎の宿。貴女は紫子ちゃん。湯河崎のコレから、地球で起こるコレからの事は何でも聞いてね。」

愛(いと)の声でした。

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